ところで、ゴーゴーの踊り方には全く何の決まりもありません。みなさんが思うがままに、自由自在にステップを踏んだり身ごなしを付けたりすれば、それでよいわけです。
富田芳明『短期間で上達するダンス』(高橋書店版より)
今回も昭和の社交ダンス教本の話をしてみる。
これまで書いてきた通り、昭和以前の社交ダンス教本の面白い所は、その時代時代に流行したダンスについても書かれているところだ。
ブックオフだったか、ほんだらけだったかで、富田芳明著の『短期間で上達するダンス』と『ダンス』というダンス教本を購入した。
『短期間で上達するダンス』は初版が1973(昭和48)年で、私が持ってるのが1985(昭和60)年の16版。
『ダンス』の方は初版が1976(昭和51)年で、私が持ってるのが1979(昭和54)年の6版。
どちらも同じ著者で、同じ出版社なので、内容はそんなに変わらない。


この二冊の本の面白いところは、1960・70年代に流行した、「ゴーゴー」が載っているところだ。
ゴーゴーについて、この本では、ビリー・ヴォーン楽団の「僕と君のブー」や「恋はリズムに乗せて」などの、ロック調の音楽で踊れると書かれている。
↓「恋はリズムに乗せて(Music To Watch Girls By)」はいろんなミュージシャンが演奏したり歌ったりしていて、有名なのはアンディ・ウイリアムのバージョン。
Wikipediaで調べてみると、ゴーゴーの語源になっているのは、1964年にアメリカ・カリフォルニア州ウェスト・ハリウッドにオープンした「Whisky a Go Go」というナイトクラブらしい。
「Whisky a Go Go」では、ジョニー・リバーズ率いるバンドが演奏しており、その演奏の合間にDJをしていた女性が、バンド演奏中に踊っていたのが、ゴーゴーダンスの起源のようだ。
ゴーゴーは自由に踊るダンスなのだけれど、この本ではダンスホールで踊れるように分析して、7つのステップにまとめている。
名称だけ羅列してみると。
1 「短・短・長」のリズム
2 「長・短・短・長」のリズム
3 スロー・タップ
4 クイック・タップ
5 サンバ・バウンス
6 サイド・ロッキング
7 イーヴン・トレッド
1と2はリズムの取り方で、QQSまたはSQQSと両足でリズムを取る。
3と4はタップを入れるリズムの取り方。
5はタテ乗りのリズムで、6は横乗りのリズムの取り方。
7は肩や手の動かし方で、これも細分化されているので、名前だけしてみる。
a ショウルダー・イン
b ショウルダー・バック
c ショウルダー・シェイク
d ツイスト・モーション
e ヒカップ・アクション
f イヤーニング
g レフューザル
h スウィム
aからcは、サルサとかのラテンでも使われる肩の動き(シミー)なので、面白いと思った。
dはツイストで、eからhは、歌謡曲の振り付けで使われそうな動きだ。
ところで、面白いことに1960年代から半世紀たった2010年代でも、ゴーゴーダンサーという言葉が使われている事を、クラブ好きな方は、よくご存じでないかと思う。
パーティを盛り上げる為に、DJサウンド(特にEDM)に乗せて踊る女性ダンサーたちを、今でもゴーゴーダンサーと呼んでいて、日本でもCYBERJAPAN DANCERSとかが有名になってる。
平成の世の日本では、社交ダンスとゴーゴーダンスはまったくの別ものだけれど、かつては同じパーティ・ダンスとして扱われた時代もあったのだと思うと、面白いと思う。
↓平成の日本のゴーゴーダンサー