恋砂時計
25歳のわたしには気になる人がいる。
でも
彼女の存在すら聞きだすことができない。
わたしの中には臆病虫がいる。
年はとっても臆病虫はあの頃のまま。
「おれ、おまえのこと・・・」
「あっ、あたし知ってるよ!!J君の好きな人ってNちゃんでしょ?!」
そんな会話がかわされたのは中一の文化祭。
そのときは後夜祭ってのがあって、キャンプファイヤーの途中でフォークダンスがあった。翌年からなくなっちゃたんだけど。
それが終わった夜6時くらいだったかな?
真っ暗な体育館に彼と二人っきりになった。
実はその人のことは前から気になっていた。
体育館に二人というシーンにすでに心の中がザワザワし、なんともいえない緊張感が彼から伝わってきた。そのときだった。彼の口からあの言葉がでてきたのは・・・
「おれ、おまえのこと・・・」
うぬぼれてるとか、勘違いとかそんなんじゃなく
100パーセントそうだったとおもう。
本来なら両思い。
「うん、あたしも」ってかわいく言えば今のわたしはいなかったと思う。
でもあたしの口から飛び出してきたのは
「あたし知ってるよ」
彼はそれっきり何も言わなかった。
いまでも覚えてる。
あの時はうれしさより、どうしていいかわからないっていう気持ちの方が強くて、
その先を聞いてしまったら
あたしはどうしていいかわからなかった。
恋愛赤ちゃんのわたしには
そんなドキドキに耐えられないっておもった。
この時の一瞬がすべての始まりだったとおもう。
あたしの恋愛時計はココから動き出した。
ただし、ものすごくゆっくりと、そして時々止まりながら。
形的には何も始まらなかった文化祭の体育館。
だけど、私の中では逆に始まってしまった。
彼への思い。
そしてわたしはこの後5年間、
彼に片思いすることになる。
この文化祭の日の
あの言葉を後悔しながら。