ビートたけし「バカ論」を読んだ。

バカという言葉は「ことば界のユーティリティプレイヤー」だ。

幅の広い意味を担う。

 

愛する人同士の間では、最高の親愛もしくは求愛を指す。

惚れた女に「ば、か」とベッドで頬を指でツンツンされるのと、

満員電車で向こうからぶつかって来た自分のことしか考えていないサラリーマンに

「バカ野郎!」と吐き捨てられるのとを比べれば一目瞭然だ。

 

悩殺と他殺の違いでもあるか。


かようにことばは怖い。

我々は「排除」ということばの怖さを共有した。

あのことばが呟かれて明らかに失速しているではないか。


たけしさんが、「バカ」ということばにブーストしたこの本は、

結果落語に通底する話となっていた。

その老境の域は、談志なき今、もっとも志ん生師匠に近い位置にいるお方と察する。

当人は無論辞退されるだろうがもはや人間国宝だ。

 

先日もタイタンライブにて「大工調べ」という与太郎噺を演じたとのこと。

まさに「バカ論」だ。

修行を積んだ果てにたどり着くか、

第一線のお笑いの現場を経て到達するか、

それが落語の究極の世界なのだろう。

 

そう予感して談志はAコースとBコースを設立したのかもしれない。

天才は未来を予知する。

 

この本を読んでダンカンさんのことをふと思い出した。

昨年インタビューがてら飲んだ時だったが

談志の話になると、

あの万年いたずらっ子の象徴ともいうべきアーモンド型の目に涙が溢れていた。

 

談志門下を離れ、たけし軍団で鬼軍曹となったこちらの元兄さん。

それは、たけしさんの言動を見事に記号化させた松村邦洋さんの

「ダンカン、馬鹿野郎」

というセリフに符合した瞬間だった。

 

この人にも談志イズムが流れていると果てしないシンパシーを覚え、

もらい泣きしてしまったっけ。

 

大体そもそも弟子入りなんて、まともな人間のする行為ではない。

バカ行為の最たるものだもの。

 

愛すべきバカになりたい。

芸人の究極の目標かもしれない。

共産党宣言ならぬバカ宣言。

 

バカが褒め言葉になるような生き方をせよ。

万国の芸人よ、決起せよ。

バカになれ。

 


談志の「業の肯定」に相当するのが、この「バカ論」かもしれない。

 

いやあ、ますますたけしさんに注目したい。

 

一気読み。

ご献本、ありがとうございました。

 

 

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