(「予告編」です)

(「メイキング番組」です。詳しくはこちらをどうぞ)

(主題歌は、YUKIさんの「トロイメライ」です)

http://coffee-movie.jp/(映画公式サイト)

http://alex-cinemas.com/index.html(「アレックスシネマ」公式サイト)

 

26日水曜日は、この映画を見に行って来ました。

 

本当に「見たい作品」が「立て続け」に公開となるこの秋。「天候」という「条件」もありますので(「健康管理」も兼ねて、隣町の「シネコン」まで、「自転車」で出かけています)、「スケジュールの調整」にも「一苦労」です...。

 

今回の映画、「コーヒーが冷めないうちに」は、2015年に発表され、2017年には「本屋大賞」にもノミネートされた、川口俊和さん(1971-)の「小説デビュー作」です。

 

「4回泣ける」と話題の「ベストセラー小説」ですが、この作品は、もともと、「舞台脚本家・演出家」でもある川口さんにより、2010年から翌年にかけて作られ、「上演」された「演劇作品」だということです。

 

それが「話題」を呼ぶことになり、「編集者」の勧めもあったことから、「小説」として、「あらためて世に出された」とのことです。

 

「舞台」となるのは、とある街の、とある喫茶店「フニクリフニクラ」。

 

時田数(ときた・かず)(有村架純)が、従兄で店主の時田流(深水元基)と切り盛りしているこの喫茶店には、ある「都市伝説」がありました。

 

それは、店内の「ある席」に座ると、過去の「望んだ時間」に「戻れる」というものです。ただし、そのためには、「守らなくてはならない、いくつかのルール」も存在しました。それは...。

 

1.過去に戻ってどんなことをしても、現実は変わらない。

2.過去に戻っても、この喫茶店を出ることはできない。

3.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。

コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。

4.過去に戻れる席には先客がいる。

席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。

5.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事ができない。

 

「もし、あの時に戻ることが出来るなら...」と、人々は店を訪れますが、上記の「4」にもあるように、「その席」には、「先客」である「謎の女」(石田ゆり子)がいつも座っていて、「あきらめて帰る」客もまた「多い」ようです。

 

「幽霊」とも表現されているこの「謎の女」。しかし、彼女にはちゃんと「足」もあり、「トイレ」に立つこともあるようです。

そう、まさに、この瞬間が、この瞬間「だけ」が、「チャンス」と言えるのです...。

 

私は、最初のうちは、単に、「オムニバス形式」の映画かと思っていたのですが、それは「違って」いました。

「同じ喫茶店にいる」というだけで、「何ら関係のない人たち」なのかとも思っていましたが、それがすべて「つながって」いて、後半に向かって、どんどん、「じわり、じわり」と盛り上がっていくのです。

 

最初の、波留さん(1991-)演じる「清川二美子(きよかわふみこ)」のエピソードを見ただけでは、「よくある話」のようにも感じてしまいますが、それが次第に「掘り下げられて」いって、「深み」がだんだんと「増して」いき、最後は、本当に、「泣かずにはいられない」といった感じで終わるのです。

 

共演者の方々も話されている通り、薬師丸ひろ子さん(1964-)、松重豊さん(1963-)のエピソードは、お二人の「名演」もあって、とても「感動」しました。が、これはまだ「前半」、「2つ目」のエピソードに過ぎないのです。

 

上記のルール「2」、「5」にもあるように、「過去」に戻れたとしても、この喫茶店の「外」へは出ることが出来ません。ですから、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事が出来ないというのも分かります。このあたりは、元々が、いかにも「演劇作品」らしいことだと思いますが、これに加えて、「1」の、「過去に戻ってどんな事をしても、現実は変わらない」というルールが、このストーリーの「ミソ」だとも言えるのです。

 

このことから、人々は、「過去を変える」というよりも、「この先をどうするか」ということに気付くことにもなり、ストーリーも「前を向いて」、どんどんと進んでいくというわけです。

 

「過去に戻れるのは、コーヒーが冷めてしまうまでの間だけ」というルールも「厳しい」です。私も、仕事の前には必ず、自分で(レギュラー)コーヒーを入れて飲んでいきますが、「熱々」で入れたとしても、「10分」もすれば、一気に飲み干せる、「ほど良い温度」にまで下がってしまいます。時間が経つのも「意外に早く」、「その間だけ」というルールでは、「何も出来ない」ことの方が「多い」ような気がします。

 

主人公、「数(かず)」の「相手役」となる「新谷亮介(しんたにりょうすけ)」(伊藤健太郎)は、「映画オリジナルキャラ」ということですが、このキャラクターがまた「素晴らしかった」ですね。彼がいることで、「舞台的な流れ」に、「映画的な進行」が重ね合わされたという...あまりうまく言うことは出来ませんが...。

 

有村架純さん(1993-)の出演作品を劇場で見るのも久しぶりでした。前回は、「何者」(2016)にまでさかのぼってしまいますが、最も「記憶に残っている作品」と言えば、やはり「ビリギャル」(2015)でしょう。その時には「親子」の役で共演していた吉田羊さんと、再び、こうしてスクリーンに出ているのを見ると、何か「懐かしく」も感じられます。

 

監督の塚原あゆ子さんは、「映画作品」での監督は「初めて」だということですが、テレビドラマでの経験が豊富な方ですから、「画」の作り方が非常に「丁寧」だという印象を受けました。喫茶店「フニクリフニクラ」を離れた「屋外」のシーンでも、「美しい風景」をたくさん見せていただきました。また、奥寺佐渡子さんの脚本も「絶賛」に値します。音楽(劇伴)の横山克さん(よこやままさる)(1982-)は、現在公開中の「3D彼女 リアルガール」(前回の記事参照)や、この春「完結編」が公開された、実写版「ちはやふる」でも音楽を担当されていたということですから、これもまた「驚き」です。

 

パンフレットには、「美味しいコーヒーの"豆"知識」や、「コーヒーの入れ方」も紹介されています。私も、若い頃には、「コーヒー」にハマってコーヒー店に通い、自分でも、「オリジナルブレンド」を作ってみたりもしましたから、これもちょっと、「懐かしい」気がしますね。

 

「水曜日」は「レディースデー」でしたので、「女性客」を中心に、かなりの方が入場されていました。ちなみに、今回も「シネマ4」(194席+車いすスペース)でしたが、「いつもの席」は、「隣り」が埋まっていたので「断念」。日曜日の「HIBIKI-響-」から続く、「3連続同一劇場同一座席」という「快挙(?)」は成し遂げられませんでした。残念!!(笑)

 

というわけで、この作品も「お薦め」です。劇場で、ぜひ、ご覧ください。

 

それではまた...。

 

 

 

 

 

 

 

(daniel-b=フランス専門)