「禁止されていることも集団でならば心理的な抵抗もなく実施してしまえる」ということを赤信号に例えて「赤信号みんなで渡れば怖くない」とはよく言うが、この「赤信号みんなで渡れば怖くない」ってとても恐ろしいことだと思う。

たしかに、赤信号を一人で渡るのは周囲の目が気になるし躊躇するが、みんなで渡るのであれば周りの視線が気になることもないし堂々と渡ることができるという気持ちはよく分かる。また、周囲の視線や声を気にし過ぎると行動ができなくなってしまうので、過度に周りを意識するということは日々の生活にマイナスな影響を及ぼすとも思う。しかし、赤信号の場合に限らず、本当は良くない行為と分かっていながらみんなもやっているからといって規律を乱していくと無秩序な社会になってしまうだろう。「お天道様が見ている」という言葉も古くからあるが、周りの目線や声のことを気にするからこそ規律を守って生活できるという面は確実にあると思う。

赤信号を渡るということは、一人でしようがみんなでしようが危険なことに変わりはない。だから、その危険な行為をみんなですれば周りの目も気にならないし堂々とできるという現象はとても危ないことだと思う。この「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な現象が国の規模で起きた際に発生してしまうのが、戦争や紛争ではないだろうか。人を殺すということ、爆弾を落とすということは、どんなことがあっても絶対にためらわなければならないことであるし、やってはいけないことだ。それをみんながやっているから自分たちの行為は正当的なことだと考えることが、戦争の発生や拡大につながってしまうのではないだろうか。


危ないことは、一人でやろうがみんなでやろうが危険であるし、みんなで行うとその危険な行為がより加速してしまうということだ。