ライフスタイルの種類は人の数だけあるようです。
ひとりとしてまったく同じ生活をしている人はいません。
それぞれの環境のなかで、個々人の思考に基づいて過ごしています。
つまり、生活に伴うニーズも無数にあるということになります。
なかには本人すら気づいていないような、
掘り起こされていないニーズもあることでしょう。

まったく知らなかったのですが、
映画館が子育てされているかた対象にした上映を催しているそうです。
基本的に劇場での映画鑑賞は静かに観るものとされています。
未就学児の子どもを育てられている場合は、
映画館で落ち着いて観ることは難しいでしょう。
赤ちゃんは暗いところで不安になって泣き出してしまうかもしれませんし、
幼児は2時間もじっとしていられません。

そこで、照明を完全に落とさず、少し明るめの場内のまま上映し、
赤ちゃんが泣いてもお互い様という気持ちで観られる回を
月に何度か催しているそうです。
子ども向け映画を明るめの照明で上映しているのは聞いたことがありましたが、
毎月セレクトされた大人向け作品でこのような試みをされていると言います。
子育て中は周りに気を遣いすぎる局面が多いでしょうから、
気兼ねなく観られるだけでもかなりの救いになることでしょう。

映画館に着くと、ベビーカーを押したお母様がたが多いことに気づきました。
そのような取り組みがなされていることも知りませんでしたから、
不思議に思っていたのですが、場内掲示で理由がわかり、同時に感心しました。
しかしながら、直後に思ったのが、
(自分が観る映画じゃないだろうな)ということです。
素敵な試みだとは思いますが、まったくのノーマークだったため、
対象作品を把握していません。
朝イチの回ということもあり、ロビーを見渡しても、
自分以外にはベビーカーを携えたみなさんと、
あとはご高齢のかたがたしかいらっしゃらないのです。
そのとき入場開始のアナウンスが流され、人々が動き始めます。


お母様がたはイケメン主演の作品へ向かい、僕はご高齢のみなさんと一緒でした。