1987年9月、「シャトレ劇場」での公演の映像です(当時57歳)。

 

まだまだ、「若々しい」ですよね...。

 

 

 

 

「パンタン1981」、「オランピア1978」は、いずれも、「復活のライヴ」と言い得るものです。

 

 

 

こちらは、1981年11月、「イポドローム・ド・パンタン(パンタン競馬場)」の「大テント劇場」(現在では、この地に「ゼニット・パリ (Zenith Paris)」があります)にて行なわれた公演からの「ライヴ映像」です。

 

 

 

こちらは、1978年2月のオランピア劇場公演。

 

私がこの曲を「初めて」聴いたのも、この「ライヴ録音」でのことでした。

 

まさに、「好きな録音のひとつ」です。

 

 

 

こちらは、1969年2月のオランピア劇場公演の「ライヴ録音」ですが、「この曲」は、2022年、「没後25周年」を記念して「公開」された、「未発表音源」のひとつとなります(=「オリジナル盤」への収録はありません)。

 

「最新の大全集」(下記参照)にのみ収録されています。

 

 

(...とは言うものの、2002年、「別ルート」で発売された、「公演初日(2月4日)」の模様を収録したCDには、この曲も収録されていました)

 

 

 

 

「1960年代の音源」ではまだ、いくぶん、「抑えて」歌っているようにも感じられますが、この「ボビノ1967」(実際には、1966年12月収録)は、実際には、大変「熱」のこもったライヴだと、言うことが出来ると思います。

 

 

 

 

1990年、「最後の来日公演」に合わせ、この「モガドール1990」までは、「日本盤」も発売されていましたが、以降、それも途絶えてしまいました。

 

私自身、この「来日公演」が、「最初で最後の生バルバラ」でした(1990年10月1日 大阪「フェスティバルホール」)。

(この曲が歌われたのも、この公演で「最後」だったようです...)

 

 

 

 

バルバラの「代表作のひとつ」でもあるだけに、「毎回必ず歌われている」と言っても過言ではなく、その「ライヴ録音」も数多く、近年「発掘」された音源も、本当に「数えきれないくらい」ですが、「代表」して、「(オリジナル盤の)発売前」でもある、1964年4月19日に行なわれた、「ラジオライヴ」からの音源をどうぞ。

(もしかすると、この曲の「初披露の音源(のひとつ)」ではないかということです...)

 

 

 

 

こちらが、「オリジナル録音」となります(1964年録音/同年9月発売)。

 

公式の「リリック(歌詞入り)ビデオ」です。

 

 

 

一般にはほとんど知られていませんが、この曲には、最終的には「カット」となった部分も歌っている、「最初のバージョン(没バージョン)」も残っています。

 

2002年(「没後5周年」)以降発売の「大全集」に収録されています。

 

 

 

「オリジナル盤」はこちら。

 

 

 

「シャトレ1987」のCDは、「2枚」に分けて発売されています(今回の曲は、「Vol.1」に収録。「DVD」も発売されていますが、曲順は異なり、また、「PAL対応の再生機器」が必要です)。

 

 

 

「パンタン1981」のCDは、2012年版の「大全集」発売時に「再編集」された「2枚組」が、「最新」のものとなります。

 

「DVD」も発売されていますが、やはり、「編集」が異なっています。

 

 

「オランピア1978」のCDは、2004年に「1枚」で発売されたものと(1曲のみ「カット」)、「追加曲」を加えた、2枚組の「完全版」(2016年発売)があります。

 

 

 

 

 

 

 

2022年、「没後25周年」の「記念」として、何と「29枚組」という、「最新の大全集」が「発売」されましたが、本当に、変わらぬその「人気」と「カリスマ性」を感じさせます。

 

なお、上に挙げた音源はすべて、「こちら」に収録されています(*1964年4月の「ラジオライヴ」は「不明」)。

 

 

 

こちらは「全詞集」です(書籍)。

 

 

 

「未完」となった「自伝(回想録)」は、「日本語訳」も出版されています。

 

 

 

 

これまでの記事

 

 

 

(参考)こちらは、私が「参考」としている「ファンサイト」です。

http://passion-barbara.net/

 

 

 

 

さて...

 

 

 

本日「6月9日」は、フランスを代表する「偉大な女性歌手」、バルバラ(1930-97, 本名モニック・セール)の「誕生日」となります。

 

 

 

前回のジャック・ブレル(1929-78)の記事が、多分に、「タブーに挑戦」という意味合いがあったことから、今回も、これまでには採り上げることが出来なかった作品の紹介に、「挑戦」してみたいと思います。

 

 

 

...とは言うものの、今回の曲は、すでに「傑作」として有名で、「バルバラのファンであるなら、知らない人はまずいない」というくらいの作品ですから、「何を今までためらっていたんだ?」と言われても、仕方がないとは思います。

 

 

 

今回は、初期のバルバラを「代表」する作品で、ライヴにも欠かせない、「最も重要な曲のひとつ」でもあった、「a mourir pour mourir "死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)"」(1964)を、大変「遅まき」ながら、紹介してみたいと思います。

 

 

 

 

まず、今回のこの曲ですが、「(旧)フィリップス社」に移籍後「初」となったアルバム「Barbara chante Barbara (日本でのタイトル「私自身のためのシャンソン)」(1964年9月発売/日本では翌年発売)の、「トップナンバー」となった作品です。

 

 

 

翌1965年には、「ACC(アカデミー・シャルル・クロ)ディスク大賞」を受賞した「名盤」でもあり、これが、「真のスタートになった」と言っても、過言ではありません。

 

 

 

またこのレコードは、まず、「日本での成功」があったからこそ、広く知られるようにもなったのであり、それが、その後の度々の「来日」にもつながったと言え、それゆえ、私たち「日本人」にとっても、大変「大きな意味」を持つものだと言うことが出来るのです(=「バルバラの人気は、まずは日本から始まった」)。

 

 

 

このアルバムは、全12曲で構成されていますが、そのうち、いくつかの曲は、「最後」のシャトレ劇場公演(1993年)までも歌われています。

 

 

 

そして当時、このアルバムの「日本での発売」に「尽力」されたのが、音楽評論家、永田文夫先生(1927-2016)でした...。

 

 

 

「詳しく」は、こちらの記事をご覧ください(2016年5月19日付け)。

 

 

 

 

 

このアルバムで、「すでに正式に紹介している曲」を、いま一度、挙げておきましょう。

 

 

 

 

「Nantes "ナントに雨が降る"」。

(このアルバムの中で、「最も有名な曲」とも言えるでしょう)

 

 

 

 

「Pierre "ピエール"」。

 

「au bois de Saint-Amand "サンタマンの森で"」。

 

「gare de Lyon "リヨン駅"」。

 

 
 

 

アルバムの「全曲名」は以下の通りです。

 


1.a mourir pour mourir 死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)(「今回の曲」)
2.Pierre ピエール
3.le bel age ル・ベル・アージュ(彼はほとんど20歳のようだった...)
4.au bois de Saint-Amand サンタマンの森で
5.je ne sais pas dire... 私は言葉を知らない
6.gare de Lyon リヨン駅
7.Nantes ナントに雨が降る
8.chapeau bas 脱帽
9.Paris, 15 aout パリ、8月15日
10.bref 要するに
11.sans bagages あなたが帰る日(荷物もなしに)
12.ni belle ni bonne 私は美しくもなく、優しくもないけれど

 

 

 

「太字」が、これまでに、正式に紹介している曲です。

 

 

なお、今回の曲、a mourir pour mourir "死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)"」は、「日本発売」の際、「B面2曲目(8曲目)」に下げられていました(「Nantes "ナントに雨が降る"」が第1曲目で、「A面」「B面」を「逆」にした上で、「Pierre "ピエール"」と入れ替えられていました)。

 

 

 

 

 

それでは以下に、a mourir pour mourir "死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

 

 

今回の曲、a mourir pour mourir "死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)"」は、バルバラ自身の「死生観」が端的に表現された「哲学的な作品」で、「厭世的(ペシミスティック)」ではあるものの、決して、自ら命を絶つことを推奨した曲ではありません。

 

 

 

「どうせ死ぬしかないのなら...」というのが、「解釈」としては「最も当たっている」と思います。

 

 

 

この曲は、まさに、「現在」のこの状況にこそ相応しいとも思いますが、それはそれで、本当に、「暗い世相」だと思ってしまいますよね....。

 

 

 

バルバラは当時「34歳」で、まだまだ若く、「詞」も「曲」も、「前のめり」で「気負い過ぎ」と感じられる印象ですが、すでに、数多くの「人生の苦しみ(le mal de vivre)」を味わってもいました。

 

 

(詞の中の、「se faire lanlaire」という表現は、「古謡」などに見られる「古い言い回し」であり、「(邪魔者を)追い払う」といった意味の言葉です)

 

 

 

 

またこの曲には、最初にも挙げている通り、「カット」された歌詞も残る、「没バージョン」の録音も発見されていて、2002年、「没後5周年」の際に発売された「新全集」に、初めて収録されました。

 

 

ただ、実際に訳してみますと、「妙に生々しい感じ」がして、曲全体の「崇高な雰囲気」からは「ほど遠く」もなってしまうので、やはり、「カットは正解だった」と思いました。

 

 

 

 

そしてバルバラは、その「特徴」として、「どこで区切るのか分からないくらい長い詞」というものがありますが、一方で、今回の曲のように、「短いセンテンス」で、簡潔に書かれた作品もまた、いくつかあります。

 

 

 

「パンタン1981」で披露されたこの曲、「regarde "ごらんなさい"」もそうした作品ですが、何となく、「今回の曲」にも似ていますよね...。

(この曲は、当時、「ミッテラン政権」が誕生したことを「祝った」作品で、1981年5月12日に書かれたものです)

 

 

 

 

 

最後に、「タブー(?)」という点で言えば、「死を擬人化した」こちらの作品も該当するでしょうか...。

 

 

しかしこの曲も、その「文学的(戯曲的)要素」から、もっと「再評価」されてしかるべきだと、私は思います。

 

 

「la mort "死の訪れ"」(1975-81)。

 

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

 

それではまた...。

 

 

 

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a mourir pour mourir  死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)

 

a mourir pour mourir

je choisis l'age tendre

et partir pour partir

je ne veux pas attendre

je ne veux pas attendre

 

死ぬために死ぬのなら

私は、汚れを知らない時期を選ぶ

そして旅立つのに

私は待っていたくはない

私は待っていたくはない

 

j'aime mieux m'en aller

du temps que je suis belle

qu'on ne me voit jamais

fanee sous ma dentelle

fanee sous ma dentelle

 

私がまだ美しいうちに

去ってしまいたい

誰にも見られたくはない

レースの下で、色褪せてしまった私を

レースの下で、色褪せてしまった私を

 

et ne venez pas me dire

qu'il est trop tot pour mourir

avec vos aubes plus claires

vous pouvez vous faire lanlaire...

 

それから私に言いに来ないで

死ぬにはまだ早すぎると

あなたたちのより明るい夜明けとともに

どこかに消えてしまえばいいでしょう!!

 

j'ai vu l'or et la pluie

sur les forets d'automne

les jardins alanguis

la vague qui se cogne

la vague qui se cogne

 

秋の森の上に

私は黄金の光と雨を見た

物憂げな公園(庭園)には

打ち寄せる波が

打ち寄せる波が

 

(*au ventre de la nuit

j'ai couche ma jeunesse

mes matins ont fleuri

dans des lits de caresse

dans des lits de caresse*)

 

(*夜の体内で

私は若さを寝かしつけた

私の朝は花咲いた

愛撫のベッドの中で

愛撫のベッドの中で*)

 

et je sais sur mon cou

la main nue qui se pose

et j'ai su a genoux

la beaute d'une rose

la beaute d'une rose

 

そして私の首には

裸の手が置かれ

膝には

1本のバラの美しさが

1本のバラの美しさが

 

et tant mieux s'il y en a

qui les yeux pleins de lumiere

ont prefere les combats

pour aller se faire lanlaire...

 

そしてもし、光にあふれる目をした者たちが

戦いを望んだのであれば

それはそれでけっこう

邪魔者を追い払うために...

 

au jardin du Bon Dieu

ca n'a plus d'importance

qu'on s'y couche amoureux

ou tombe pour la France

ou tombe pour la France

 

神の庭では

それはもう、あまり重要ではない

愛し合うために横になろうが

フランスのために死のうが

フランスのために死のうが

 

il est d'autres combats

que le feu des mitrailles

on ne se blesse pas

qu'a vos champs de bataille

qu'a vos champs de bataille

 

機関銃が火を噴かない

また違う戦いもある

傷を負うのは

あなたたちの戦場だけとは限らない

あなたたちの戦場だけとは限らない

 

et ne comptez pas sur moi

s'il faut soulager mes freres

et pour mes freres ca ira

j'ai fait ce que j'ai pu faire...

 

そして私を当てにしないで

私の兄弟たちを助けなくてはならなくても

みんな、うまくやっていくことでしょう

私はもう、出来るだけのことはした

 

si c'est peu, si c'est rien

qu'ils decident eux-memes

je n'espere plus rien

mais je m'en vais sereine

mais je m'en vais sereine

 

彼ら自身が決めたことが

たとえほんのわずか、あるいは何もなくても

私はもう何も望まない

心穏やかに私は去る

心穏やかに私は去る

 

sur un long voilier noir

la mort pour equipage

demain, c'est l'au-revoir

je quitte vos rivages

je quitte vos rivages

 

黒く長い帆船の上で

乗組員としての死

明日にはもうお別れ

私は、あなた方の岸辺を離れる

私は、あなた方の岸辺を離れる

 

(**sur leurs beaux habits neufs

s'il versaient une larme

oh! consolez mes veufs

ils oublieront mes charmes

ils oublieront mes charmes

 

彼らの美しい新しい服に

もし涙が伝うのなら

男やもめを慰めてあげて

彼らは、私の魅力を忘れることでしょう

彼らは、私の魅力を忘れることでしょう

 

je ne leur laisse rien

je n'ai pas d'heritage

ni fortune ni biens

c'est trop jeune a mon age

c'est trop jeune a mon age

 

私は彼らに何も残さない

私には遺産と呼べるものはない

運も財産もない

私の歳では若過ぎる

私の歳では若過ぎる**)

 

car mourir pour mourir

je ne veux pas attendre

et partir pour partir

je choisis l'age tendre...

 

なぜなら、死ぬために死ぬのに

私は、待っていたくはないから

そして旅立つのに

私は、汚れを知らない時期を選ぶ...

 

 

 

訳注:(*)(**)の部分が「カット」された歌詞です。

 

また、(*)がカットされた代わりに、次の「et je sais sur mon cou~」が挿入されているので、「没バージョン」の方には、この部分の歌詞はありません。

 

 

 

(daniel-b=フランス専門)