99年に東京で起きた、4歳の男の子が割りばしをのどに差して死亡した事故について、東京地裁の判決が出ました。

 裁判所の判断は、医師の過失は認めた。しかし、もし適切な治療を行っていたとしても、残念ながら命が助かる見込みは極めて低かった。だから「無罪」

言い換えれば…
『過失があってもなくてもこの男の子は死亡する可能性が極めて高かった。』

だから…
『無罪』

 この医師が問われたのは、刑法第211条にある業務上過失致死罪
第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 私は法律の専門家ではありません。しかし今回の判決にある『医師の過失と男の子の死亡の間に因果関係が認められないから無罪』という判断は、刑法の条文をストレートに読んだだけの判決の様な気がして、どうにも納得できません。
 たとえば交通事故。交通事故で人を死傷させた場合も業務上過失致死傷罪に問われますが、いわゆるひき逃げや飲酒運転の場合には、その行為そのものに対して危険運転致死傷罪 が適用され格段に重い刑罰となります。つまり過失と死亡の因果関係よりも、行為そのものに対して厳しい処罰が用意されているのです。

 『白い巨塔』でも描かれていたように医療過誤に伴う医療裁判は難しい面があるのだと思います。そして今社会を騒がせている富山で起きた医師による末期患者の人工呼吸器の取り外し→患者死亡のケースなど、これまでの考え方ではその行為の是非を法廷で裁きにくい案件が顕在化しているのが現代なのです。
 人の命を預かる医師の業務は極めて責任の重いモノなのですから、交通事故のようにケースに応じて複数の致死傷害に関する法整備を進めるとか、医療訴訟に特化した医療裁判所を創設するなどの抜本的改革が必要なのではないかと感じます。