※少し前にpixivに投稿したものです
※長いです
※影百鬼です
土蜘蛛「影オロチ、報告とはいったい何だ」
影オロチ「はい。私事ですが……実は、結婚しようと思います」
土蜘蛛「……!そうか!おまえもとうとう身を固める決意をしたか」
影オロチ「はい」
土蜘蛛「そうかそうか!で、結婚式はいつだ?結納はもう済ませたのか?」
影オロチ「いえ……今はまだ、結婚を申し込む前の段階でして」
土蜘蛛「そうか、これからなのか。いやー、とうとうおまえと百鬼姫が夫婦となる日が来るのだな。仲良く幸せに暮らすのだぞ」
影オロチ「はい。ありがとうございます」
土蜘蛛「いや、めでたいめでたい。結婚式が楽しみだな。器量よしの百鬼姫だ、花嫁姿もさぞ美しいことだろう」
えんらえんら「ドレス姿も見たいですけど、影オロチさんにタキシードは似合わなそうですね~」
土蜘蛛「披露宴はニュー妖魔シティのホテルがよかろうな」
えんらえんら「二次会は妖楽ですよね~、やっぱり。ところでおやかた様、スピーチは大丈夫ですか~?」
土蜘蛛「すぴーち?………吾輩がやるのか!?」
えんらえんら「そりゃそうですよ~新郎の上司じゃないですか~」
土蜘蛛「う、うむ……そういうことはあまり得意ではないが、若い二人の新たな門出だ。最高のすぴーちをしてみせよう」
えんらえんら「うふふ。お二人はとっても仲良しだから、赤ちゃんもきっとすぐ生まれますね~」
土蜘蛛「なんと……あの影オロチが、父親になるのか……」
えんらえんら「美男美女夫婦ですから、とっても可愛い赤ちゃんが生まれること間違いなしですね~」
土蜘蛛「影オロチが父親に……あの小さかった影オロチが……こんな、こんなに立派になって………」
えんらえんら「あら、もう泣いてるんですか~?」
土蜘蛛「泣いてなどおらぬ……泣いてなどおらぬぞ、吾輩は……うっ、うぅっ」
えんらえんら「あっ、そろそろ『ひも爺のおつまみクッキング』が始まる時間だわ~。えーっと、リモコン、リモコン」
ピッ
ひも爺『今日のゲストは鬼KINGさんじゃ』
鬼KING『キィィィング!』
ひも爺『鬼KINGさんは、かつて多くの鬼を従え海を支配していた海賊王じゃ』
鬼KING『そうだ!』
ひも爺『鬼KINGさんがこれまでの人生で手にした宝のうち、最も価値のあるものは何かのう』
鬼KING『それは……百鬼姫だ!!!』
ひも爺『百鬼姫とは、鬼KINGさんの一人娘のことじゃな』
鬼KING『そうだ!百鬼姫はワシの一番の宝……目に入れても痛くない、命にかえても惜しくない、ワシの最も大切な宝物だ!!!誰にも渡さんぞ!!!
無論、嫁にやる気もない!!!ワシの可愛い百鬼姫に近づく男は鬼時間に永久に閉じ込めてやる!!!』
ひも爺『そうかそうか。では今日の料理といこうかの。まずはムダヅカイの出汁の取り方からじゃ』
土蜘蛛・えんらえんら「……………………………」
・・・・・・・・・・
大ガマ「へえ、影オロチが結婚ねえ」
土蜘蛛「しかし、鬼KINGのあの様子……鬼時間に永久に閉じ込めるなど……」
大ガマ「娘を持つ父親っていうのはだいたいあんな感じだろ。堂々と挨拶しにいけば意外と普通だったりするんだよ」
土蜘蛛「そういうものなのか?」
大ガマ「そうそう。ちゃんとスーツを着て、髪も整えて、菓子折りを持って、お嬢さんとの結婚をお許しください!って言って畳に額こすりつければ鬼KINGだって認めてくれるだろ」
土蜘蛛「……影オロチにそのようなことができると思うか?」
大ガマ「まあ無理だろうな、あっはっは」
土蜘蛛「吾輩は真剣に相談しておるのだぞ!」
大ガマ「へいへい。まあでも、急いでるわけじゃないんだろ?だったらいきなり突撃するより、ゆっくり外堀固めていったほうがいいんじゃね?」
土蜘蛛「まあ、そうだが……しかし早いほうがいいだろう」
大ガマ「なんで?……まさか……できちゃったのか……?」
土蜘蛛「そうではない!真面目な影オロチが結婚前にそのようなことをするはずがない!」
大ガマ「そうかねえ。ま、なんとかなるだろ。鬼KINGという壁があることは影オロチだってわかってるだろうし、おまえがそこまで気にする必要はないと思うけどな」
土蜘蛛「それはそうだが……」
大ガマ「いいか、土蜘蛛。おまえが今するべきことは、影オロチの心配じゃない。スピーチの原稿を書くことだ!」
土蜘蛛「うっ」
大ガマ「もちろん書けば終わりというわけではない。書いた原稿を暗記し、とちらないよう練習することも忘れるな!」
土蜘蛛「ぐはっ……!」
・・・・・・・・・・
大ガマ「とは言ったものの……やっぱり気になるよな。影オロチがちゃんと挨拶できるとも思えないし。だいたい娘の夫が暗殺者ってどーよ」
大ガマ「まあでも土蜘蛛にはスピーチに専念してもらいたいし、ここはこの本家軍大将大ガマ様が一肌脱ぐとしますかね」
イナホ「なるほど。事情はよーーーくわかりました」
USAピョン「鬼KINGに百鬼姫と影オロチの結婚を認めさせる、ダニか……難しそうダニ。これはミーたちでも解決できるかどうかわからんダニ」
大ガマ「そこをなんとか!頼む!」
USAピョン「まあ、やってみるダニが……鬼KINGは、百鬼姫を嫁にやりたくない、近づく男は鬼時間に閉じ込めるって言ってるダニね?」
大ガマ「そうなんだけど、まずここが問題だよな。本気かどうかがハッキリしていない。冗談で言ってるだけかもしれないし、本気かもしれない」
USAピョン「冗談だと思って結婚話を切り出したら実は本気だった、なんてことだったら怖いダニ」
大ガマ「確かに影オロチは強い。だが鬼KINGが部下の鬼どもを従えて襲いかかってきたらなあ」
USAピョン「……想像しただけで震えるダニ」
イナホ「………………」
大ガマ「もちろん戦いになったら俺も土蜘蛛も手を貸すし、キュウビやオロチたちもやぶさかではないだろう。元祖と本家の連合軍が影オロチにつくわけだ」
USAピョン「百鬼姫をめぐって戦争が起きるダニか……百鬼姫はきっとそんなこと喜ばないダニ」
大ガマ「そうだよな。父親と恋人が自分をめぐって戦うなんてダサイよなあ」
イナホ「………………」
大ガマ「なんとかして穏便にすませたいんだが」
USAピョン「うーん……百鬼姫は父親の鬼KINGのことが大好きダニ。放っておかれた寂しさで、感情がなくなったっていう嘘をついてまで鬼KINGの気をひこうとしたダニ。大好きな父親に反対されたら、影オロチとの結婚をあきらめてしまうかもしれないダニ」
大ガマ「でも影オロチのことも好きなはずだ。だから鬼KINGが二人の結婚を祝福できるような状況に持っていけばいいんだ。何かいい方法はないか?」
USAピョン「やっぱり難しいダニ……イナホ!さっきからずっと黙ってるダニが、ユーも何か考えるダニ!」
イナホ「んっふっふ……USAピョンくん。黙っているから何も考えてない……なんて思ってもらっちゃあ困りますよ」
USAピョン「ダニ?」
イナホ「本家軍大将大ガマ様のお悩み!このイナウサ不思議探偵社がばっちり解決してみせまっしょー!」
USAピョン「ダ、ダニ!?」
大ガマ「頼もしいな!いい案があるのか?」
イナホ「もっちろん!我々に解決できない悩みなど存在しませんから!」
USAピョン「その自信はどこから来るダニ……」
大ガマ「なんで探偵社の前でじっとしてるんだ?」
イナホ「いいからいいから!ちょっとここでこうして待っててくださいって」
USAピョン「イナホ……まさかとは思うダニが……」
大ガマ「ん?なんだこの空気……まさか!」
イナホ「キタキタキタキターーーーーーー!!!!」
USAピョン「や、やっぱり鬼時間を待ってたダニ~~~!!!」
赤鬼「………………」
大ガマ「出たな赤鬼!おい、戦うのか!?逃げるのか!?どうするんだよ!」
イナホ「ぐふふふ………赤鬼さん!ちわっち!」
USAピョン「友達みたいに挨拶すんなダニ!」
赤鬼「またおまえか………」
イナホ「じ・つ・は~♪赤鬼さんにお願いしたいことがありまして~♪」
USAピョン「イ、イナホ!!!」
赤鬼「なんだ。言ってみろ」
イナホ「影オロチさんが鬼KINGさんの娘の百鬼姫さんと結婚したいそうなんで、影オロチさんが問題なく百鬼姫さんにプロポーズできるように鬼KINGさんのご機嫌をとってください♪♪♪」
USAピョン「~~~~~っっっ!!!」
大ガマ「………………」
赤鬼「……人間風情がこのワシに頼みごとか……いい度胸だ……」
USAピョン「おおお怒ってるダニ!イナホ、まずいダニ!逃げるダニ!」
イナホ「あっれ~?鬼KINGさんのお悩みを解決して差し上げたこともある私たちにそんな態度とっちゃっていいんですか~?私たち鬼KINGさんの友達なんですよ~?」
USAピョン「鬼を脅すなダニ!!!」
イナホ「それに私たち、赤鬼さんのために鬼KINGさんを探し出してあげましたよね~?私たちって友達じゃなかったんですか~?それなのにそんな態度とるなんて、なんかガッカリ~」
USAピョン「いいかげんにするダニ!!!」
赤鬼「……そうだな。たしかに、おぬしらには借りがある。いいだろう。引き受けよう」
イナホ「やった~!!大成功!!」
USAピョン「よ、よかったダニ………」
大ガマ「すげえ………」
赤鬼「しかし、姫の結婚か………あの鬼KING様が簡単にお許しになるとは思えんな」
USAピョン「やっぱりそうなんダニか?」
赤鬼「ああ。鬼KING様は姫のことをそれはそれは大事に思っておられる。それでも姫がほしいと言うのなら、それ相応の覚悟が必要だろう」
大ガマ「それはそうだが、本人たちが本気なら親がいくら反対したって止めることはできないはずだ」
赤鬼「理屈ではそうだ。だが、親が子を想う気持ちに理屈など通用せん」
イナホ「そっか………でも鬼KINGさんだって、お姫様が幸せになれるのなら文句はないはず!私たちが説得しましょう!」
大ガマ「そうだ!さあ、俺たちを鬼KINGのところに案内してくれ!」
USAピョン「ダニ!」
・・・・・・・・・・
鬼KING「キィィィング!」
イナホ「鬼KINGさん!ちわっち!」
USAピョン「やっぱり軽いダニ……」
鬼KING「おお、おぬしたちか。あのときは世話になったな」
大ガマ(鬼KINGとのパイプ持ってんのかよ。すげえ人間だな、イナホ)
鬼KING「今日は何か用があって来たのか?」
イナホ「ええ、まあ。とりあえずこれどうぞ♪本家まんじゅうと元祖まんじゅうと天地まんじゅうです♪」
鬼KING「おお、すまんな。ありがたく頂戴しよう。で、用事はなんだ」
イナホ「実は~お姫様のことなんですけどぉ」
鬼KING「百鬼姫のことか?」
イナホ「お姫様にもそろそろいいご縁があれば……なーんてこと思ったりしません?」
USAピョン「ぐいぐい行くダニね……」
鬼KING「ああ……それは影オロチという者のことか」
大ガマ「!!!知ってんのか!?影オロチと百鬼姫の仲を」
鬼KING「恋人がいるということは姫から聞いておる。いずれは結婚したいと思っているとも」
イナホ「なーんだ、親公認なんじゃん。なら問題ないっすね~。よかったよかった」
USAピョン「それなら話は早いダニ。影オロチは百鬼姫とそろそろ結婚したいと考えているそうダニ」
大ガマ「どうか鬼時間に閉じ込めるようなことはせずに認めてやってくれ」
鬼KING「………………影オロチとやらは、相当な手練れと聞いておる」
大ガマ「そうだ。あいつは強い。何があっても百鬼姫を守ることができる」
鬼KING「しかし暗殺者とも聞いている。そんな危険な男に可愛い百鬼姫を任せてもいいものか」
大ガマ「……暗殺者なのは間違いないが、百鬼姫に危害を加えるようなことは絶対にない」
鬼KING「それはそうと……どうして本人ではなく、おぬしたちがワシの説得に来るのだ?ここは本人が来てワシの承諾を得るのが筋というものだろう」
イナホ「げっ!」
USAピョン「そ、その通りダニ」
鬼KING「暗殺者だろうが何だろうが、そんなことはどうでもいい。影オロチとやらは、自らワシのところに挨拶に来ることもできないような礼儀知らずの臆病者なのか」
大ガマ「ち、ちがう!これは俺たちがちょっと早とちりしたというか……とにかく影オロチには何の問題もないんだ!」
USAピョン「まずいダニ。ミーたちが先に来たせいで、影オロチの印象が悪くなってしまったダニ」
鬼KING「そんな腑抜けに百鬼姫はやれんな。結婚は認めん」
イナホ「ガーーーーン」
赤鬼「しかし、鬼KING様。姫様の気持ちをお考えになられたほうがよいでしょう。姫様は、影オロチのことをとても愛しておられる」
鬼KING「……………!」
赤鬼「鬼KING様も、いつも姫様から惚気話を聞かされているではございませんか。やれ、影オロチがああしてくれた、こんなことを言ってくれた、どこへ連れて行ってくれた……それはそれは幸せそうで」
鬼KING「……………」
大ガマ「そうだ。百鬼姫は影オロチと一緒にいて、いつも幸せそうだ。最終的に女を幸せにできるのは父親じゃない。恋人であり夫だ」
イナホ「そうそう。そりゃあお姫様はまだまだ若くて可愛いし?手元に置いておきたい気持ちもわかりますけど?でも行き遅れちゃったらかわいそうですよ~。パパのせいで婚期逃したー!なんて後から責められちゃいますよー?」
鬼KING「……………………」
USAピョン「そ、そのへんでやめておいたほうがよさそうダニが……」
大ガマ「いやー、影オロチみたいないい男つかまえて百鬼姫は幸運だな。美男美女のお似合い夫婦だぜ」
イナホ「うんうん。いくら鬼の姫といっても厳つい鬼よりイケメンと並んでるほうが絵になりますよねー」
大ガマ「そもそもなんで鬼からあんな可愛い女の子が生まれるんだってこと」
イナホ「確かに謎ですなあ。突然変異?」
大ガマ「そうだ、それだよ。あっはっは」
赤鬼「………………」
USAピョン「…………ま、ま、まずいダニ…………」
鬼KING「………………キィィィング!!!」
鬼KING「もう怒った!!誰が何と言おうと百鬼姫はワシのものだ!!影オロチだろうが誰だろうが絶対に渡さん!!!」
大ガマ「あ、あら」
イナホ「………怒らせちゃったみたいですね」
USAピョン「当たり前ダニ!!!!!」
影オロチ「……………大ガマ殿?」
大ガマ「!!!!!影オロチ!!!!お、おまえなんで……ここに」
影オロチ「?それはこちらのセリフです。我は百鬼姫との結婚について話すために来たのです」
鬼KING「ほほう………おまえが影オロチか………ワシに何の用だ。言ってみろ」
影オロチ「報告だ。百鬼姫と結婚する」
イナホ「態度でかっ」
鬼KING「ふむ………百鬼姫の父親であるワシに許可をもらいにきたということか」
影オロチ「何を言っている。あくまで報告だ、許可などいらん」
大ガマ「おい、ここは下手に出るところだろ!」
USAピョン「印象最悪ダニ……」
鬼KING「………………百鬼姫はワシのものだ!!!おまえごときに奪われてたまるか!!!」
影オロチ「奪う?おかしなことを言うな。百鬼姫はモノではない。奪うも奪われるもない」
イナホ「ひええええ」
大ガマ「お、おい、そのへんでやめとけって……」
鬼KING「フン、言うではないか小僧。そんなに百鬼姫と結婚したいのであればワシと勝負しろ!!!ワシを倒せなければ絶対に結婚はさせん!!!」
影オロチ「勝負か……いいだろう」
USAピョン「………お決まりの展開ダニね」
・・・・・・・・・・
土蜘蛛「何故このようなことになるのだ……」
大ガマ「まあまあ。とにかくこれで影オロチが鬼KINGを倒せば、すべて丸く収まるってわけだ」
イナホ「可憐な姫君をめぐる男同士の決闘か~。燃えますなあ!」
USAピョン「この二人、全然反省してないダニ……」
影オロチ「…………………」
鬼KING「姫は絶対に渡さん。大切に育てたワシの可愛い一人娘を、あのような若造にやってたまるか」
土蜘蛛「影オロチ……何を考えておるのだろうか。相手は鬼の王だが、恋人の父親でもある。複雑であろうな」
えんらえんら「でもここに百鬼姫さんがいなくてよかったですね~。お父さんと恋人が戦っているところなんて見たくないでしょうし、影オロチさんも戦いにくいでしょうし」
夜行「百鬼姫を連れてきました」
百鬼姫「なんじゃ?この騒ぎは」
大ガマ「おまえ余計なことすんなよ!!」
夜行「何が余計ですか。これは百鬼姫をめぐる戦いなのでしょう?でしたら百鬼姫が行く末を見届けるのは当然です」
百鬼姫「何が起こっておるのか、さっぱりわからぬが………ん?父上に影オロチ………?」
鬼KING「おお、姫か」
影オロチ「………!」
百鬼姫「な、なんじゃ?まさか……戦おうとしておるのか……?いやじゃ!やめるのじゃ!」
鬼KING「ワシの可愛い百鬼姫よ。今からワシはここにいる影オロチと戦うことになる。影オロチが本当に姫にふさわしい男かどうかを見極めるためにな」
百鬼姫「いやじゃ!父上と影オロチが戦っているところなど見たくない!」
鬼KING「娘を想う父親の気持ち………姫にはわからないだろう。いや、わかる必要もない。姫は何も考えずにただ幸せになればよい。そのためにワシと影オロチは戦う」
百鬼姫「何故じゃ!?私にはわからぬ!やめるのじゃ、影オロチ!」
影オロチ「……………」
百鬼姫「影オロチ!!」
えんらえんら「………百鬼姫さん、こちらへ」
百鬼姫「うっ、ぐす……いやじゃ、このようなこと……」
鬼KING「さてと。戦いを始める前に、ワシの仲間を呼ばせてもらう」
イナホ「まさかのチームバトル!?」
大ガマ「おい、卑怯だぞ!こういうのは普通タイマン勝負だろ!」
鬼KING「フン。誰が一対一の戦いだと言った」
影オロチ「構わん。何人でも呼ぶがいい」
USAピョン「鬼KINGの仲間……どんな鬼が出てくるダニ……怖いダニ」
鬼KING「さあ、来い!」
土蜘蛛「………ん?あれは………」
キュウビ「待たせたね」
オロチ「………………」
大ガマ「嘘だろおい………なんであいつらが鬼KINGの………?」
USAピョン「どどどどういうことダニ!?」
土蜘蛛「オロチ!キュウビ!どういうつもりだ!」
オロチ「………ご覧のとおりです。私たちは鬼KINGに加勢します」
大ガマ「ふざけんなよ!だったら俺らも参加させてもらうぜ。おい土蜘蛛、いくぞ」
土蜘蛛「ああ」
影オロチ「その必要はありません。我はひとりで戦います」
大ガマ「だけど!」
土蜘蛛「鬼KINGひとりならともかく……オロチとキュウビも相手となると、ただではすまんぞ」
影オロチ「構いません」
鬼KING「……いい度胸だ。その余裕、いつまで続くかな……?」
USAピョン「始まったダニ!」
イナホ「がんばれ影オロチ!」
キュウビ「いくら君でも僕たち二人を同時に相手にするのは厳しいだろう」
影オロチ「………くだらん。さっさと終わらせるぞ」
キュウビ「フッ。そうだね、百鬼姫もそう願っているだろうし」
影オロチ「………キュウビ。おまえ何故」
キュウビ「……………」
影オロチ「答えろ」
オロチ「………余所見をしていていいのか?」
影オロチ「!」
イナホ「うわあっ!」
USAピョン「オロチ、容赦ないダニね……」
土蜘蛛「あいつはああいう男だ」
大ガマ「くそっ、負けんな影オロチ!」
影オロチ「オロチ………」
オロチ「体が鈍っているな。昔のおまえはこうではなかった。もっと強かった。相手が誰であろうと、立ちはだかる者には容赦しなかったものだが」
影オロチ「……………」
オロチ「何故そんなに弱くなった」
影オロチ「……………」
オロチ「百鬼姫のせいではないのか?」
影オロチ「違う!」
オロチ「ならば証明してみせろ。本気でかかってこい」
百鬼姫「………何故戦う必要があるのじゃ。これ以上はもう見ておられぬ」
えんらえんら「百鬼姫さん……」
夜行「だめです。最後までちゃんと見届けなさい」
土蜘蛛「おい、夜行」
夜行「影オロチが戦っている理由、皆さん知っているはずです」
大ガマ「それはそうだが………それにしても、影オロチってあんなだったか?もっと強いはずだが」
鬼KING「………オロチ、キュウビ。ご苦労だった。もういい、後はワシがひとりでやる」
オロチ「……わかった」
キュウビ「じゃ、退場させてもらうよ」
影オロチ「……………」
鬼KING「おぬしの戦いぶりを見ていたが……思ったほどでもないな。それでよくワシから姫を奪おうなどと言えたものだな」
影オロチ「………言っただろう。百鬼姫はモノではないと」
鬼KING「フッ……あまりワシをがっかりさせないでほしいものだが」
イナホ「………うわあ。なんか見てるほうがツライ」
USAピョン「どうして一方的にやられてるダニ!?影オロチはもっと強いはずダニ!」
土蜘蛛「………百鬼姫の前だからな。鬼KINGが怪我をすれば、百鬼姫が悲しむ」
USAピョン「でも百鬼姫は影オロチが傷つくのも見たくないはずダニ!こんな戦い、やめるダニ!誰も幸せにならないダニ!」
大ガマ「あいつ、変わったな………冷酷な暗殺者だった頃とは別人だ」
えんらえんら「百鬼姫さんと出会って、変わったのですね」
百鬼姫「…………………」
鬼KING「とどめだ!」
影オロチ「…………!」
百鬼姫「だめじゃ!!!」
バッ
鬼KING「姫!」
百鬼姫「もうこれ以上は見たくないのじゃ!父上も、影オロチも……どうして仲良くしてくれないのじゃ……私には二人とも大切なのに……」
影オロチ「百鬼姫………」
百鬼姫「うっ、うっ……うわあああああん」
鬼KING「姫………そんなに影オロチが大切なのか」
百鬼姫「ぐすっ…そうじゃ。でも父上のことも大切なのじゃ」
鬼KING「影オロチ………おぬしの秘めたる強さは、戦ってみてすぐにわかった。だがおぬしは本気でワシを攻撃しなかった。姫が悲しむと思って、しなかったのだろう?」
影オロチ「………」
鬼KING「オロチとキュウビにも本気を出さなかった。友を傷つけることはできなかったということだ。それが姫を賭けた戦いであってもな。おぬしは優しい男だ」
影オロチ「………買いかぶりだ。我は、昔はこうではなかった。相手が誰であっても傷つけることなど何とも思わなかった」
オロチ「だがそれは昔の話だろう?」
キュウビ「百鬼姫と出会い、君は変わったんだ」
影オロチ「オロチ……キュウビ……」
オロチ「………裏切るようなことをしてすまない、影オロチ。だが私たちは鬼KINGに加勢すると自分たちの意思で決めた」
キュウビ「君が本気で鬼KINGに攻撃すると思ったんだよ。百鬼姫を賭けた戦いともなれば、君はそれこそ鬼にでもなってしまうかもしれないってね」
オロチ「だがそんなことになってしまったら、百鬼姫はこれまでのようにおまえのことを信頼できなくなるかもしれない」
キュウビ「だから僕たちは君を止めるため、鬼KINGに手を貸すことにしたんだ」
オロチ「で、それは大誤算だったというわけだ」
影オロチ「そうだったのか………」
キュウビ「さ、これで裏切りの言い訳は終了だ。好きなだけ僕たちを殴るといい」
オロチ「百鬼姫も、いやな思いをさせて悪かった。気のすむまで殴ってくれて構わない」
大ガマ「よーし、ボッコボコにしてやるから覚悟しろよ」
土蜘蛛「おまえに言ったのではないだろう!」
鬼KING「ふふ………影オロチ、おぬしは仲間に恵まれているな」
影オロチ「ああ」
鬼KING「いい友達を持って幸せだな。そうだ、姫よ。影オロチが姫に言いたいことがあるそうだ」
影オロチ「なっ……」
イナホ「ウハーッ!きますか!?きちゃいますか!?公開プ」
USAピョン「それ以上は言うなダニ!百鬼姫にばれるダニ!」
百鬼姫「なんじゃ?言いたいこととは」
影オロチ「………………」
大ガマ「がんばれ!」
土蜘蛛「言うのだ!」
えんらえんら「がんばってください~」
影オロチ「…………百鬼姫」
百鬼姫「皆がじっと見ておるが……何が始まるのじゃ」
キュウビ(大丈夫かな……)
オロチ(見ているほうが緊張する……)
夜行(やれやれ。返事はわかりきっているでしょうに、何をそんなに躊躇っているのか)
影オロチ「その………我と」
百鬼姫「………ん?影オロチ、頭の上に何か光が………」
俺 の と も だ ち ! 出 て こ い 影 オ ロ チ !
百鬼姫「影オロチが消えた!」
イナホ「………い、い、今のって………」
USAピョン「………最っ悪ダニ………」
ケータ「影オロチ!こいつを何とかしてくれ!!」
ハナホ人「ほじほじ~♪」
ケータ「ジバニャンが来てくれないんだ!頼む!」
影オロチ「………………………………………………………」
・・・・・・・・・・
土蜘蛛「影オロチは結局まだぷろぽーず出来ていないのか」
オロチ「心が折れたそうです」