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著者: 宇田賢吉
出版社:中公新書
価格: 840円
発売日:2008年5月25日
☆☆☆☆☆
「電車の運転士」
僕が子供の頃、男の子が将来なりたい人気職業の一つであった。
男の子がなりたい職業[第一生命保険が発表した子供へのアンケート]
① 野球選手
② サッカー選手
③ 学者・博士
④ 大工さん
⑤ 食べ物屋さん
⑥ お医者さん
⑦ テレビ・アニメ・絵本キャラクター
⑦ 警察官・刑事
⑦ 電車・バスの運転手
⑩ おもちゃ屋さん
⑩ 消防士・救急隊
2005年のデータであるが、いまだに堂々7位である。
時速100キロ以上の速さで数百トンの列車を率いて走行し、時刻通りにホームの定位置にピタリと停める…。
JRの運転士として特急電車から貨物電車まで運転した著者が、電車を動かす複雑精緻なシステムと運転士という仕事をわかりやすく紹介している。
特に、電車の発進、走行、停止方法などの具体的な運転方法と、運転士に求められるもの、何を考えどのように運転しているかについての内容は興味津々である。
目次
第1章 鉄道の特徴
第2章 発射と加速
第3章 走る?駅から駅まで
第4章 止まる
第5章 線路と架線
第6章 安全のこと
第7章 より速く
第8章 運転士の思い
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運転士から見た上手な運転、理想的な運転
①運転速度が遅いこと
速度が遅いほど動力費が少なくなり、速度制限箇所を余裕を持って通過できる。何かのアクシデントがあった場合も影響が少なくてすむ。遅れたときの回復も早い。安全・快適・経済運転に貢献できる。
②大きいブレーキを使用すること
大きいブレーキは減速度が大きく、ブレーキ距離もブレーキ時間も短くなる。結果として運転時間も短くなり、その分を走行速度の低下や遅れの回復に回せる。安全・高速に貢献できる。
③速度制限のクリアの仕方
速度制限があれば制限いっぱいで通過するのが望ましい。制限箇所も速度の余裕が欲しいところだが、許された速度で最高効率を求めればこうなる。高速・安全に貢献できる。
④無駄な時間の短縮
出発合図を受けてから発車までの時間、停止してドアが開くまでの時間など全部がロスタイムとなる。運転時間を一秒短縮するためにどれだけのスピードアップが必要かを理解すれば、運転時間の短縮の意味がわかる。
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列車が遅れる原因はほとんど乗降時間の増加である。
運転士の責任ではないものの、遅れを回復する最も有効なのは、無駄な時間の短縮と、次に制限速度を無駄なく通過することである。
ブレーキに関しては、「無駄なく」は「行きすぎ」の危険と隣合わせている。
自分の運転による遅れも発生する。特にブレーキを慎重に使用すると5秒の遅れは直ちに発生する。これを回復しようとすればさらに無理と重ねる。
どこまでが無理で、どこからか無謀かは個々の判断になり、ここの状況や能力での判断になる。
運転士は秒針に追われて走る仕事である。
現在はスピードアップが追及されて、ひたすら走ってやっと定時が常識になりつつあるようである。
安全・正確・定時にプラスして、当然、快適さも求められる。
この本から学んだこと
電車の運転はバランス感覚が必要