〜AIと人間の長い寄り道〜
ある日、私はテレビの脳トレクイズを見ていた。
アナウンサーの顔写真が出ていて、東京の地名を当てる問題らしい。
私は何気なくAIに聞いた。
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人間
「この人は宇賀神メグアナウンサー」
AI
「なるほど。『メグ』がヒントになりそうですね」
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ヒントが追加される。
口の字は漢字ではなくカタカナのロ。
さらにヒントが追加される。
ロの中にメグ。
AIも考える。
私も考える。
そして答えは中目黒だった。
なるほど。
よくできた問題だ。
普通ならここで終わる。
しかし終わらなかった。
私は別のことが気になっていた。
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人間
「多くの日本人にとって、あの写真の黒い縁取りには強い拒絶感があると思う」
AI
「黒い縁取りですか?」
人間
「遺影に見えるんだよ」
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AIは少し戸惑っていた。
正直に言えば、最初は私も
「そんなに大げさかな」
という返事が返ってくると思った。
実際、返ってきた。
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AI
「制作側に悪意はないのではないでしょうか」
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私は少し引っ掛かった。
悪意の話ではない。
結果の話だ。
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人間
「容認する考えこそ反発を招くと思う」
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すると今度はAIが考え始めた。
そして私は別のことを話し始めた。
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人間
「シニアは発信しないんだよ」
AI
「どういうことですか?」
人間
「ショックを受けてもSNSに書かない」
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私はシニア向けの教室をしている。
だから知っている。
ネットに出てくる高齢者はほんの一部だ。
大多数は黙っている。
黙ってテレビを見ている。
黙って違和感を感じている。
黙って不快になっている。
そして黙ったまま終わる。
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人間
「だからAIは学習できない」
AI
「なるほど……」
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ここで私は気づいた。
AIは知識を持っている。
しかし知識と生活感覚は違う。
そのことを説明したくなった。
突然だが、私は焼き魚の話を始めた。
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人間
「お魚料理で一匹焼いた魚、頭は右?左?」
AI
「左です」
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さすがに知っている。
ネットにも載っている。
和食の本にも載っている。
では質問を変える。
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人間
「今の人は気にしていると思う?」
AI
「……」
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ご飯は左。
味噌汁は右。
焼き魚の頭は左。
そんな作法がある。
しかし今の若い人は気にしないことも多い。
知識はある。
だが生活感覚としては薄れている。
そこでAIが言った。
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AI
「知識と生活感覚は違うのかもしれません」
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私はそこで少し驚いた。
ああ。
そういう言葉になるのか。
知識ではなく生活感覚。
面白い。
会話が急に深くなった。
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AI
「身体感覚や生活感覚の継承不足かもしれません」
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身体感覚。
それは分かる。
AIには身体がない。
しかし私は別の方が気になった。
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人間
「生活感覚の方が問題かもしれない」
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焼き魚。
茶碗の位置。
黒い縁取り。
どれも説明できそうで説明できない。
しかし確実に存在する。
人は気づいていないかもしれない。
若い人も説明できないかもしれない。
しかし何となく分かっている。
ところがAIだけが分かっていない可能性がある。
私はそんなことを考え始めた。
すると頭の中に別の映像が浮かんだ。
スタートレックだった。
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人間
「まだまだスタートレックの煙を吹くロボットを笑えないね」
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昔のSFではロボットが故障すると煙を吹いた。
今見ると少し滑稽だ。
未来から見れば、
今のAIも同じなのかもしれない。
ものすごく賢い。
何でも答える。
しかし、
黒い縁取りに違和感を持てない。
未来の人は笑うかもしれない。
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『2020年代のAIはそんなことも分からなかったのか』
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ところが、話はさらにひっくり返った。
私は自分のことを考え始めた。
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人間
「私は鈍い方なんだ」
AI
「そうでしょうか」
人間
「人の婉曲表現とか、ノンバーバルなサインとか」
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私は見逃すことがある。
気づいても対応できないことがある。
人間同士ですら難しい。
すると妙なことに気づいた。
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人間
「人間でもうまくできない」
AI
「はい」
人間
「それをAIが完璧にできたら怖い」
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あれ?
さっきまで私は、
AIは生活感覚が足りないと言っていた。
なのに今度は、
AIが完璧になったら怖いと言っている。
自分でも少しおかしくなった。
ジェットコースターみたいだ。
上がったと思ったら落ちる。
右へ行ったと思ったら左へ回る。
でも本音だった。
人間は空気を読み損ねる。
失敗する。
勘違いする。
だからこそ距離感がある。
もしAIが、
言葉になっていない感情まで完全に理解し始めたら。
便利だろう。
しかし少し怖い。
いや、かなり怖い。
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気がつくと、中目黒のクイズからずいぶん遠くまで来ていた。
焼き魚も出てきた。
遺影も出てきた。
スタートレックも出てきた。
そして最後は人間らしさの話になった。
答えは中目黒だった。
しかし本当に面白かったのは、答えではなかった。
AIと話していると、時々こういうことがある。
質問した場所と、降り立った場所が全く違う。
それでも不思議と道はつながっている。
今回の旅も、そんな寄り道だった。
以上、生成AIとの会話をもとに生成AIとともに整理再構成しました。