「1ドル=100円になるまで無制限に介入すべき」と森永卓郎氏
2011.12.29 16:00
経済アナリストの森永卓郎20+ 件氏は、「欧州財政危機はEU首脳間の包括的合意により、いったん収束に向かう」と見ている。これにより、ユーロが一方的に売られる可能性は低くなったというが、日本の円高はどうなるか。以下、森永氏が解説する。
* * *
今の超円高が止まるかといったら、そう簡単にはいかないでしょう。日本政府・日銀が、円高対抗策をまったく取る気がないからです。
米欧通貨が弱さの綱引きをする中で、資金の避難先となったのが日本とスイス。そのため、円とスイスフランはとんでもない通貨高となりました。だが、2011年9月、大きな出来事が起こりました。スイスの政府と中央銀行が1ユーロ=1.2スイスフランになるまで、無制限に単独で為替介入すると宣言したのです。その結果、為替調整が一気に進み、スイスフランは1か月足らずで目標の水準まで値下がりしました。
もし、日本政府・日銀に円高を本気で止めるつもりがあるなら、まさにスイスと同じことをやればいいのです。
10月27日、1ドル=75円台という円の高値更新を受けて、日銀は、国債やETF(上場投資信託)など金融資産の買い入れ枠を実質20兆円まで拡大する追加の金融緩和策を発表しました。しかし、ここまで酷い状況にある中で、たった20兆円では少なすぎる。また、10月31日以降、円売り介入を実施していますが、これでもまだ足りない。例えば、スイスと同様に、1ドル=100円になるまで、無制限に円売り・ドル買いを行なうと宣言し、実際にやればいいのです。
しかし日銀は金融緩和に後ろ向きですから、円高とデフレは、2012年もズルズル続いていく可能性が極めて高そうです。
ただし、2012年度の日本経済は緩やかな回復基調がみられると考えています。3次までの補正予算を合わせて18兆円の復興事業費が出てくるので、復興需要が経済を下支えし、やや盛り上げるくらいの効果は期待できると考えています。過去をみても、1923年の関東大震災の後は1927年まで、1995年の阪神・淡路大震災では1997年まで、復興需要が経済を下支えしました。
日本の円が投機資金に投資されています。何も出来ない民主党内閣が買われる訳がありません。愚作続きの日本がなぜ買われるか、それは生活防衛のために積み上げた個人の預貯金のおかげです。政府の社会保障政策が信用できないために、招いた現象です。ユーロ諸国の国民が政府を信じているかどうかはわかりませんが、老後の生活のために重税に耐えてきたのに政府がつぶれそうです。よく、日本の消費税がユーロ諸国と比べて安いと財務省が言っています。おもしろいもので、しっかり消費税を取って老後の社会保障費は余裕があり財政赤字など無縁と思われるユーロ諸国が財政破綻に陥り、財政赤字が世界一で、消費税が一番安い日本は破綻しません。円が買われます。
結局、政府は信用せず、大きな政府を作らせないで、個人で対策を立てることが安全なのです。この個人の積み立てたお金を狙っているアメリカがいます。郵便貯金、農協貯金などを食い荒らそうとしています。日本は、この円高を回避しようとしないでしょう。民主党議員も、政府公務員も収入が安定しています。民間企業が日本から出て行っても、困らないのです。困るのは民間人ですから痛くもかゆくもないでしょう。。