期限を切られた人生の中で・・・・「がんと闘った科学者の記録」 | フォトリーディング読書感想文

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がんと闘った科学者の記録/戸塚 洋二

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人は死を怖れる必要が全くない。
死を怖れている間は、まだ死は来ていない。
そして、死が本当にやってきたときには、あなたはもういない。
だからあなたが死と会うことは永遠にない。

―――ギリシャの哲学者エピクロス



ノーベル賞受賞者の小柴さんの弟子で次のノーベル賞に最も近い科学者と言われていた、
東京大学名誉教授、故戸塚洋二さんが匿名でインターネットのブログに書き綴っていた、
がんとの闘病記録です。

そのブログを、同じがん患者である立花隆さんがまとめたものです。


医者からもらった自分のがんのCT画像の写真をデジタル化して、
その大きさを計測し、がん細胞の成長曲線を描いて、予後を推定したり、
そこに抗がん剤の服用期間を書き入れ、その効果を測る詳細な記録も書かれています。

常人では考えられない内容です。
長年、研究生活をしていたので、どうしても測定してしまうのだそうです。

また、このブログには、身の回りの植物に関する観察記録もたくさん出てきています。

しかし、死への恐怖もすこしずつ襲ってきます。

【人生】と題した2008年2月10日のブログです。
我々は日常の生活を送る際、自分の人生に限りがある、などと考えることはめったにありません。
稀にですが、布団に入って眠りに就く前、突如、

▼ 自分の命が消滅した後でも世界は何事もなく進んでいく
▼ 自分が存在したことは、この時間とともに進む世界で何の痕跡も残さずに消えていく
▼ 自分が消滅した世界を垣間見ることは絶対にできない


ということに気づき、唖然とすることがあります。
お前の命は、誤差は大きいが平均値をとると後1.5年ぐらいか、と言われたとき、
最初はそんなもんかとあまり実感が湧きません。
しかし、布団に入って眠りに就く前、突如その恐ろしさが身にしみてきて、
思わず起き上がることがあります。・・・・・

何とか死の恐れを克服する、いってみればあきらめの境地はないのだろうか。
そのような境地を見つけてはいませんが、
その理由を克服する諦めの考えが一つ二つ思い浮かぶことがあります。

▼ 幸い子供たちが立派に成長した。親からもらった遺伝子の一部を次の世代に引き継ぐことができた
▼ 私にとって、早い死といっても、健常者と比べて10年から20年の違いではないか。
みなと一緒だ、恐れるほどのことはない
▼ 宇宙や万物は、何もないところから生成し、そして、いずれは消滅・死を迎える。
いずれは万物も死に絶えるのだから、怖れることはない


ちょっと情けない考えですが、一蓮托生の哲学によって気が休まります。・・・・・

結局、充実した人生を送るための糧はまだ見つかっていません。


死が近いとき人は何を思うのでしょうか?

期限を切られた人生の中で何を糧に生きればよいのでしょうか?

深すぎて、答えのない問いです。


悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思つていたのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた。
―――正岡子規




目次

序文(立花隆)
The First Three‐Months—2007年8月4日~2007年10月31日
The Second Three‐Months—2007年11月3日~2008年2月8日
The Third Three‐Months—2008年2月9日~2008年4月29日
The Fourth Three‐Months—2008年5月3日~2008年7月2日
対談「がん宣告『余命十九ヵ月の記録』」(戸塚洋二×立花隆)