仕事が仕事として成立した時、
そもそも、そのキッカケを作ってくださった方はどなたかとまず思いを巡らし、
その源流となった方にはまず、お礼のメールをするようにしている。
励行するのは大変だけど、当たり前のことだ。
感謝というより恩返しのほうが大事なのはそこだ。
感謝は語感のごとく揮発しがち。
恩返しは具体的な行動を伴うもの。
「態度で示すこと」はとても大切なことだ。
縁をつないでくださった方への謝意は、
これは実体験だがご縁が有機的に繋がってゆくさらなる促進剤になる。
お礼状が大切なのはそこだ。
確実に形に残る。
人間、誰もが
「自分は実力で仕事をもらってきた」とつい思いたくなるものだが、
実際の仕事は実力発揮の場であるが、そのお膳立てはやはり縁でしかない。
実際俺自身はご縁だけでここまで来たと思っている。
実力で自分の道を切り拓いてきた談志でさえ、
お礼状は欠かさなかった。
そんなご縁をつないでくださっているのが、
落語会のお客さんであったり、
本を買ってくださるリアルにつながっている方々だ。
点を確実に線にしてくれるのはそんな方々だ。
人生の中で大切な時間とお金をかけてくださっているのだから。
俺がリアルなつながりにこだわるのはそんな理由からだ。
新刊の中で与太郎も言っている。
「会ったこともない奴とつながって何が面白いか?」と。
人に会うというのも立派な「リスク」だ。
常に「あんなやつに会うんじゃなかった」という後悔の可能性を持ちながら、
人には会わなければならないのだから。
本を売るために落語をやる。
こうなれば意地だ。
天下の大師匠 談志 の
無茶振りに耐えつづけた9年半で手に入れた、
”笑う”コミュニケーション術