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「今年は交通事故死が減っている。年間で1万人を大きく下回りそうなペースである。
しかし、こんなことで喜んでいる場合ではない。まだまだ、年間で数千人が亡くなっている。
交通事故減の目標が低いのではないのか?
もっと政府は予算を使い、事故減を目指さなければなければならない・・・・・」
先日、地方紙を読んでいたら、こんなコラムがありました。
交通事故死が減るのは、確かにいいことには違いないですが、
日本は自殺者が多いのに、そのことに関する報道はほとんど目にしません。
日本は世界トップクラスの自殺大国です。
日本の自殺者の割合は、男性は第1位(OECD16カ国中)。
男女合計でも第2位。
年間の自殺者が10年連続で3万人を超え続けています。
「日本の殺人」の書評でも書きましたが、
交通事故死が年間で1万人、他殺死は700人。
それに比べて、日本の自殺者の人数は異常に多い。
自殺は日本の大問題なのです。
競争社会から弾き飛ばされた人々が飛び降りる結果になるというよりも、世の中の側が自殺に追い込まれていく人間をあらかじめ生贄か栄養源として計算しておき、よってたかって貪りつくす。
それをまた、小賢しいマスコミや政治家が、経済活性だ、生産性の向上だと称して賞賛しては拍車を掛けていく。
過去10年間の日本ではそんな悪循環ばかりが繰り返されてきたのではなかったか。
(P24)
自殺者のうち男性が、70.9%。
特に、30代から50代の働き盛りが半数以上を占めます。
その成功物語ばかりが宣伝される国鉄や電電公社、専売公社などの民営化も、おびただしい犠牲者を生んできた。
労働者だけではない。2005年のJR福知山線で107名の死者を出した事故もまた、民営化による利益至上主義、安全軽視が背景にあったと言われる。
巨大組織の存在基盤、ということはその構成員を貫いてきた価値観を根底から覆そうとする試みには、人間の生命もコストとして割り切る発想が、初めから包含されているのかもしれない。
(P73)
自殺は、当事者の個々人の精神的な弱さの問題として扱われてきました。
けれども、統計に表れている実態は示唆しています。
多くが社会的な構造に起因した、社会問題なのです。
ストレス社会、人間同士の絆が切れて、孤立している。
競争社会にあって、職場では過労自殺もめずらしくない。
不況の中で自殺者が増えている。
本書は、自殺を「社会的に強いられる死」という視点から探ります。
日本の隠された大問題に迫った必読本です。
目次
序章 年間自殺者一〇年連続三万人超
第一章 パワハラと過重労働の果てに
第二章 死を誘う郵政民営化
第三章 多重債務問題の本質
第四章 倒産という呪縛――中小企業経営者
第五章 閉ざされた世界――学校と自衛隊
第六章 絶望と、それでも、これから(前編)
第七章 絶望と、それでも、これから(後編)
あとがき