一度 心に引っかかってしまうと


後から後から

次から次へと

堰を切ったように

溢れ出てくる。



今までの 不満が。




子供の入学式も出ない。
学校のイベントにも行かない。

誘いの言葉をかけると

「なんで俺が?」

と不愉快そうに言う。





車を買ったのに、
全然お出かけしてくれない。

私の実家さえ行ってくれない。


だから私が子供達を連れて
遊びに行ってもいいかと訊くと

「勝手にすれば?俺の幸せには関係ない」

と部屋に引きこもる。





私が1人で汗だくで駐車場の草むしりを
していると、手伝う気もなく

「ははは!頑張れー」

煙草を吸いながら笑って見てるだけ。




子供達が言うこと聞いてくれなくて

「ハルからも言って!」

とお願いすると

「なんで俺が怒らなくちゃいけないんだ!」

なぜか私が怒られる。



さらに

「わかったよ、怒りゃいいんだろ!
咲希、実希、光希、コラッ!
怒ったぞ?これでいいんだろ!?」

意味不明なことをする。




「あれ?掃除機、壊れてる?」

「あなたの使い方、あれ酷いよ。
あんな雑に扱うから壊れるんだよ」

人を責め立てる。




「お腹痛い。下痢した。昨日あなたが
作ったおにぎり食べたからかなあ?」

いちゃもんをつける。




「仕事してた頃、後輩がバカな奴でさ。
あまりにもムカついたから
暴言吐きまくってやったんだよ」

「それ…パワハラって…」

「パワハラだろうが何だろうが、
俺はムカついたら言う、ただそれだけ」

感情をコントロールする気がない。




「うちのかーちゃんが『あら痩せた?
ちゃんとご飯食べさせてもらってるの?』
って言ってたよ」

嫌味を言う。




なかなか決断できない。

「ハル、どのテーブル買うか決めた?」

「ああ…あれはどーたこーたで…」

「じゃあ、キャビネットは?」

「ああ…あれはあーだこーたで…」

堂々巡りで進まない。




「俺はコレを狙ってたんだよ」

「ほらな!俺の計算通りだ」

後出しジャンケンのくせにドヤ顔する。




興味がない話は1分たりとも聞かないが

「そういえば俺がストーカーされてた頃は
盗撮された写真が出回っててしかもそれが
1000円で売られてたって知ってマジかよ!
ってなって友達に確認してもらったら…」

俺の武勇伝は延々に続く。
(しかも何度も聞いた話)




「えっ、あいつ別れたの?ふられた?
はははははははははザマァ!!」

人の失敗話や不幸話が好きで、
聞くと悪魔のような顔で笑う。




めんどくさいことを頼むと、

「は?そんなの聞いてない」


約束をして平気で破り、

「は?そんなの知らない」

すぐバレる嘘をつく。




「これやっといてって言ったじゃん!
なんでやってくれないの?」

「俺だって忙しいんだよ!」

「それくらい時間あるでしょう」

「あるなら とっくにやってるよ!」

責めると逆ギレする。




「ハル、私のどら焼き食べたでしょ?」

「………」

絶対、謝らない。




「あれ?ここに置いた書類は?」

「そう言えばポストに郵便入ってたな」

言葉のキャッチボールができない。




「あなたもさー、自分の世界を持ちなよ。
このままだと、つまんない人生になるよ?」

謎のアドバイス。




「あーあ、言わんこっちゃない。
だからあなたはダメなんだよ、まったく」

常に上から目線のダメ出し。




部屋ですっ転んだ私を見て

「ははは!」

指をさして爆笑する。

床の割れたお皿、散らばった食べ物、
泣きながら片付ける私を

完全無視。




「そうそう、あの映画は奥が深いよね」

読んでないくせに知ったかぶる。





「あれ?私、聞き間違えたかな」

「ああ、私の勘違いだったか…」

と思うように上手く話を誘導して、
結局は私のせいにする。




「ちょっと風邪ひいたかも…」

「あー、俺もなんだか風邪っぽいんだよな。
鼻水も酷いしさー咳も止まらなくてさー
熱は38度だから大したことないけどさー」

具合が悪いアピールが長い。
(しかも私の心配など一切しない)





それに…

これが一番つらいことなんだけど、


ハルとセックスなんて2度とするか!

と思っても

やっぱり人肌恋しい夜はあって、


ハルに迫っても

「………」


ゴロン

相変わらず冷たく背中を向けられる。





なんとなく、ハルは私に

精神的に一線を越えさせないよう

壁を作っている気がする。


嫌われてはいないと思うけど…






仕方ないか、

夫婦とはいえ他人なんだし。



でも、他人だから余計に

相手を思いやらなければならない

と、私は思っている。



そう思って、ここまで来た。


が……



そろそろ疲れてきた。




私がハルを

どんなに助けようと

いたわろうと

庇おうと

思いやろうと

ねぎらおうと

尽くしても 尽くしても


ハルには届かない。




どんなに

愛しても愛しても

一方的な愛情の垂れ流し。



私の心が空っぽになるだけで

満たされることはない。


どんどん干からびる。





楽しいこと?

…なんだろう。

子供達とふれあっている時。


幸せだと思うこと?

子供達がいてくれること。


結婚してよかったこと?

子供達と会えたこと。


そこにハルの存在はない。




ハルにとって私とはなんだ?


私にとってハルとはなんだ?






子供がいない時間を狙って

お昼寝中のハルの

背中をぐいっと戻して

無理矢理、口で元気にして

間髪入れず乗った。


ハルの気持ちを確かめたい。



グッ  グッ


い、痛いな…

こんなの、すぐ乾いちゃうよ。


愛がないもの。


諦めて降りようとすると

ガッ!

腰を掴まれてひっくり返された。


「えっ…えっ?」

ああ、今日はしてくれるんだ。


めずらしい…



ズン! ズン! ズン!

い、痛っ

ズン! ズン! ズン!

痛い 痛い 痛い



ハルと私のサイズは合わない。

私の体には長すぎるんだ。


「………んあっ!」

「…ぎっ……ぐぅっ!」


悲鳴を喘ぎ声にして
誤魔化そうとしても

苦痛の声が混じってしまう。



ハルの動きが早くなる。

ガガガガガガガガガガ

奥に当たる。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い





終わった後


ハルはさっさと服を着て

コーヒーを一口飲み

私に背中を向ける。



裸のまま

放ったらかしの私は

ティッシュを股間にあてがう。


また うっすらと赤いシミが…


激しく突かれて鈍痛がする

下腹部をさすりながら


下着を履き、服を着て、


部屋の角で泣く。




うん、そうだよね。



嫌われてはいないと思うけど…

これだけは言える。



きっと、愛されてはいない。