今日のハルはご機嫌だ。


「友達んちにご飯食べに行ったらさー、
すっごいんだよ!」

「なにが?」

「小鉢に入った料理がズラーッと並んでて
料亭みたいだったよ」

「へえ、よかったね」


目を輝かせて興奮状態で話すハル。

ウッキウキじゃん。


「いやぁ、俺にあんなおもてなし
してくれるなんてさー」

「へえ、おもてなしね、よかったね」


無表情で返事をする私。


人が夕食を作ってる時に、
いちいちそんな話をしてくる神経よ。


すみませんね、
いつもご飯と味噌汁と野菜と
メインのおかずと漬物だけで。


すみませんね、
今日は普通のカレーとサラダだけで。



「ん?待てよ?」

ふと疑問が湧いて
鍋の中をかき混ぜる手が止まった。



そのおもてなしをしてくれた友達って…

誰?


そんな友達がいることを
今、初めて知った。


お料理が得意…

おもてなし…



女じゃね?



カレーがぐつぐつ煮えている。



んー


いやいや、
お料理が得意な男性もいるし。



気を取り直して
またグルグルかき回し、


やっぱり手が止まる。



…でも、

男におもてなしされて

あんな高揚した顔になるか?

あんな興奮して話すか?



…ならないよねえ?



一体、誰なんだろう。


まぁ誰でもいいや。

私には関係ない。





「いただきまーす!」


子供達がパクパクと食べる中

ハルはさっきの浮かれた姿と打って変わって

つまらなそうな
納得いかないような

そんな感じを露骨に出し
渋々口に運んでいる。


不味いのかな?


まぁいいや。

不味いなら食べてくれなくていい。


ひとりで
カップラーメンでも食べればいい。


なんなら

今からおもてなしの友達の家に行って
作ってもらえばいいんだよ。


好きにすればいい

ハルなんて。





「なにこれ!レアアイテムじゃん!
父ちゃん課金したな!?」

「違うよ!このアイテムは
ある程度のレベルになったら
友達と交換できるんだ」

「マジでー」

「光希、友達少ねえな!ははは」

「父ちゃんと違って、俺そんな
入り浸りでゲームやってる時間ねーもん」

「人をネトゲ廃人みたいに言うな」



食器を洗う私の後ろで

パソコンでゲームを始めた
ハルと光希が大盛り上がり。



この間、今まで使っていたパソコンが
だいぶ古くなったので
新しい物に買い換えたのだが、

オンラインゲームができるそうで
2人とも夢中になっている。


 

私の方はと言えば、

パソコンを使うことは
以前よりだいぶ少なくなった。


なぜなら、

マイムちゃんとシンタロさんと
連絡先を交換したから。


パソコンを使わなくても、日中でも、
話したかったらいつでも話せる。


みんなでワチャワチャしたい時だけ
チャットに入る程度。


ただし、ヤタベェちゃんがいそうな
曜日と時間には、
チャットに入り待機した。

ヤタベェちゃんは私の癒しだもの。





『グレ子、今度はいつ遊ぼうか?
オフ会もしたいよねー!』

マイムちゃんからメールが来ていた。

『いつでもいいよ』

と返事をする。



本当はあまり乗る気ではない。


そりゃあね、行きたいよ。
みんなに会いたいに決まってる。


だけど…

出かける口実を作らなきゃいけない。

また嘘をつかなきゃならない。


それが嫌なんだ。


子供達だって、そう何度も
協力してはくれないだろう。



まあ、

今までカラオケオフ会の企画が
3年も流れているんだから

すぐには決まらないだろうな…


なんて、軽く考えていた。