「最後」の来日公演も真近。私も、急きょ、「参戦」することが「決定」しました!!
本日は、まったく「初めて」ではありますが、「シャルル・アズナヴール」(1924-)について書いてみたいと思います。

私は、これまで、3枚のベスト盤に加え、他に数曲程度しか、アズナヴールを聴いたことがありませんでした。ですので、彼に関しては、まったくの「素人」です。知っていることは「ごくわずか」ですが、「好きな曲」はやはりありますので、それについて書いてみたいと思います。

今回紹介する曲は、「le temps "時間"」(1964)という作品です(「今ぞこの時」という邦題もありました)。アズナヴール自身が詞を書き、ジェフ・デイヴィスが曲を書きました。編曲は、あのポール・モーリア(1925-2006)だということです。

laisse-moi guider tes pas dans l'existence
laisse-moi la chance de me faire aimer
viens comme une enfant au creux de mon epaule
laisse-moi le role de te faire oublier

君の人生をガイドさせてほしい
君を愛するチャンスを残しておいておくれ
おいで、子どものように、僕の胸の中へ
忘れたいことがあるなら、僕に任せて...

le temps qui va
le temps qui sommeil
le temps sans joie
le temps des merveilles
le temps d'un jour
temps d'une seconde
le temps qui court
ou celui qui gronde

「過ぎゆく」時間
「まどろむ」時間
「つまらない」時間
「素晴らしい」時間
「一日の」時間」
一秒が流れるように
時は過ぎていく
あるいは「轟く」ように...

(refrain)
le temps, le temps
le temps et rien d'autre
le tien, le mien
celui qu'on veut notre
le temps, le temps
le temps et rien d'autre
le tien, le mien
celui qu'on veut notre...

(ルフラン)
「時間」よ、「時間」
「時間」、それしかない...
君の「時間」、僕の「時間」
それは、「僕たちのもの」であってほしい
「時間」よ、「時間」
「時間」、それしかない...
君の「時間」、僕の「時間」
それは、「僕たちのもの」であってほしい...

le temps passe
celui qui va naitre
le temps d'aimer
et de disparaitre
le temps des pleurs
le temps de la chance
le temps qui meurt
le temps des vacances
(au ref.)

「過ぎ去った」時間
それは、「生まれゆく」時間
「愛する」時間
そして、「消えてゆく」時間
「涙の」時間
「チャンスの」時間
「消えゆく」時間
「空白の」(または、「バカンス」の)時間...
(ルフランへ)

le temps glorieux
le temps d'avant-guerre
le temps des jeux
le temps des affaires
le temps joyeux
le temps des mensonges
le temps frileux
et le temps des songes
(au ref.)

「輝かしい」時間
「戦いの前の」時間
「遊びの」時間
「仕事の」時間
「嬉しい」時間
「偽りの」時間
「寒々しい」時間
そして、「夢の」時間...
(ルフランへ)

le temps des crues
le temps des folies
le temps perdu
le temps de la vie
le temps qui vient
jamais ne s'arrete
et je sais bien
que la vie est fete

「発展の」時間
「熱狂の」時間
「失われた」時間
「人生の」時間
「やってくる」時間
それは、決してとどまることがない
そして、僕は知っている
人生は「お祭り」なのだと...

du temps des uns
et du temps des autres
le tien, le mien
devenir notre
le temps des uns
et le temps des autres
le tien, le mien
devenir notre

「人それぞれの」時間
そして、「他の人たちの」時間
「君の」時間、「僕の」時間
それは、「僕たち」の時間になっていく
「人それぞれの」時間
そして、「他の人たちの」時間
「君の」時間、「僕の」時間
それは、「僕たち」の時間になっていく...

le temps
le temps des uns
et le temps des autres
le tien, le mien
devenir notre
le temps des uns
et le temps des autres
le tien, le mien
devenir notre

le temps, le temps, le temps, le temps...

時間
「人それぞれの」時間
そして、「他の人たちの」時間
「君の」時間、「僕の」時間
それは、「僕たち」の時間になっていく
「人それぞれの」時間
そして、「他の人たちの」時間
「君の」時間、「僕の」時間
それは、「僕たち」の時間になっていく...

「時間」よ、「時間」よ、「時間」よ、「時間」よ...

私は、この曲を、アズナヴールの中でも「一番」くらいの「お気に入り」に挙げたいのですが、それは、この曲が、私の、これもまた「お気に入り」の、映画の「挿入曲」として、強く印象に残っているからでもあります。

その「映画」と言うのは、日本では1996年に公開された、「l'appartement "アパートメント"」(1995年 フランス/イタリア/スペイン)という作品です(2004年には、アメリカで、「ホワイト・ライズ」というタイトルで、リメイクもされたそうです)。

ジル・ミモーニ監督によるこの作品は、アルフレッド・ヒッチコック監督(1899-1980)の影響も多分に感じられる、「恋愛サスペンス」の秀作です。

主演は、エリート・ビジネスマン、マックス役に、ヴァンサン・カッセル(1966-)。
マックスは、東京への出張直前に、カフェの公衆電話で、2年前に突然姿を消したかつての恋人、リザの声を聞きます。このリザ役に、モニカ・ベルッチ(1964-)。イタリア出身の彼女は、この後、1999年に、このヴァンサンと結婚し、2人の娘を授かりましたが、2013年には、「離婚」が発表されています。

リザを追うマックスは、突き止めた彼女のアパートで、「リザ」を名乗る別人の女性と出合います。この、「謎の女性」役が、ロマーヌ・ボーランジェ(1973-)。1993年のコメディ映画、「タンゴ」で有名な俳優、リシャール・ボーランジェ(1941-)は、実の父親です(もっとも、私が彼を知ったのは、1988年のエドゥアール・モリナロ監督の映画、「エレベータ-を降りて左」でした。あの、「ブチ切れた」ボリス役は「必見」です)。

マックスの友人リュシアン役に、ジャン=フィリップ・エコフェ(1959-, スイス出身)。
このリュシアンも、物語の「キー・パーソン」の1人です。ストーリーが進むにしたがい、その「人物相関」は、何とも複雑な様相を呈してきます。

ラストは、「あっ」と驚くような結末ですが、「ネタばれ」は慎みましょう。
「賛否両論」は当然ありますが、私は、この作品がとても気に入っています。

この映画、「サントラ盤」が欲しかったほど、本編に流れる「音楽」が、どの曲も、本当に素晴らしかったのですが、それに加えて、この曲、「le temps」が、頭から離れないのです。
アズナヴールで好きな曲の中でも、これほどまでに、頭に「刷り込まれた」曲は、他にはないかも知れません。

劇中で、この曲が使われた場面は2つあります。まず、ここに載せることができたものが、第1の場面(「過去」)です。リザがマックスを「ダンス」に誘っています。
もう1つの場面は「ネタばれ」につながるせいか、ここでは見つけることができませんでしたが、私としては、ある意味、こちらの方が強く印象に残っています(第1に思い出すのは、むしろこちらの方です)。

「予告編」もあったので載せましたが、「大丈夫」ですね。「ネタばれ」してませんよね...。

最後に載せた映像は、2007年2月のもので、パリの「オペラ座(オペラ・ガルニエ)」で催された、「シャルル・アズナヴールと、その友人たち」というイベント(番組)のようです。
1969年生まれの歌手・俳優ベナバール(Benabar, 本名ブリュノ・ニコリーニ)との共演ですが、私とほぼ「同世代」の彼が、「まったくの子ども」に見えてしまうほど、アズナヴールは「スゴイ貫禄」です。
私も、彼のライヴに行くのは、本当に「初めて」ですが、きっと「圧倒」されてしまうでしょう。でも、本当に、「最後」となるかも知れない、その「雄姿」を、しっかりと、心に刻み付けておきたいと思います。

最後になりましたが、私が、このアズナヴールのライヴへ行く「きっかけ」を作ってくださった、先輩ブロガー、「ユトリロ」さんに、この場をお借りしまして、改めて、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
現在、「ユトリロ」さんのブログでは、「Aznavour~カウントダウン」と題しました「特集」を連載中です。「ユトリロ」さんは、アズナヴールの「専門家」でいらっしゃいますから、「シンプル」ながら、とても「詳しい」情報を提供してくださっています。私も、「予習」に活用させてもらっています。興味のある方は、そちらも、ぜひ、「訪問」してみてください。

それではまた...。

(daniel-b=フランス専門)