こちらは「オリジナル録音」です(1953年録音/翌1954年2月発売)。

使われている「ジャケット写真」も、「オリジナル」のものです。

 

 

もうかなり「古い」商品で、「入手」出来るかどうかは「運次第」ですが、「歌詞対訳」、「日本語解説」は大変「貴重」です。

 

こちらは、いわゆる「文庫版」の全集ですが、「オリジナル・ジャケット」を「再現」したスリーヴが大変「貴重」です。

 

「初期作品」のみの「後発盤」ですが、「ライヴ録音」、「カバー」、「インタビュー」なども収録されていて、意外と、「侮れない」内容となっています。

 

 

こちらは、「セカンド・ギター」のジョエル・ファヴロー(1939-)も加わっての、1970年代のテレビ番組からの映像からです。

 

バックで「コーラス」や、ちょっとした「伴奏オケ」も加わり、ブラッサンスも大変「幸せそう」です...。

 

 

モンマルトルにあった店の女主人、パタシュウ(1918-2015)(本名「アンリエット・ラゴン」)は、自らも「名歌手」として知られていましたが、ブラッサンスを「発掘」したことでも知られています。

 

1952年の初め、「オーディション」を受けに来たことから、「運命の出会い」を果たした二人...。

 

この曲は、パタシュウ自身も、「ステージで歌う」ことを決めましたが、単に「作者」としてだけではなく、「歌手」として歌うことも勧めたことから、ブラッサンスの「本格デビュー」が「決定」したのでした。

 

こちらは「ライヴ録音」のようですが、「詳細データ」までは「不明」です。

 

 

こちらは、1966年2月3日に、パタシュウが「テレビ番組」にて歌ったものです。

 

当時は、「伴奏オケ」の指揮者として、レイモン・ルフェーヴル(1929-2008)の名が挙がることが多いようですね...。

 

 

 

ロック歌手ルノー(1952-)は、ブラッサンスの「没後15周年」に当たる1996年、「トリビュート・アルバム」を発表しました。彼は、幼い頃からブラッサンスに慣れ親しんでいたということで、このアルバムは、当時、大変「話題」となりました。

 

 

 

これまでの記事

 

 

さて、今年は、フランス・シャンソン界の「3大巨匠」の1人、ジョルジュ・ブラッサンス(1921-81)の、「没後40周年/生誕100周年」という、「ダブル・アニヴァーサリー」となる「記念の年」に当たっています。

 

その「誕生日」が「10月22日」、「命日」は、そのちょうど「1週間後」という、「10月29日」で、まさに「ブラッサンス・ウィーク」とも言えるのですが、それに合わせて、「名曲」を、順次、紹介していきたいと思います。

 

 

今回紹介する曲は、再び「最初期」の作品となりますが、「親しみやすい有名曲」の多くは、概ね、この「最初期」に発表されたものだとも言うことが出来るでしょう。

 

 

今回の曲、「les amoureux des bancs publics "ベンチの恋人たち"」は、1953年に録音され、翌1954年2月に発売となった、「2枚目」のアルバム(通称「le vent "風"」。当時は「25cmLP」の時代でしたが、何と、「11曲」の収録です)からの1曲です。

 

 

「2ndアルバム」であるとは言え、当時は、まだ「デビュー間もない頃」でもありましたから、実際に作品が書かれたのは、「もう少し"前"にさかのぼる」と言っても過言ではありません。

 

 

1952年の初め、「紹介」されて受けに行った「オーディション」が、モンマルトルにあった「シェ・パタシュウ」...。

 

 

「女主人」であるパタシュウ(1918-2015)(本名「アンリエット・ラゴン」)は、自らも「名歌手」として知られていましたが、この時の「出会い」は、まさしく、「運命の出会い」とも言えるものでした。

 

 

「自作ですが...」と断って、「弾き語り」で数曲披露したブラッサンスでしたが、パタシュウはすっかり「魅了」され、即座に「採用」することを決めました。

 

 

その経緯については、こちらの記事にも詳しく書いています。

 

 

「自分はあくまでも作家。曲は、"誰かにあげるもの"だと思っていた」と、後年話していた通り、ブラッサンス自身は、「ステージ」に立つことを、最初は「固辞」していました。

 

 

しかし、パタシュウの「説得」に、ついには応じて、初めてステージに立った「運命の日」が、「1952年3月6日(9日とも)」のこと...。

 

 

「激しく緊張」しながらも、ステージに上がったブラッサンスは、ひと言の「あいさつ」もなしに、「いきなり」、歌い始めたということですが...。

 

 

それでも、結果は「大成功」!!

 

 

「無表情」な口から飛び出すその「大胆な言葉」に、観客は、大いに、「拍手喝采」を浴びせました。

 

 

レコード会社「フィリップス」との契約も「即座」に決まり、「数日後」には、「新聞」でも、

 

 

「パタシュウ、"新たな詩人"を発掘する」

 

 

という、「大きな」見出しが立てられたのでした。

 

 

これが、「巨匠ブラッサンス」の「デビュー」です...。

 

 

この、1952年3月12日付け、「フランス・ソワール紙(France-Soir)」の記事の「原文」を、私も長らく探していましたが、ジャンマリ・ヴェさんが、先に見つけてくださいました。

 

そして、「記事」として書かれています(「日本語訳」付き 9月5日付け)。

 

ぜひ、「ご参照」ください...。

 

 

 

ブラッサンスは、この詞のアイディアを、1926年に発表された、ジャンヌ・ラメル-カルス(1883-1976)の小説、「田舎の恋(仮)」(原題「Amour en Province」)から得たということで、作品中に登場する、「jardins publics(公園)」や、「les amoureux sur les bancs(ベンチの恋人たち)」が、その「モチーフ」となったようです。

 

また、1947年にはすでに、「下書き」も行なわれていたということです。

 

 

1956年に、「レコード」として「録音」、「発表」された、プエルトリコの「マズルカ・マリア」(「民謡」?)は、今回の「曲」に、大きく「関係」していると言われています。

 

また、2011年4月25日に発売された企画アルバム、「Echos du Monde "世界のエコー(こだま/反響)"」には、何と、この越路吹雪さん(1924-80)による「日本語版」が、「第1曲目」として「収録」されています。

 

 

 

こちらは、1976年に、「レジェンド」、シャルル・アズナヴール(1924-2018)(「10月1日」が「命日」でした...)と、テレビ番組にて「共演」した、大変「珍しい」映像です(「この二人」の場合、ブラッサンスの方が、「3歳年上」です)。

 

さまざまな曲を「二人」で歌っていますが、最後に、今回の曲、「les amoureux des bancs publics "ベンチの恋人たち"」を歌っています。

 

こちらは、同じ映像の「カラー版」ですが、その「最後の部分」が欠けています...。

 

「代わり」にこちらを...(これも、「フル」というわけではありません...)。

 

 

変わってこちらは、フランスの有名な「ものマネタレント」、アンドレ・オーベール(1923-2010)が、ブラッサンス、アズナヴール、ブレル(1929-78)の「マネ」をしながら、その「有名曲」を「パロディ」で歌うというものです。

 

「面白い」ので、拾ってみました...(1973年4月19日放送のテレビ番組から)。

 

 

ブラッサンスの曲...「les copains d'abord "仲間を先に(パリジャン気質)"」(1964)の替え歌、「mes reins d'abord "俺の腰を先に"」。

 

アズナヴールの曲...「je m'voyais deja "希望に満ちて"」(1961)の替え歌(「タイトル不明」)。

 

ブレルの曲...「les bonbons "ボンボン"」(1964)の替え歌、「je vous ai apporte les Bourbons "僕はブルボン家を連れて来た"」。

 

 

 

最後に、今回紹介の曲の、「アルバムタイトル曲(通称)」である、「le vent "風"」をどうぞ。

 

やはり、「名曲」です。

 

1979年1月に発売となった、通称「Brassens en jazz "ジャズ・ブラッサンス"」というアルバムにも収録されていますが、「アナログ時代」には、この曲を含む「2枚目」は、日本では発売されなかったと思います...。

 

 

テディ・マーチンのヴァイオリン・ソロが光る名演で、聴きものです!!

ジョエル・ファヴローのギターと、ピエール・二コラ(1921-90)のベースも絶妙に絡みます!!

 

 

このアルバムについての記事

 

 

 

以下に、「les amoureux des bancs publics "ベンチの恋人たち"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

 

この曲のタイトルは、当初は単に、「bancs publics」という、「シンプル」なものだったということです。

 

 

それではまた...。

 

 

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les amoureux des bancs publics  ベンチの恋人たち

 

les gens qui voient de travers

pensent que les bancs verts

qu'on voit sur les trottoirs

sont faits pour les impotents ou les ventripotents

mais c'est une absurdite,

car, a la verite,

ils sont la, c'est notoir',

pour accueillir quelque temps les amours debutant's

 

素直にものを見ることが出来ない人たちにとっては

歩道にある

緑色のベンチのことをこう思っている

身体の不自由な人や、太鼓腹の(太った)人のためのものだと

でも、それは正しくない

だって本当のこと

それがあるのは

初々しい恋人たちが、しばしの間を過ごすためのものだと、みんな分かっているから

 

(refrain)

les amoureux qui s'becot'nt sur les bancs publics,

bancs publics, bancs publics,

en s'foutant pas mal du r'gard oblique

des passants honnetes,

les amoureux qui s'becot'nt sur les bancs publics,

bancs publics, bancs publics

en s'disant des "je t'aim'" pathetiques,

ont des p'tits gueul's bien sympathiques!

 

(ルフラン)

公共のベンチでキスしあう恋人たち

公共の、公共のベンチで

道行く人々が

横目で見やることも気にせずに

公共のベンチでキスしあう恋人たち

公共の、公共のベンチで

心に迫る「ジュ・テーム」を言い合いながら

とても良い顔をしてるじゃないか!

 

ils se tiennent par la main,

parlent du lendemain,

du papier bleu d'azur

que revetiront les murs de leur chambre a coucher...

ils se voient deja, douc'ment,

ell' cousant, lui fumant,

dans un bien-etre sur,

et choisissent les prenoms de leur premier bebe...

(au refrain)

 

手と手を取りあい

明日を語り合う

二人の寝室に貼る

コバルト・ブルーの壁紙のことも...

二人はもう、ひそやかに想像している

縫物をする彼女に、タバコをふかす彼

安らいだ気持ちで

初めての赤ちゃんの名前を考えながら

(ルフランへ)

 

quand la saint' famille Machin

croise sur son chemin

deux de ces malappris,

ell' leur decoch' hardiment des propos venimeux...

n'empech' que tout' la famille

(le per', la mer', la fill', le fils, le Saint-Esprit...)

voudrait bien, de temps en temps,

pouvoir s'conduir' comme eux

(au refrain)

 

「聖家族」なんちゃらというのが

この無作法な二人と

道ですれ違ったとき

心ない言葉を、大胆にも浴びせてくることだろう...

家族みんなであろうと、それには変わりない

(父、母、娘、息子に聖霊までも...)

時には思う

二人のように振る舞えればと

(ルフランへ)

 

quand les mois auront passe,

quand seront apaises

leurs beaux reves flambants,

quand leur ciel se couvrira de gros nuages lourds,

ils s'apercevront, emus,

qu'c'est au hasard des ru's,

sur un d'ces fameux bancs,

qu'ils ont vecu le meilleur morceau de leur amour...

(au refrain)

 

何ヶ月かが過ぎ

二人の燃えるような

美しい夢も醒めるとき

二人の空が、重苦しい雲で覆われるとき

彼らは気付くことだろう

街の通りで何気なく座った

あのベンチのひとつで

二人は、この恋の、最上の瞬間を生きたのだと...

(ルフランへ)

 

(daniel-b=フランス専門)