2人め妊娠に成功した。


会社の飲み会でベロンベロンに
酔っ払って帰って来たハルに

チャーンス!!

とばかりに乗ってやった。


見事に百発百中。



ハルに

「家族が増えますよ」

と報告したら

めちゃめちゃ驚いていた。

そりゃそうだ。


酔っ払って帰ってきた日のことは
あんまり記憶がないと言うし。


とりあえず

『本当に俺の子か?』

なんて言われなくてよかった。






「わあーい!お姉ちゃんだ!」

咲希は飛び跳ねて喜び、
私のお腹をさすってくれた。



『男の子がよかった』

と言っていたハルの希望を
今度は叶えたいところだったが

女の子だった。



性別がわかった日、

希望が実るように と

『実希』

早々に名付けた。





2回目なので、もう
だいたいの流れは把握している。


親に電話をして

退院の日はお迎えに来てもらうよう
さっさとお願いをした。


そして
たたんでしまってあった
ベビーベッドも私が組み立てた。


ハルは当てにならない。




10分間隔で陣痛が来たのを見計らって
一人で産婦人科に行った。

咲希の出産時と同じ病院なので安心だ。



今回もなかなか出てこなかったけど
なんとか自然分娩ができた。





ベビー室の前で
ガラスにへばりついて
新しい命を見つめるハルと咲希。



そこにあるのは

家族が増えた喜びと重み。






「実希、おなかしゅきましたか?」

「はいはい、ねんねちまちょうね」


咲希はお姉ちゃんぶりを発揮して、
小さいお母さんのようだ。

つきっきりで相手をしてくれるので
家事がはかどって

本当に助かる。




ハルはと言えば。

資格を取り、実務経験を重ね、
やっと一人前の税理士になれた。


予想通り、
ますます家にいる時間が短くなる。



「お父さん今日もご飯いらないって」

「お父さん今日も遅いんだって」


それが日常になり、
いちいち咲希に報告することもなくなった。



もちろんお給料は上がるが、

決まった額の生活費しか貰ってない
私にとっては、実感が全くない。


今まで通り、
だいたい週に一万円。


食費も日用品も医療費も
なにからなにまで全部含めて。


正直ちょっとキツイが、
うまくやりくりできない私が悪い。


ハルに『もっと下さい』なんて言えない。






『子供は3人欲しい』

『男の子がいいな』

ハルのこの言葉を忘れたことはない。



早いもので

咲希は小学生になり
実希は幼稚園に入れたので、

また酔っ払い作戦を行使する。



またまた百発百中だった

…のだが、


役所に行かなくてはならない用事があり
大丈夫だろうと油断して

自転車に乗ったのが間違いだった。



夜中に物凄い腹痛で目が覚めると、
大量に出血していた。


ハルにお願いして病院に行ったが
もう既にダメだと。




処置をしてもらっている間、

ハルが言い放った

『役所?せっかくの休みなのに?』

この言葉を思い出していた。



まだ悪阻の時期だと知ってるよね?

なんで車で連れてってくれないの?


油断した私も悪いけど、

無理して自転車に乗ったから
こんなことになったんだよ…



せっかくの休みだからと
ゲームに夢中になって

動いてくれないハル。


あまりにも無神経すぎる。



天井を見つめながら
こみ上げてくる涙を必死で我慢した。




ヨロヨロしながら歩き、
廊下で待っていたハルが言った

「大丈夫?」

このセリフを聞いて

『大丈夫なわけあるか!』

怒鳴りそうになった。



はらわたが煮えくりかえったが、
自転車に乗った私も悪いんだ。


「大丈夫」


心を整えて
精一杯の作り笑いをした。





生まれてこれなかった子の魂が
またうちに来てくれますように


その思いで

またまたまた、
酔っ払いのハルに乗る。


年末に近付いたせいか呑み会が多くて
チャンスには恵まれていた。

今度は百中百発じゃないようだ。



出費は痛かったが
妊娠検査薬を4回ほど買った後…

ヒットした。



喜びと安堵感と解放感。


もう子作りのために
やらなくてもいいんだ…!




酔っ払って大の字に転がり
ガーガーと眠る
だらしないハルに静かに近付き、

ハルの下着を脱がせ
口で元気にして
自分も下着を脱いで
自らの手で潤し
そっと上に乗って
自分だけ一所懸命腰を振って
うっ…と顔を歪めるハルを見て
そっと下りて
自分とハルのナニをティッシュで拭き
すごすごと下着を履いて
布団に潜って一息ついて眠る…


こんな虚しいセックス、
もうしなくていいんだ。




幸い、男の子だと判明したので
もうこれで終わりだ。


私に課せられた役目は、
もう終わり。


頑張ったよ、私。





ハルが水色のロンパースを買ってきた。


そして名前を

『光希』

と決める。






「ほんぎゃー!」

生まれたての
赤くて小さい光希が

私の胸の上に乗せられた。


やっと会えたね。

私があなたのお母さんだよ…


咲希の頃とは大違いの
この余裕。


私も子供達と共に成長した。





ーーーさあ、出揃った。



5人家族。


私達はこのメンバーで生きていく。




これからどんな未来が

待ち受けているのだろう。