会社の健康診断の結果が届いた。
『胃内視鏡検査
異常は見当たりません』
異常なし…?
信じられない。
じゃあ、この差し込むような痛みは
なんなんだ?
体が震えて、冷や汗までかいて、
呼吸がおかしくなって、
目の前の景色がなくなって、
その場で倒れてしまうほどの
痛みはなんなんだ?
携帯を取り出し
『胃カメラ 異常なし 痛い』
で検索してみる。
『ストレスかもしれません』
『心当たりがあれば心療内科へ』
ストレスは確かにある。
心療内科か…。
ハルが以前
内臓などの異常はないのに
毎日下痢をして、心臓もバクバクして、
胸が苦しい、と私に訴えた時に
『心療内科に行け』と勧めたが
私もか……?
深夜、家族が寝静まった頃
布団からもぞもぞと起き上がって
こっそりパソコンをオンにする。
私はすっかり
チャットにハマっていた。
『健康相談室』
カチャカチャ音がしないように
細心の注意を払いながらキーを打つ。
《どうしましたか?》
こんな夜中に優しく出迎えてくれる
見ず知らずの人。
なんだかホッとする。
〈……そんなわけで、心療内科に
行く前に誰かに聞いてもらいたくて〉
正直に書き込んだ。
《早めに病院に行って下さい》
事務的なあっさりした返事が来て
失望しながらお礼を言い、退室。
違う。
私が求めているのは、
同じ目に合っている人との話だ。
生々しい現在進行形の体験談だ。
小一時間ほどウロウロと彷徨い
『メンタルヘルス部屋』
というコミニュティを見つけた。
ーーーここが最初の転機になるなんて
この時は考えもしなかったーーー
夜中の1時でも
活発な会話が飛んでいて
眠れない人達が沢山参加していた。
勇気を出して書き込む。
〈こんばんは〉
《こんばんは!》
《いらっしゃい》
《新入りさんだね》
《ようこそ!》
ある程度、参加メンバーは
決まっているようだ。
《どうぞ話して下さいな》
お言葉に甘えて
胃のことを相談してみる。
黙って聞いてくれた ある1人が
《あっ、それ私も!》
と書き込んできた。
その人の名前は
マイムちゃん。
私の恩人。