「精神科医は腹の底で何を考えているか」 | フォトリーディング読書感想文

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精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書)/春日 武彦

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「精神科医は何を考えて医療行為を行っているのか?」

「そもそも心を治すとはどういうことなのか?」




本書は、精神科医が、自分自身の精神医療の考え方、
今の精神医療の営みについて書いています。



診察の場面での、患者との会話風景、
さまざまな精神科医の登場、

精神医療の実態を垣間見ることが出来ます。



他の診療科と違い、精神科での治療のほとんどは、問診と投薬のみです。

病気そのもののも、治療や対応においても、曖昧な事柄が多い。



わかりやすい正論や、シンプルな原理原則では納まりきらない要素が多い。


精神科医自身の人間性に結果が大きく左右されるのです。


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患者とのギャップ

精神科は、宿命的に、患者が考えている問題点と医者が考えている問題点とのあいだにギャップが存在するのであり、そこが常に円滑に埋め合わされるとは限らないのが厄介なところである。


妄想はなぜ生じるのか

我々が妄想を一笑に付し、あるいは当惑して立ち尽くしてしまうのは、それがあまりにも常識からかけ離れ、現実にそぐわないからであろう・・・・
妄想とは物語である。患者はその物語を自分の人生へ導入することによって、やっと世界を納得することが可能になる。たとえば総合失調症の発病当初においては、しばしばと望もない病的不安が患者を抱え込む。


神経症の原因は

困難な状況や環境と、本人の性格との組み合わせで生じる。本人なりの感じ方や考え方と、苦痛をもたらすシチュエーションとが、時に神経症の症状をもたらすことになる。


何が治ったということなのか

薬やカウンセリングで、神経症の症状はある程度は改善するだろう・・・・
精神症に対しては「治る」という概念は単純には当てはまらない。状況や環境を整え、本人の性格を変えれば精神症は再発しないだろうが、それはもはや患者を別人に仕立て上げてしまうことであり、医療の関与する範囲を超えている。神経症の治療で目指すべきは、本人が現状といかに和解すべきかということである。


何を持って治癒とするか

多くの医師は、ほぼ回復したと答えるだろう。ただし問題は「ほぼ」という部分である。なるほど服薬さえ続けていれば99%は回復したと言ってよいのかもしれない。だが、残りの1%こそが重要な場合だってある・・・・
患者の置かれている環境や人間関係や成育史や思い込みや錯覚や意地やこだわりや、さもなければ精神構造そのものの偏りが複雑に関与しているからである。



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「人間は誰もが
フランケンシュタインのようなパッチワークで出来上がっている」



患者のことをだけを言っているのではありません。
精神科医自身のことでもあるのです。


心はツギハギだらけなのです。
だから、ほころんだり矛盾したりするのは当たり前なのです。



この本には100人の精神科医が登場します。
それぞれに特徴を持っています。

著者は、その100人の3分の2は自分自身でもあると言っています。
自分の精神もパッチワークなのです。


人は心の中にたくさんの様々なものを抱えているのです。



人の精神を覗きこむ精神科医というものは、

自分の中の矛盾した精神にふれることでもあるのかもしれません。




目次

第1章 赤ひげ医師・熱血医師・愚かな医師
第2章 相性ということ
第3章 技術と人柄
第4章 優しさと支配
第5章 物語・心・世界
第6章 偽善と方便
第7章 幸福・平穏・家族