1968年12月29日放送のテレビ番組「ディスコラマ」からの映像です。

 

同日放送の映像からは、これまで、「la dame brune "ブルネットの婦人"」(1967)、「joyeux noel "楽しいクリスマス"」(1968)を紹介しています。

 

ちなみに、映画で使われた映像(モーリス・ベジャールが同席)は、「1969年5月11日」のものと思われますが、「DVD」、「動画サイト」ともに、該当映像は見つかりませんでした。

こちらは、1973年に歌った映像ですが、冒頭に「ちらっ」と、ジャック・ブレル(1929-78)の姿も見えます。

こちらは、1969年2月のオランピア劇場公演の「ライヴ録音」からです。

こちらが「オリジナル録音」ですが、「第1節」の歌詞が、この録音だけ異なっています(下記の「歌詞」をご参照ください)。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(これまでの記事)

 

さて、今回から「3回」にわたり、この2日に日本でも「DVD」が発売された、映画「バルバラ~セーヌの黒いバラ」(2017年。マチュー・アマルリック監督)の劇中で歌われた(使用された)、バルバラ(1930-97)の名曲を採り上げてみたいと思います(この記事は、前回記事の「リブログ」となります)。

 

採り上げる作品は、次の3曲です。

 

「今回」...「du boud des levres "口先だけで(くちびるの端に)"」(1968)

「次回」...「d'elle a lui  "彼女から彼へ"」(1903-58)

「次々回」...「attendez que ma joie revienne "わが喜びの復活"」(1963)

 

というわけで今回は、映画の「予告編」でも大きくフィーチャリングされている名曲、「du bout des levres "口先だけで(くちびるの端に)"」(1968)について書いてみたいと思います。

 

参考までに、映画の「予告編」をどうぞ...。

 

 

この作品、「du bout des levres "口先だけで(くちびるの端に)"」は、1968年の夏から秋にかけて録音され、同年10月に発売された傑作アルバム、「le soleil noir "黒い太陽"」(全11曲)の中の「1曲」です。

 

このアルバムからは、これまでにすでに「6曲」を紹介していますから(この曲についても、すでに触れています。また、「le sommeil "ねむけ"」についても、先日の記事にて触れました)、「正式」には、これが「7曲目」の紹介ということになります(まさに、「傑作の森」です!!)。

 

以下は、このアルバムの曲目です(邦題は、「日本発売時」のものとなります)。

 

1.le soleil noir  黒い太陽 ...(バルバラの「最高傑作」の1つです!!)

2.plus rien  もう何もない

3.gueule de nuit  夜の顔

4.le sommeil  ねむけ(眠りから眠りへ)

5.tu sais  知ってるでしょう

6.le testament  遺言

 

(「アナログ盤」では、ここまでが「A面」です)

 

7.mes hommes  わたしの恋人たち

8.mon enfance  私の幼いころ

9.du bout des levres  くちびるの端に(口先だけで) ...(今回紹介の曲)

10.l'amoureuse  恋する女

11.joyeux noel  楽しいクリスマス

 

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12324573006.html?frm=theme(「黒い太陽」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12325598009.html?frm=theme(「夜の顔」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12331828633.html?frm=theme(「わたしの恋人たち」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12422310820.html?frm=theme(「私の幼いころ」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12326601167.html?frm=theme(「恋する女」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12338581204.html?frm=theme(「楽しいクリスマス」の記事)

 

このアルバムでは、「le soleil noir "黒い太陽"」をはじめとして、「mon enfance "私の幼いころ"」や、「mes hommes "わたしの恋人たち"」、「l'amoureuse "恋する女"」、「gueule de nuit "夜の顔"」といった「大作」が「目白押し」で、内容としても、「重い」ものが「大半」を占めています。

 

そんな中で、この曲は多分に「ロマンティック」で、「軽妙」な「心地よさ」が感じられる「名曲」だと言えると思います。

 

その「全体の雰囲気」を支配する伴奏の「楽器」ですが、「オリジナル録音」では、どうやら、「リコーダー」で間違いないようです。

 

当時の「伴奏(オケ)」は、ミシェル・コロンビエ(1939-2004)が担当しており、そのもとで、ローラン・ロマネリ(1946-)もキャリアをスタートさせていました。

 

ミシェル・コロンビエといえば、やはり「映画音楽の大家」(先日の記事内で紹介した「ホワイトナイツ/白夜」も、彼が音楽を担当していました)としても知られていますが、それ以前に「キーボーディスト」であり、かなり「早い時期」から、「シンセサイザーの大家」としても知られていたと思います。

 

現在では、「このような音」は、「キーボード」でも難なく「出せる」と思いますが、当時は、「各楽器」に「担当者」がおり、「リコーダー」も、「ミシェル・サンヴワザン」という名が、「近年」では「明記」されるようになって来ました(その方の「経歴」などについては、いまだ「分からないまま」ですが...)。

 

その、「リコーダー」の「素朴」な音色が「素敵」で、最初に聴いた時から、「不思議な魅力」を感じていたこの作品...。

 

言うまでもなく、「大好きな作品」の1つです。

 

この曲の「カバー」としては、やはり、この方たちを挙げておきましょう。

 

オーディション番組「The Voice(2013年/2ndシーズン)」出身のアンジェリナ・ヴィームは、私の「イチ押し」です。

 

「男性でバルバラ」と言ったら、やはりこの方。

マチュー・ロザス(1975-)も、実に「情感豊かな」歌を聴かせてくれます。

 

それでは、この「du bout des levres "口先だけで(くちびるの端に)"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

「くちびるの端に」という邦題は、かつての「日本盤」についていたものではありますが、「du bout des levres」という言葉は、「口先だけで」、「心ならずも」、「いやいやながら」という意味の「成句」として、辞書にも載っています(「いやいやながら」という邦題は、古い時代のレコードにあったような気もします...)。

 

「くちびるの端」と表現したいのであれば、「に」ではなく、「で」を使うとすっきりすると思います(「au bout」ではなく、「du bout」ですからね...)。

 

そういったことも心にとどめておくと、この曲を「理解」しやすくなるかも知れません。

 

次回は、「d'elle a lui "彼女から彼へ"」(1900頃-58)について書いてみたいと思います。

 

それではまた...。

 

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du bout des levres  口先だけで(くちびるの端に)

 

dites-le-moi du bout des levres

moi, je l'entends du bout du coeur

moins fort, calmez donc cette fievre

oui, j'ecoute

 

言って 口先だけでもいいから

私も、心の片隅でそれを聴くから

穏やかに、この熱を冷まして

ええ、聴くわ

 

(*dites-le moi du bout des levres

je l'entendrai du bout du coeur

vos cris me derangent, je reve

je reve)

 

(言って 口先だけでもいいから

私も、心の片隅でそれを聴くでしょう

あなたの叫びが私をかき乱す 私は

私は、夢を見ているの) *「スタジオ録音」のバージョン

 

oh, dites-le-moi (bien) doucement

murmurez-le-moi simplement

je vous ecouterai bien mieux

sans doute

 

ああ、優しくその言葉を言って

ただ単に、ささやくだけでいいから

その方がもっとよく分かる

たぶんね

 

si vous parlez du bout des levres

j'entends tres bien du bout du coeur

et je peux continuer mon reve

mon reve

 

もしあなたが、口先だけでも言ってくれるのなら

私も、心の片隅でしっかり受け止める

そして私は、夢を見続けることが出来る

私の夢を

 

que l'amour soit a mon oreille

doux comme le chant des abeilles

en ete, un jour, au soleil

au soleil

 

愛が私の耳元に

ミツバチの歌のように優しく聴こえてほしい

ある夏の日、太陽のもとで

太陽のもとで

 

regarde, dans le soir qui penche

la-bas, ce voilier qui balance

qu'elle est jolie sa voile blanche

qui danse

 

ほら見て、陽が傾き

あそこで、ヨットが揺れている

なんて綺麗なの あの白い帆は

踊っているみたい

 

je vous le dis du bout des levres

vous m'agacez du bout du coeur

vos cris me derangent, je reve

je reve

 

私はあなたに、心ならずもそれを言うわ

あなたは、私の心を、ちょっぴりイラッとさせる

あなたの叫びが私をかき乱す 私は

私は、夢を見ているの

 

venez donc me parler d'amour

a voix basse, dans ce contre-jour

et faites-moi, je vous en prie

silence

 

だから、私に愛を語りに来て

小声で この逆光の中で

そしてお願い 私を

静かにさせて

 

prenons plutot au soir qui penche

la-bas, ce voilier qui balance

qu'elle est jolie sa voile blanche

qui danse

 

それより、夕暮れのこの時間

あそこで揺れている、あのヨットに乗りましょう

なんて綺麗なの あの白い帆は

踊っているみたい

 

je vous dirai du bout des levres

"je vous aime du bout du coeur"

et nous pourrons vivre mon reve

mon reve...

 

私はあなたに、心ならずもそれを言うでしょう

「心の片隅であなたを愛してる」と

そうすれば、私たち二人は生きることが出来る

私の夢を...

 

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(こちら、最新の「大全集」には、アルバム「le soleil noir "黒い太陽"」について、バルバラ自身が語る「インタビュー」の音声も収録されています)

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(上記のディスクは、「ダウンロード販売」もされています)

 

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(daniel-b=フランス専門)