「描かれる絵画」がモチーフとなった、大変「印象的」なMVです。

 

 

続いては、現在の「The Voice: La Plus Belle Voix」の「前身」とも言える、フランス「TF1」のオーディション番組、「Star Academy」の「シーズン4」(2004年)からの映像です。

 

この「シーズン4」では、2007年に「難病」のため「早逝」したグレゴリー・ルマルシャル(1983-2007)と、ニース出身の17歳、リュシー・ベルナルドーニ(1987-)が、この曲で「決勝」を争いました。

 

「視聴者」からの「リアルタイム投票」も行なわれたこの「決勝」は、何と「デュエット」で行なわれましたが、この番組で、「恋仲」になったとも言われるこの2人...。

 

「伝説の名場面」として、現在でも語り継がれている、大変「貴重な映像」です。

 

さて、今回は、前回の「ベルリンの壁崩壊から30年」の記事と、「4年前」の、あのパリでの「テロ事件」(2015年11月13日)を関連づけて、あらためてこの曲を紹介したいと思います。

 

実は、私自身「最初期」である、「2016年1月27日付け」の「拙い」記事(この記事は、その「リブログ」です)と、その後の記事内でも採り上げているのですが、「曲の紹介」としてはあまりにも「不充分」でした。

 

ですので今回、ここに、こうして書きます。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12159633622.html?frm=theme(参考:「パリの事件」から「半年」の記事)

 

今回紹介するこの曲は、今や、「フレンチポップ界の重鎮」とも言える、ベテラン歌手、フローラン・パニー(1961-)の「代表作」の1つである、名曲「chanter "歌おう"」(1997)です。

 

 

1961年11月6日、「ブルゴーニュ・ワイン」の産地として知られている、「シャロン=スュル=ソーニュ」(ソーヌ=エ=ロワール県)で生まれたフローラン・パニーは、13歳の頃からカフェで歌い始め、ラジオの歌唱コンクールで、何度も「表彰台」に上ったということです。

 

そのコンクールでは、母親が「大ファン」だったという、ルイス・マリアーノ(1914-70)の曲などを歌ったということですが...。

 

ルイス・マリアーノと言えば、まずこの曲を思い出しますね。

 

映画「八日目」(1996年。ダニエル・オートイユ主演、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督)でもおなじみの名曲、「Maman, la plus belle du monde "世界一きれいなママ"」(1957-1958)。

 

やがて、16歳の時、両親の「承諾」を得て(!)学校を「中退」し、パリに上ったということですが、パリでは、「ベビーシッター」や、「バーテンダー」などの「アルバイト」をしていたそうです。

 

しかしながら、並行して「演劇」を学び、また、3年もの間、パリ近郊ルヴァロワ=ペレのコンセルヴァトワールにも通ったことで、「バリトン歌手」という選択肢も出来たようですが、パニーは、あくまでも、「ポップ歌手」を目指していたようです。

 

こうしてパニーは、「1980年代」から、「俳優」として活動を始めましたが、1987年には、初めてのシングル「n'importe quoi "何でも"」をリリースし、これが、「歌手」として、初の「大成功」となりました。

 

公式の「ライヴ映像」です(1988年1月22日)。

 

1990年代の初めには、歌手で女優の、ヴァネッサ・パラディ(1972-)との交際をめぐり、報道陣と「対立」したため、2ndアルバム「realiste "レアリスト"」(1992)の売り上げは、「散々」なものに終わりました。

 

その後、「バカ者どもの集まり」を意味する、「無報酬」のチャリティー活動、「Les Enfoires(レ・ザンフォワレ)」(「自虐的」なネーミングです...)にも参加し、「再浮上」していきますが、特に、1995年に発売されたセミ・コンピレーション・アルバム、「bienvenue chez moi "ようこそわが家へ"」が、「2ミリオン」に迫る勢いとなったことは、「特筆」に値します。

 

パニーを初めて知ったのがこの曲でした。

アルバムの「タイトル曲」で、私自身、「お気に入り」の1曲です。

2003年のオランピア劇場公演の映像からどうぞ。

 

(「2枚組」で、ディスク2は「MV集」となっています)

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(こちらは「CD」です)

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そして、今回採り上げた「chanter "歌おう"」は、その後、1997年11月に発売されたアルバム、「savoir aimer "愛するということ"」に収録された作品ですが、このアルバムも「大ヒット」となりました。

 

この曲は、上掲のように、大変「印象的」なMVも作られ、「シングル」(1998年2月発売)としても「ヒット」しました。

 

詞を書いているのは、リオネル・フロランス(1958-)という方ですが、「作詞家」であると同時に、「画家」、「写真家」でもあります。

 

「MV」を見ると、「なるほど」とも思ってしまいますね。

 

また、曲を書いているのは、パスカル・オビスポ(1958-)という、こちらも大変「有名」なアーティストで、この前年に、やはり、リオネル・フロランスとの「共作」となる、「Lucie "リュシー"」(1996)を、自身で歌って「大ヒット」させています。

 

こちらの曲です。

 

フローラン・パニーは、昨年まで、オーディション番組、「The voice: La Plus Belle Voix」(TF1)の「審査員/コーチ」を務めていましたが、2016年の「シーズン5」で、自身が担当したスリマヌ(1989-)が、見事「優勝」を飾りました。

 

その一場面から。

曲は、ストロマエ(1985-)の「formidable "フォルミダブル"」(2013)。

 

それでは以下に、「chanter "歌おう"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

自らも、詞・曲ともに書いているフローラン・パニーですが、「あくまでも自作にこだわる」というスタンスでもないようで、それが、このような「美しい」作品を生み出すことにもつながったのでしょう。

 

また、ジャック・ブレル(1929-78)や、ダニエル・バラボワーヌ(1952-86)の「カバー」も発表しており、そういった意味では、ジュリエット・グレコ(1927-)をも、少し思い出させます。

 

今回の曲は、単に、「反戦」、「反暴力」というテーマにとどまらず、「歌う」ことで、「尊い命を救う」という意味で、あらゆる状況において、人々の「慰め」と成り得る「名歌」だと思います。

 

パニーによる「オリジナル」も「素晴らしい」ですが、グレゴリー&リュシーの「伝説のデュエット」もぜひお聴きください。

 

それではまた...。

 

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chanter  歌おう

 

chanter

pour oublier ses peines

pour bercer un enfant, chanter

pour pouvoir dire "je t'aime"

mais chanter tout le temps...

 

歌おう

その「苦しみ」を忘れるため

子どもを揺らすために、歌おう

「愛している」と言うことが出来るように

絶えることなく歌い続けよう...

 

pour implorer le ciel ensemble

en une seule et meme eglise

retrouver l'essentiel...et faire...

que les silences se brisent...

 

ともに「天」に祈るために

たったひとつの、同じ教会で

大切なものを再び見い出し...そして...

沈黙を破ろう...

 

en haut des barricades

les pieds et poings lies

couvrant les fusillades

chanter sans s'arreter...

 

バリケードの上で

足や拳をつなげて

銃撃を防ぐために

休むことなく歌い続けよう...

 

et faire s'unir nos voix

autour du vin qui ennivre

chanter quelqu'un qui s'en va

pour ne pas cesser de vivre...

 

そして声を合わせるんだ

酔ってしまいそうな酒のまわりで

歌おう 去っていく人が

生きることをやめないように...

 

quelqu'un qui s'en va

pour ne pas cesser de vivre...

 

去っていく人が

生きることをやめないように...

 

chanter

celui qui vient au monde...l'aimer...

ne lui apprendre que l'amour

en ne formant qu'une meme ronde

chanter encore et toujours...

 

歌おう

この世に生まれて来る者に...その者を愛し...

「愛」だけを教えるために

ひとつの「同じ輪」だけを形作りながら

繰り返し歌い続けよう...

 

un nouveau jour vient d'eclore...

pouvoir encore s'en emerveiller

chanter malgre tout toujours plus fort...

ne plus faire que chanter...

 

新しい一日がやって来る...

そのことにまた「感動」出来るように

歌おう いずれにしてもさらに強く...

もはや歌うことしか出来ない...

 

et faire s'unir nos voix

autour du vin qui ennivre

chanter quelqu'un qui s'en va

pour ne pas cesser de vivre...

 

そして声を合わせるんだ

酔ってしまいそうな酒のまわりで

歌おう 去っていく人が

生きることをやめないように...

 

je ne sais faire que chanter

pour quelqu'un qui s'en va

pour ne pas cesser de vivre...

 

ただ歌うことしか出来ない

去っていく人が

生きることをやめないように...

 

chanter(chanter)

pour oublier ses peines

pour bercer un enfant...chanter...

pour pouvoir dire "je t'aime"(je t'aime)

chanter tout le temps(tout le temps...)

 

歌おう(歌おう)

その「苦しみ」を忘れるため

子どもを揺らすために...歌おう...

「愛している」と言うことが出来るように(「愛している」と)

絶えることなく歌い続けよう...(絶えることなく...)

 

en haut des barricades

les pieds et poings lies(chanter...)

couvrant les fusillades(c'est clair...)

chanter sans s'arreter...(chanter...)

 

バリケードの上で

足や拳をつなげて(歌おう...)

銃撃を防ぐために(そうだ...)

休むことなく歌い続けよう...(歌おう...)

 

et faire s'unir nos voix

autour du vin qui ennnivre(chanter...)

chanter quelqu'un qui s'en va(qui s'en va...)

pour ne pas cesser de vivre...(cesser de vivre...)

 

そして声を合わせるんだ

酔ってしまいそうな酒のまわりで(歌おう...)

歌おう 去っていく人が(去っていく人が...)

生きることをやめないように...(生きることを...)

 

je ne sais faire que chanter

pour quelqu'un qui s'en va(qui s'en va, qui s'en va...)

pour ne pas cesser de vivre...

chanter...

 

ただ歌うことしか出来ない

去っていく人が(去っていく人が...)

生きることをやめないように...

歌おう...

 

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(daniel-b=フランス専門)