散歩大好きジョンじいちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目次

 1 私は散歩大好きジョン、フウタとミケとの楽しいひととき

 

 2 フウタ、ミケとの7年、フウタ、ミケ中学生になる

 

 3 ジョン天国へ、フウタとミケとの最後の別れ

 

 

 

登場人物

 

ジョン(散歩が好きな90歳の老人、でもまだまだ元気)

 

フウタ(ジョンを慕う近所の男の子)

 

ミケ(同じくジョンを慕う近所の女の子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はジョン。今日はいい天気。秋空の下、公園を歩いている。公園ではイチョウの葉が落ち、銀杏の甘い特有のにおいが辺りをつつんでいた。

「さあ、今日も散歩だ。歩くぞ。」

ジョンは今日も元気に公園を歩きだした。しばらくしたところで、大きなイチョウの木の下に座り心地の良さそうなベンチがあった。

「ふあ~、疲れた。こんなところにいいベンチがあるじゃないか。少し休むか。」

この物語の主人公ジョンは散歩が大好きな今年で90歳になる元気なおじいさん。趣味は散歩と将棋に定年後から見始めた忍者アニメを見ることだ。一人暮らしのジョンは、都会から少し離れた木々で溢れる田舎町に住んでいる。

「ふー、おっといけない一寝入りしてしまったか。よしもうひと歩き。」

よく寝たせいか帰りの足取りは軽い。そうこうするうちにいつもの散歩コースを歩き終わったジョンは家にたどり着いた。

「さあ、元気の源は朝ごはんだ。今日もしっかり食べるぞ。」

と言い、ジョンは慣れた手つきで朝食の準備に取り掛かった。少しもたたないうちにテーブルには、トーストにヨーグルト、バナナにりんご、チーズ、ヤクルト、アーモンド小魚などが並べられ、ジョンは朝食の席に着いた。

「そういえば、今日は日曜日だったな。また、フウタとミケが遊びに来るかもしれないな。」

ジョンにはジョンを慕う近所のフウタとミケという男の子と女の子がいた。フウタは犬好きの元気な男の子で柴犬のコロを家で飼っている。ミケは逆に猫好きで最近拾ってきたニャンタを家で飼っている。犬と猫、二人が好きな動物は正反対だが二人はとても仲良しである。

「最近フウタが将棋を覚えたと言っていたな。よし今日はミケも交えて3人で将棋をするか。」

とジョンが言った。すると、ピンポーン。

「ジョンじいちゃんいますか~?」

二人の元気な声が聞こえてきた。

「フウタ、ミケよく来たね。お上がり。」

「お邪魔します。」

「お邪魔しま~す。」とフウタとミケが玄関を上がり、ジョンは二人を応接間に案内した。

応接間は畳張りの和室になっていて丁度よい大きさのテーブルに座布団が3枚用意されていて、テーブルには駒に進める方向が書いてある子供向けの将棋盤とお菓子が用意されていた。普段詰将棋やプロの棋譜を並べたりして将棋を勉強する時は、脚付きの将棋盤をジョンは使うのだが、今日は将棋を覚えたてのフウタと将棋を指すこともあって、子供向けの将棋盤を用意していた。

「ジョンじい、僕最近将棋を覚えたんだよ。あ~将棋盤あるじゃん。やったー。」

とフウタは言い、将棋盤の前にある座布団に座った。ジョンもフウタと盤を挟んで向かい合うように座り、

「よし、今日は将棋を3人でやろう。ミケも二人の対局を見て駒の動きを覚えよう。」

とジョンが言った。

「わかった。ねえ、ジョンじいお菓子食べてもいい。」

ミケが言うと、「いいよ、ただしテーブルの上で食べるんだよ。」

「はーい。」

 

「ジョンじい早速対局しようよ。僕の先手でもいい。」

「もちろん、受けてたとう。」

先手フウタ5八飛、

「中飛車で来たか、ではわしは三間飛車で向かい打とう。」

後手ジョン3二飛、ジョンの狙いはこれから右穴熊に囲い、向かい飛車にしてから、8筋を攻める戦法だ。ジョンお得意の戦法である。ところが、フウタは初めて将棋を打つには十分すぎる戦法、つの銀中飛車戦法を採用して攻めてきた。

「つの銀中飛車戦法か、ムム、フウタこの戦法どこで覚えてきたんじゃろか?」

ジョンの額ににじみ汗が出た。

「家にあった古い将棋本を熟読してきたんだ。僕の指し手なかなかさまになってるでしょ?」

にこりとジョンの顔を見上げてフウタが笑う。

「うん、初めての対局でこの指しまわしは大したもんじゃ。」

その後、展開は進み、九九手目フウタが玉を逃がした先はジョンの頭の中にある詰み将棋の一手であった。

「よし、これで詰みじゃな。」

ジョンがフウタの玉を持ち駒の金を打ち、頭金で詰む。

「負けました。」

フウタの目に薄ら涙が浮かび、しかし、負けた後だが達成感に満ちた顔をしていた。

詰みは、将棋で相手玉が逃げ場がなくなることを言い、今回はジョンの竜王での上からの圧力に対し、フウタの玉は守り駒が無く、最後の金で詰みの形になっていた。所謂よくある詰み将棋の場面であった。

「うーん、攻め方に無駄は無く、良かったよ。フウタ。しかし、受けが少し弱いか遅いところがあって、攻め手に急いだところがあったね。」

ジョンの感想戦が始まり、フウタも頷きながら、ジョンの一言一言を噛みしめながら聞く。感想戦が終わると、

「だあー、ジョンじいはやっぱり噂通り凄く強いことが分かったよ。対局の緊張感も味わえた。ありがとうございました。」

フウタが白い歯を見せてにこやかに言う。

「こちらこそいい対局をありがとう。近所の同年代の人と対局するより緊張感があって、難しい一局だったよ。」

ジョンの褒め言葉にまたもフウタがにこやかに笑い、そこにずっと見ていたミケが話に加わる。

「ねーねー、なんでフウタは負けなの?最後にジョンじいが打った駒を取っちゃえばいいんじゃないの?」

そこをジョンが答えようとすると、フウタが話し出した。

「ミケ、ジョンじいの飛車が成った竜王が僕の玉の上の段にいるから打たれた金をとれないんだ。分かるかな?」

「うーん」

「つまり、取ったら、取られる。その形になっているから、フウタが負けたと言ったんだよ。」

とジョンが話をまとめて、ミケが、「あーなるほど。こんな離れた駒がフウタの駒に効くって言うんだっけ?そうなってたんだ。」

「はー、お腹がすいたな。」

三人とも口を揃えて言葉が出てきた。今日は近くの弁当屋さんに買いに行って、食べた後二人を家まで送っていこう。その後、三人は弁当屋へ行き、唐揚げ麻婆豆腐弁当大盛りを買った。ちなみにジョンはポテトサラダを余分に頼んだ。余程お腹が空いていたのだろう。

 

フウタとミケを家まで送る道中で、ミケが言った。

「ねーねージョンじい、次はいつ遊びに行っていい?また来週の日曜日でもいい?今度はわたしも将棋打ってみたいな~。」

「うん、もちろんいいとも。是非フウタと来てまた遊びにおいで。」

ジョンがにこやかに答えると、ミケの家に着いた。隣はフウタの家で二人はジョンにさよらなと言って、三人はそこで別れ、ジョンは帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから、月日が流れ、フウタとミケが小学生になり、運動会にジョンが行ったり、遠足の話を聞いたり、なぜかフウタとミケの両親に頼まれ、授業参観に行ったり、修学旅行でのおみやげをもらったりする生活が続き、フウタとミケはあっという間に中学生になっていた。初めて会ったのが6歳の頃だったので、その間7年もの月日が流れていた。

 

小学生最後の春休みをフウタとミケはコロちゃんとニャンタを連れて、ジョンの所へ行き、ジョン達は小春日和を散歩を中心にして過ごした。

 フウタとミケの中学生時代は皆さんのご想像にお任せします。皆さん、四季折々、十人十色の世界で中学生時代を想像して、自分だけの「散歩大好きジョンじいちゃん」を描いて下さい。そして、月日は流れフウタとミケが15歳で中学三年生。ジョンが99歳になった歳までタイムスリップします。「チッチッチッチッチ」急にジョンの腕時計の秒針の音が大きくなってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名前はジョン。今日はいい天気。秋空の下、公園を歩いている。しばらく歩いたところで大きなイチョウの木の下に座り心地の良さそうなベンチが現れた。

「ふあ~、疲れた。こんなところにいいベンチがあるじゃないか。少し休むか。」

とジョンは言い、ベンチに腰掛けた。

「チッチッチッチッチ」ジョンの腕時計が個気味良く音を立てて時間が過ぎていく。

するとどうだろう。そこにあったはずのベンチは突然姿を消し、そこに腰掛けていたジョンもいなくなってしまった。

 

 今日は日曜日、いつものようにフウタとミケがコロとニャンタを連れて、ジョンの家にやってきた。

「ジョンじいちゃんいますか~?」

「コロとニャンタを連れてきたから一緒に散歩に行こう。」

と、二人がジョンを呼んだ。しかし、ジョンからの返事はない。静けさだけが辺りを包んでいた。

 

 

 

 

 

 

 私の名前はジョン。今日はいい天気。秋空の下、公園を歩いていた。そこは不思議な公園、一休みしたいと思う人が訪れ、永遠の休息をとる場所。ジョンは今年で齢99歳になっていた。翌日はジョンの誕生日。フウタとミケは前祝いにお祝いに来てくれていたところだった。

それはジョンの最後の散歩だった。