仕事の上での付き合いは朝日放送テレビの夜のバラエティー番組「ナイト・イン・ナイト」で二人でキャスターつとめたのが最後でした。
「男の遊び」というのがテーマで、毎回色んな遊びごとを二人で競い合うという趣向の番組でした。
大阪駅ビルの中の公開スタジオからの放送でしたが、毎回仕事が終わるとみんなでビルの中の店で食べたり呑んだりするのがお決まりでした。
相変わらず彼は料理には殆んど口をつけず呑むばかりでしたがその呑む量も以前に比べるとぐんと落ちて簡単に酔っ払うようになっていました。
「もうちょっとしっかり食べて体力つけたほうがいいよ」と何度もいったものでしたが・・・。
その以前に、倒れて入院したときに見舞いにいったら「仰山輸血してもらいましたわ。いま、この体の中には他人の血が仰山入ってますねん。ひょっとして文楽、小さんの血が混じってへんやろか。そしたらもうちょっと落語が上手になるかもしれん」なんていったのが忘れられません。
文楽、小さんはともかくとしても、もし健在なら今の上方落語界の大きな存在になっていただろうと思うとその夭折が残念でなりません。
彼が亡くなって四,五年も経った頃、暮から正月にかけてマレーシアのランクアイ島で過ごしたことがあります。そのときのある夜どういうわけか春蝶君が夢に出てきました。背広姿で「久しぶりでんな、なんぞ旨いもんでも食いまへんか」なんて話しかけてきました。
あとで気がついたんですが、その日は彼の命日だったんです。ちょっと背筋が寒くなりましたが、きっと一緒にランクアイの島で遊びたかったんでしょう。
息子の春菜君が頑張っています。今年は春蝶を襲名するとか。親父を超すいい噺家になってくれることを願っています。