所用で郵便局へ行くと思いがけず混んでいました。
窓口の少ない局ですが、いつもはもっとスムースです。
原因は明らかでした。
なにかの相談に訪れた女性が対応に不満を持っているらしく、
窓口のひとつを占領していたのです。
話は簡単に終わりそうにありませんでした。

聞き耳を立てるつもりでなくても、話が聞こえてきます。
女性は郵便物の転送を希望しているようでした。
ある機関から定期的に妹宛で書類が送られてくるそうですが、
遠方に住むその妹には書類の処理能力がなく、
毎度毎度妹宅まで書類を取りに行っているそうです。
その機関にこちらへ送るように頼んでも、
本人の居住地にしか送れないの一点張りですから、
妹宛の郵便物を自分の家へ転送して欲しいといった依頼でした。

ただ、郵便配達は本人が住んでいないところへ転送ができないようですし、
少なくとも本人からの申し出がなければ転送の受付ができないということでした。
他人が勝手に転送できるようになれば大変ですから、これは当然でしょう。
ところが窓口へ訪れた人は、それが不満であるようです。
“こちらの事情”をいろいろ語り出されましたが、
窓口の担当者には裁量権がないのでどうしようもありません。

「特別扱いしろ」「できません」の問答ですから、
別の方法を探らなければ解決策はないはずです。
外野だから冷静に俯瞰できるものの、
当事者はヒートアップして
「こんなに困っているのになんで受け付けてくれないんだ」
の論調が強くなっていくばかりでした。

ひとつだけオープンになった窓口で、ようやく僕の番が訪れました。
やっと処理できるとホッとしながら進むと、
奥から別の局員さんが出てきて、次の番号札の人も呼び出しました。
どうやらひとつの窓口で2組の対応をするようです。
後から来たおじさんはなにかの支払いがあるらしく、
僕の横に来るなり、カウンターに札束をドンと載せました。
こちらのほうが先の客なのに、完全に主導権を奪われた気分です。


「一組ずつ処理して欲しい」も、この場合は「特別扱いしろ」になるのでしょうか。