今回の記事は、「最初期」に書いた記事(2016年5月14日付け)を「リブログ」して書いています(「元の記事」も、どうぞご覧ください)。

 

こちらは、「オリジナル録音」(1979年)をもとに作られた「リリック・ビデオ」で、「英仏」両方の「字幕」が付いています。

 

 

こちらは、近年のライヴ映像です。

(詳細な年月日は不明ですが、2018年9月25日にアップされています)

 

 

 

こちらは、2008年3月29日、フランス北部、ナンシーでのライヴだということです。

 

 

 

「ブレル財団」公式サイト

 

https://fondationbrel.be/maintenance/

 

 

 

「ジャック・ブレル」がテーマの記事一覧

 

(「今回の記事」も、「こちら」に分類しております)

 

 

 

 

さて...

 

 

もう間もなく、「フランスシャンソン界の3大巨匠のひとり」である、「グラン(偉大な)ジャック」(ジャック・ブレル)(1929-78)「誕生日」となりますが(4月8日」。今年は、「生誕95周年」の「記念の年」にも当たります)、その「甥」、ブリュノ・ブレル(1951-)もまた、「歌手」であることは、「フランス語圏」以外では、ほとんど知られていないと思います。

 

 

ベルギーの首都、ブリュッセルで、ダンボール工場長の息子として生まれたブレルには、6歳年上の兄、ピエールがいましたが、つまり、その「兄の息子」として生まれたのが、ブリュノ・ブレルというわけです。

 

 

 

こちらは、「写真」でたどる「ブレル家」、また、ブレル自身の「居住地(足跡)」ですが、その兄、ピエールの写真も、この中に登場していますね。

 

 

2018年10月、「叔父」であるジャック・ブレルの「没後40周年」の際、「France 2」の朝の情報番組、「Telematin(テレマタン)」において、ブリュノが、その「思い出」について話しています。

 

 

 

ブリュノは、ここで紹介されている書籍、「Jacques Brel en 40 chansons "40のシャンソンでみるジャック・ブレル"」「著者」のひとりです。

 

 

 

 

 

こちらは、2007年に発売されたボックス、「l'heritage et la descendance "レガシーと末裔"」の「プロモーションビデオ」です。

 

 

 

 

ブリュノは、叔父ジャック自身が、結局録音することがなかった、「je m'en remets a toi "あなた次第"」(1963)、「he! M'man "ねえ、ママ"」(1966-67)の2曲も採り上げています。

 

 

 

「je m'en remets a toi "あなた次第"」(1963)

 

 

この曲についての記事(「歌詞対訳」も載せています)

 

 

 

「he! M'man "ねえ、ママ"」(1966-67)

 

 

この曲についての記事(「歌詞対訳」も載せています)

 

 

 

 

叔父のヒット曲も数多く採り上げていますが、こちらの「Marieke "マリーク"」(1961)は、やはりベルギーのヘント(英:ゲント/仏:ガン)(「オランダ語圏」)出身の歌手、ミシュリーヌ・ヴァン・ハウテム(1968-)と「デュエット」したものです。

(2008年)

 

 

 

ミシュリーヌ・ヴァン・ハウテム公式サイト(英語)

 

 

 

もちろん、ブリュノが「ソロ」で歌った映像もあります(2008年3月29日)。

 

 

こちらは、2009年2月9日の映像で、「les vieux "老夫婦"」(1963)。

 

 

 

 

これより先は、ブリュノ自身の「オリジナル曲」を見ていきましょう。

 

 

いずれも「力作」ばかりで、「オリジナリティ」も感じられます。

 

 

 

「ce n'est pas vrai "それは本当じゃない"」

 

 

「la petite fille aux yeux tristes "悲しき目をした少女"」

 

 

「c'est beau "それは素晴らしい"」(1977)

(1977年11月13日放送)

 

 

「valse amusette "ヴァルス・アミュゼット"」(1977)

(1977年10月30日放送)

 

 

「les chevaux sont partis "馬は行ってしまった"」

 

 

「je suis flamand "僕はフランドル人"」

 

(「フランドル人」=「オランダ語圏生まれ」のベルギー人)

 

 

この曲のように、「フランドル(フラマン)人気質」にこだわるあたり、「叔父の影響」が、「まったくない」とは言い切れませんし、「その名の重さ」「意識」することもまた、「同様」ではないかと思いますが、ブリュノならではの、「オリジナリティ」あふれる曲を作り続けたところは、「さすが」だと思います。

 

 

 

「歌手」の他にも、「作家」であったり、「スポーツ選手」でもあったりと、なかなか「多才」な、このブリュノ・ブレルです。

 

 

 

 

それでは以下に、今回の曲、「les emigrants "移民たち"」(1979)の歌詞を、載せておくことにいたしましょう。

 

 

シャルル・アズナヴール(1924-2018)にも同名の曲がありますが、発表されたのは、その後の1986年のことですし、曲の雰囲気もまったく違います。

 

 

私自身は、この「les emigrants "移民たち"」を、ブリュノ・ブレル最高の作品として挙げたいと思いますが、いかがでしょうか...。

 

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

 

それではまた...。

 

 

 

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les emigrants  移民たち

 

ils ont au fond de leurs yeux

un peu du ciel de chez eux

ils ont au fond de leur coeur

des accents venus d'aileurs

ils ont encore dans les mains

un peu de terre de leur coin

ils ont les larmes de ceux

qu'ils ont laisses derriere eux

 

彼らは持っている その眼の奥に

彼らの故郷の空を少しだけ

彼らは持っている その心の奥に

他所から来た、そのなまりを

彼らはまた、持っている その手の中に

彼らの故郷の、わずかばかりの土を

彼らは持っている

かの地に残してきた者たちの その涙を

 

ils ont des chansons a boire

mais le vin n'est pas le meme

ils racontent des hisitoires

plus douces que des poemes

ils brulent leurs sovenirs

pour etre moins malheureux

et s'inventent un avenir

qui ne dependra pas d'eux

 

彼らは持っている 飲むための歌を

しかし、酒は同じではない

彼らは物語る

詩よりも快い作り話を

彼らはその思い出を燃やす

不幸にならないために

そして、何ものにも支配されない

未来を思い描く

 

les emigrants ont le coeur si grand

qu'ils ont tout l'univers dedans

 

移民たちは、とても広い心を持っている

その心の中に、「全宇宙」を持っている

 

les fatigues du voyage

dessinent sur leur visage

des rides qui a vingt ans

vieillissent un peu le printemps

ils ont vingt mille chansons

ramenees de l'horizon

et d'une noce rythmique

nait la nouvelle musique

 

旅の疲れが

彼らの顔に現れる

20年のしわが

春に彼らを少し老けさせる

彼らは2万という(とてもたくさんの)歌を持っている

地平線の彼方から持ってきた

そして、リズミカルな婚礼から

また新たな音楽が生み出される

 

ils ont amene les cousins

et les enfants de voisins

les filles pour faire la cuisine

et des garcons pour l'usine

ils ont amene une vieille

pas encore trop pres du lit

pour que les soirees de veille

elle les emmene au pays

 

彼らは、従兄弟たちを連れてきた

そして、隣人の子どもたちも

娘たちは台所へと入り

少年たちは工場へと

彼らはまた、連れてきた

まだまだ元気なおばあさんも

夜通しのパ―ティから

彼らを連れて帰るために

 

les emigrants ont le coeur si grand

qu'ils ont tout l'univers dedans

 

移民たちは、とても広い心を持っている

その心の中に、「全宇宙」を持っている

 

quand au bout de leur voyage

ils debarquent dans un nid

ca ressemble a un naufrage

mais pour eux c'est le paradis

leurs murs gris sont des fenetres

pour ceux qui viennent d'ailleurs

car il suffit d'un peut-etre

pour faire jaillir le bonheur

 

その旅の終わりに

彼らは、住処に荷を下ろす

それは、難破船にも似ている

しかし、彼らにとって、それは天国でもあるのだ

彼らの灰色の壁は

他所からやってきた者にとっては、窓でもある

たぶん、それだけで充分なのだろうから

幸福で満たされるためには

 

ils vont peindre la maison

avec les cris des enfants

et tendre sur les saisons

le linge qui claque au vent

ils vont nourrir de leur sang

les racines de vos vergers

quand repoussera le printemps

ils ne seront plus des etrangers

 

彼らは家を描き始める

子どもたちの叫び声で

時期が来れば

張った肌着(または「リネン」)が、風にはためく

彼らは育てる その血筋のまま

あなた方の果樹園に、その根を張るように

春が再びやって来る頃には

彼らはもう、異国の人ではないのだ

 

les emigrants ont le coeur si grand

qu'ils ont tout l'univers dedans

 

移民たちは、とても広い心を持っている

その心の中に、「全宇宙」を持っている

 

certains enfants du voyage

refont toujours leurs bagages

parce qu'ils ont dans le coeur

le gout d'un lointain ailleurs

parce qu'il faut des rivieres

pour que s'abreuve la mer

parce qu'il faut des mains de fer

pour arracher les frontieres

 

いくらかの旅の子どもたちは

いつでも、その荷物をまとめている

なぜなら彼らは心の中に

遠いかの地の、その味を持っているからだ

川が必要だ

海を飲み干してしまうために

鉄の手が必要だ

国境を越えるために

 

pour que toutes les ordures

soient pas sur le meme tas

pour qu'il y ait de l'aventure

en dehors des cinemas

pour perpetuer la race

du seul pays qu'est la Terre

pour montrer a ceux d'en face

qu'on est presque tous des freres

 

すべてのごみが

山積みとならないように

映画館の外でも

冒険があるように

地球上で唯一の国に

永遠に人類が存続するように

向かい合う人々に

私たちはみんな、兄弟のようなものだと示すために

 

pour que toutes les ordures

soient pas sur le meme tas

pour qu'il y ait de l'aventure

en dehors des cinemas

pour perpetuer la race

du seul pays qu'est la Terre

pour montrer a ceux d'en face

qu'on est presque tous des freres

 

すべてのごみが

山積みとならないように

映画館の外でも

冒険があるように

地球上で唯一の国に

永遠に人類が存続するように

向かい合う人々に

私たちはみんな、兄弟のようなものだと示すために

 

(daniel-b=フランス専門)