さて今回は、とても「寂しい」、こちらのニュースをお伝えします。

 

先月7日、地元紙、「福井新聞」に掲載されたニュースです。

 

「映画館の福井シネマ(福井市順化1丁目)が9月10日で営業を終了する。1919年に開館した、県内初とされる、本格的な常設映画館をルーツとし、福井空襲や、福井地震の惨禍も乗り越えて市民に親しまれてきた県内の娯楽の草分けが、約100年の歴史に幕を下ろす。来館者の減少による営業不振のためで、跡地では、別事業が予定されている」

 

以下は、「記事全文」となります。

http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/672496(「福井シネマが100年の歴史に幕」)

http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/672937(「津田寛治さん、福井シネマに感謝」)

 

「福井シネマ」は、私にとっても、「思い出の映画館」です。

 

福井シネマの「歴史」については、上掲の記事を参照いただきたいと思いますが、私が幼少の頃は、「福井東映/東宝」(現「シネマ1」、「シネマ2」)と言っており、地元の「京福バス」のバス停名は、現在でも「東映前」となっています(今後、「改称」、「廃止」等があるかも知れません)。

 

福井市中心部、「大名町」交差点(通称「フェニックス通り」または「(福鉄)電車通り」)から、少し西へ入ったところにあり、「福井銀行本店」や、このブログに時折り登場している、名画座「メトロ劇場」が「隣接」しています(「中央大通り」沿い)。

 

JR福井駅からは、徒歩約10分といったところですが、人によっては、「遠く」にも感じられるかも知れません。エリアとしては、「片町」となります。

https://www.google.co.jp/maps/@36.0626153,136.2165605,3a,23.9y,345.91h,96.07t/data=!3m6!1e1!3m4!1stUK83971s3MvcBiXOyjYEA!2e0!7i13312!8i6656(「中央大通り」の反対側から見た、「シネマ1」)

 

私の記憶に残っている、最も古いものは、確か、1978年の「東映まんがまつり」だったと思います。この時に、1969年に公開された、アニメ映画の名作、「長靴をはいた猫」(シャルル・ペロー原作)が「リバイバル上映」され、私も、あの、「塔の上での決戦」に「ハラハラドキドキ」したものです(「子ども」って、意外と「真剣」に見ているものです。みなさんもそうだったと思いますが...)。

 

設立から「70周年」を迎えた「東映アニメーション」のマスコットキャラクターが、この「長靴をはいた猫」の主人公「ペロ」であることは、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。また、「東映動画」創業40周年に当たる1996年には、「記念投票」において、「1位」を獲得したということで、1998年には、「リマスター版」が劇場公開されてもいます。

 

 

また、この「福井シネマ」は、1987年から、96年まで、主に「映画ドラえもん」(東宝)を見に行った劇場として、忘れることが出来ません。

 

当時は、1回の入場料で、「終日鑑賞」が可能だった時代でしたから、仕事が「休み」の日には、1日「2、3回」も珍しくはなく、「前売り券」(当時、「ドラ前券」と呼んでいました)を買い込んで、「10回前後」は、この「福井シネマ」に足を運んだものです。

 

1988年には、「映画ドラえもん」の直後に、「スタジオジブリ」の名作、「となりのトトロ」「火垂るの墓」が「同時上映」の形で公開されました(4月16日)。「ドラえもん」を見に行った際に、繰り返し、その「予告」を見ていたこともあって、当時はほとんど「成り行き」でこちらも見に行ったのですが(井上あずみさんの歌う「主題歌」に魅せられたこともあって)、その後、「アニメ映画史上に残る名作」となったことは、みなさんもご存知の通りです(その後、2001年の「千と千尋の神隠し」も、この劇場に足を運びました)。

 

その後、映画から「遠ざかった」時期もあり、また、近年では、「福井新聞」の記事にも書かれているように、私自身も、「アレックスシネマ鯖江」や、「福井コロナシネマワールド」といった、「郊外型シネコン」に出かけることが「メイン」となっています。

 

JR福井駅周辺には、「福井西武」隣りの「テアトルサンク」(伊井興行)もあることから、「地元資本の映画館が多過ぎ」とも言われていました。また、「駐車スペース」も、「郊外型シネコン」に比べると、どの館も「不便」であることには違いがなく、これが、「営業不振」の「最大の理由」であることは間違いのないことでしょう。

 

これまでにも、「シアターFBC」(「福井放送会館」内)が、開館したものの、いつの間にか「閉館」となっていたり、古くからあった劇場も、時代とともに去って行くのを目にして来ました。思えば、武生市(現「越前市」)にあった、「武生劇場」もなくなりました。この館は、「古き良き時代」を思わせる映画館でしたが、「空調設備」が「なかった」ようにも思います。私が「最初」に「映画ドラえもん」を見たのがこの館でしたが、冬の日に、「寒い中」見ていた記憶があります(「3本立て」の「特別上映」で、「初公開時」ではありません)。

 

「福井シネマ」を運営する「加賀産業」は、確か、私の昔の職場の社長の「親族(兄?)」が経営(「先代」)していたと思います(その関係で、事務所を訪れたことが、「1回だけ」ありました)。

 

最近は、本当に、「知人」が店を「閉める」ケースが多くなり、「寂しい」のと同時に、「危機感」も感じます(単に「店と客」という付き合いでは、それを「境」に、交流が「途絶える」のが「普通」...。「知った人」が「いなくなる」ということ...)。

 

もう間もなく、「福井シネマ」の「最終上映」も終わりです。たぶん、「羊と鋼の森」(20時20分頃終了)が「最後」となるでしょう。

 

この「羊と鋼の森」、「アレックスシネマ鯖江」での上映開始時刻が「遅い時間」のみとなってしまった7月の初め頃、「最後」に、この「福井シネマ」で1回見させていただきました(「シネマ3」または「シネマ4」)。当時はまだ、「閉館」の案内はなく、「すっごい久しぶり~」とか思っていたのですが、まさか、あれからたった「2ヶ月後」の「きょう」、「閉館」になってしまうなんて...。何らかの「お導き」だったのでしょうか...。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10106609564.html(テーマが「羊と鋼の森」の記事。いつも、アクセス、本当にありがとうございます)

 

ドラマ、映画などでおなじみの、俳優津田寛治さん(1965-, 福井市出身)は、高校生の頃、「映画に夢中」になって、この館で「アルバイト」をしていたそうです。もし当時、「出会っていたら...」とも、ちょっと思ってしまいましたね。「福井新聞」に掲載された、津田さんのコメントは、最初に挙げたリンクからどうぞ。

 

以下に、「福井シネマ」の公式サイトを貼っておきます。いつまでの掲載になるかは分かりませんが、「営業終了のお知らせ(あいさつ)」が載っています。

http://www.fukui-cinema.co.jp/index.html(「福井シネマ」公式サイト)

 

本当に「寂しい」です。

 

それではまた...。

 

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(daniel-b=フランス専門)