四十年の付き合いとはいうものの、ここ十年以上は時々放送局で顔を合わせて立ち話をする程度だったのですが、何ヶ月か前に元ラジオ大阪のディレクターで人気番組「ぬかるみの世界」などを担当し、現在「エフエムちゅうおう」のプロデューサーの岩本氏から電話がかかってきました。

「先生、お久しぶりです。最近はもう放送の台本は書きませんのか?」

いきなりなにを言うのかと思いながら「いや、書かへんわけやないけど、この年になると注文がないからね」

「ほなら注文します。実は今度ラジオ大阪で笑福亭仁鶴さんの番組を始めることになったんですが、その構成台本を是非池田先生に書いてもらいたいという仁鶴さんの希望なんですわ。やってくれますか?」

「そら有難い話やけど、ラジオで、しかも仁鶴さんが喋る番組に台本なんか要るのかいな」

「仁鶴さんが是非やりたいというテーマがありまして、先生ならそれを理解して、喋りやすい台本にして貰えるやろということなんです。とにかく一辺会うてみてくれませんか」

前にも話したように、近頃のラジオ番組には「台本」といえるものは殆んどありません。もっぱら出演者が自身のキャラクターを生かして自由に喋り、

その出演者が喋るためのコーナー企画を考え、資料やネタを取り揃えるのが放送作家の仕事なのです。

放送作家というより、ブレーンスタッフと呼んだ方が仕事の実態を表しています。