かつて横山やすしさんは、
「芸人はいつも懐に300万円あるような気持ちで舞台に立たなあかん」と言った。
リッチな気分に常に包まれていないと人には幸せな雰囲気を与えることは出来ない。
心持ちの大切さなのだ。
プライベートでは破天荒な横山やすしさんと対照的に、師匠の談志は素敵な家族に囲まれ、プライベートでは幸せに包まれていた。
普通落語家は弟子入りすると、師匠のご家族への疑似仲間入りする体裁を取るため、
師匠のご家族からも「呼び捨て」にされる。
談志はそれに異を唱えた。
「俺の弟子であって、家族は関係ない!」と。
だから前座の分際でも、ずっと「ワコールさん」とさん付けで呼ばれていた。
師匠をしくじった時なんかでもおかみさんに助けられてきたものだ。
それで首の皮一枚繋がったっけ。
プライベートで素敵な家族運に恵まれていたからこそ、
師匠は芸の上でも本領発揮出来たのだと思う。
先日の脚本家の大森美香さんとの対談でも、
幸せな気分に包まれたのは、
ご家庭が充実しているからとお見受けした。
幸せオーラには匂いがする。
尊敬する先輩芸人さんのご家庭に念願の女の子が産まれたと、
ラインのグループに報告があった。
ほんとめでたい🎉🎉🎉🎉🎉。
素敵なパパになればますますそのオーラで人の輪が大きくなるような予感がする。
リア充はフレグランスだ。
いい香りは人に移る。
いい香りの人の元にもまた人は集いたくなる。
本もそうだ。
売れている本は明るくていい匂いがする。
暗い題材を扱ったものにしても、最後は「救い」という希望がある本は、売れる。
湊かなえさんも、リア充とお見受けしている。
なんでこんなことを書いたのかというと、
前の彼女を亡くした時に書き始めたシナリオは、
暗い影ばかりで、ちっとも楽しさを感じさせるようなものではなかったからだ。
自分の心の傷を癒すために書いたものは、決して人のためにはならないものなんだなあ、
と厳しいが断罪した。
やはり、基本表現は人のために行うものなのだ。
天下の大師匠 談志 の
無茶振りに耐えつづけた9年半で手に入れた、
”笑う”コミュニケーション術