綺麗な包装紙に包まれた小ぶりの箱がある。郵便で届いたらしい。眠かったので、中に何が入っているのか開けてみることもせず、うとうとしていると夢の中で高校時代の友人が歌を歌っている。その歌をよく聴いていると、その箱の中は爆弾で、もうすぐ爆発する、というメッセージだった。びっくりして7階の窓から箱を放り投げた。「パン」と爆発音が聞こえて、窓の外を見ると、自転車に乗った人が転んでいて、人々が立ち止まり、電話で救急車を呼んでいる。
これは大変なことになった、警察に電話しなければ、と思い、電話をすると、女性が出たが、ピーピー雑音が入って、すぐに切れてしまった。10秒程待ってまたかけ直すと今度は「もしもし、どうしました」と男の声がしたので、「重大なお話がありますので、すぐに来て下さい」と言うと、「わかりました。すぐ行きます」と言って切った。
ドアを開けて待っていると、五分もしないうちに背の高い屈強そうなモヒカン刈りの私服刑事が階段を上ってやってきた。わたしはついでに廊下の郵便箱から郵便物を取り出して、刑事を部屋に入れた。その郵便物はA4サイズの大きな封筒がふたつ折になっていて、見ると、タイにいる別の友人からであった。わたしの宛名の下に、なぜか小さく「お前をまだ友人として見捨てていない」と書いてあった。刑事はそれを見て、「ほほう、タイからですか」と言ったが、わたしは封筒を横においた。
「で、重大なお話とはどんな…」と刑事が切り出す。わたしはこの事件をどう説明したらよいのか迷いつつ話し始めた。
「ほら、近頃は何でもインターネットで買い物が出来るので、店で買い物をすることはあまりないでしょう?」
「そんなことはありませんよ。わたしはナイキの靴を買う時など、店に買いに行きますが」
「そうですか…。ともかく、わたしは自分が買った覚えのない箱がこの部屋にありまして」
「はあ。どこですか?」
「それは順を追ってお話します。…なぜその箱がここにあるのか、その箱は何なのか、よく考えることなく、わたしは眠ってしまったのです」
そこまで話して、あっ、この話をしても信じてはもらえない、これは非常にまずいことになった、と気がついた。しかし、この際、話すしかない。
「そうすると、夢の中で高校時代の友達が、その箱は爆弾である、もうすぐ爆発する、と歌の中でメッセージを送ってきたのです」
刑事の目が光る。
「それで?」
「わたしはびっくりして目を覚まし、目の前にあったその箱を窓の外に投げ捨てたんです」
そう言い終わった時、刑事の手はすでにわたしの腕を掴んでいた。わたしは言った。
「あとはご存じの通りです」
刑事はわたしの腕を掴んだまま立ち上がり、玄関までわたしを連れて行ったが、「そうでしたか。いや、わかりました。ではわたしはこれで失礼しますが、あなたはクリスマスは何処かへ行かれますか?」と遠回しに確認した。わたしは「いいえ、ここにいる予定です」と答えた。そして刑事は階段を降りて帰って行った。
ああ、困ったな、やはり冤罪を着せられることになるのだろうか、どうしよう、と部屋の前に突っ立っていると、同じ階に住んでいる老人が来て、「どうです、風呂へ行きませんか」という。このおじいさんは青銅で出来ていて、よく喫煙コーナーで話をするのだ。このアパートは老人ホームなのだった。
「そうですね。行きましょうか」と返事をしたところへ、うちのものが何も知らずに階段を上って帰って来た。爆弾が部屋にある時でなくてよかった、と思った。
これは大変なことになった、警察に電話しなければ、と思い、電話をすると、女性が出たが、ピーピー雑音が入って、すぐに切れてしまった。10秒程待ってまたかけ直すと今度は「もしもし、どうしました」と男の声がしたので、「重大なお話がありますので、すぐに来て下さい」と言うと、「わかりました。すぐ行きます」と言って切った。
ドアを開けて待っていると、五分もしないうちに背の高い屈強そうなモヒカン刈りの私服刑事が階段を上ってやってきた。わたしはついでに廊下の郵便箱から郵便物を取り出して、刑事を部屋に入れた。その郵便物はA4サイズの大きな封筒がふたつ折になっていて、見ると、タイにいる別の友人からであった。わたしの宛名の下に、なぜか小さく「お前をまだ友人として見捨てていない」と書いてあった。刑事はそれを見て、「ほほう、タイからですか」と言ったが、わたしは封筒を横においた。
「で、重大なお話とはどんな…」と刑事が切り出す。わたしはこの事件をどう説明したらよいのか迷いつつ話し始めた。
「ほら、近頃は何でもインターネットで買い物が出来るので、店で買い物をすることはあまりないでしょう?」
「そんなことはありませんよ。わたしはナイキの靴を買う時など、店に買いに行きますが」
「そうですか…。ともかく、わたしは自分が買った覚えのない箱がこの部屋にありまして」
「はあ。どこですか?」
「それは順を追ってお話します。…なぜその箱がここにあるのか、その箱は何なのか、よく考えることなく、わたしは眠ってしまったのです」
そこまで話して、あっ、この話をしても信じてはもらえない、これは非常にまずいことになった、と気がついた。しかし、この際、話すしかない。
「そうすると、夢の中で高校時代の友達が、その箱は爆弾である、もうすぐ爆発する、と歌の中でメッセージを送ってきたのです」
刑事の目が光る。
「それで?」
「わたしはびっくりして目を覚まし、目の前にあったその箱を窓の外に投げ捨てたんです」
そう言い終わった時、刑事の手はすでにわたしの腕を掴んでいた。わたしは言った。
「あとはご存じの通りです」
刑事はわたしの腕を掴んだまま立ち上がり、玄関までわたしを連れて行ったが、「そうでしたか。いや、わかりました。ではわたしはこれで失礼しますが、あなたはクリスマスは何処かへ行かれますか?」と遠回しに確認した。わたしは「いいえ、ここにいる予定です」と答えた。そして刑事は階段を降りて帰って行った。
ああ、困ったな、やはり冤罪を着せられることになるのだろうか、どうしよう、と部屋の前に突っ立っていると、同じ階に住んでいる老人が来て、「どうです、風呂へ行きませんか」という。このおじいさんは青銅で出来ていて、よく喫煙コーナーで話をするのだ。このアパートは老人ホームなのだった。
「そうですね。行きましょうか」と返事をしたところへ、うちのものが何も知らずに階段を上って帰って来た。爆弾が部屋にある時でなくてよかった、と思った。