椿姫「ケガが早く治ってよかったわ」

椿姫「今日の夕飯はコロッケカレーにしましょう。これでもっと元気になってくれるかしら」

椿姫「本当はあまり頑張りすぎないでほしいけど……でも私には、こうして影から応援することしかできないもの。せめて私にできることを、しっかりやりましょう」

椿姫「あら」



ホノボーノ「こんにちはボーノ」

椿姫「ホノボーノさん、ドンヨリーヌさん、こんにちは。お二人でお出かけですか?」

ドンヨリーヌ「そうジュバ~ン。今日は映画を観て、お買い物して、その後はレストランで食事するジュバ~ン」

椿姫「いつもご一緒で、相変わらず素敵なご夫婦ですね」

ホノボーノ「ありがとうボーノ。それじゃ、さよならボーノ」

椿姫「さようなら」

椿姫「………………」

椿姫「いけない、早く買い物を終わらせないと」

・・・・・
ヒカリオロチ「今回は失敗だったが……次は負けないからな!百鬼姫、影オロチ!」

ヒカリオロチ「オレは正義の光輝くヒカリオロチ!これくらいのことで負けたりしない!」

老いらん「ちょっとー、あんたいつしきるん蛇とヨリ戻したのよ。この間のダンス大会、会場で見てたけどビックリしちゃったわ」

おつぼね様「ま、ちょっといろいろあってね……あら、あれヒカリオロチじゃない?」

老いらん「あら、ほんと」

おつぼね様「ちょっとー、ヒカリオロチ」

老いらん「相変わらずまぶしいわね。ケガはもういいの?」

ヒカリオロチ「ああ。お見舞の品、ありがとう。土蜘蛛殿が持ってきてくれた」

おつぼね様「けっこう早く退院できたのね。入院生活はどうだった?退屈だったでしょ」

ヒカリオロチ「お見舞いに来てくれた土蜘蛛殿とオロチとキュウビとフミカにこっぴどく叱られたぜ」

老いらん「ケータはお見舞いに来なかったの?」

ヒカリオロチ「来てくれた。かわいそうなものを見るような目で見られた」

おつぼね様「……椿姫は?」

ヒカリオロチ「お見舞いどころか、毎日泊まり込んで世話をしてくれたぜ!」

老いらん「優しいわねー」

ヒカリオロチ「ああ。椿姫のおかげで、オレはまた悪を滅ぼすための戦いができる!」

おつぼね様「バカじゃないのあんた。悪とかどうでもいいわよ、そんなことより椿姫のそばにいてあげなさいよ」

ヒカリオロチ「何を言う。オレから正義の心を取ったら何が残る?」

老いらん「何も残らないわね」

ヒカリオロチ「そうだ!だからオレは悪と戦うんだ。この世から悪が滅び、人間と妖怪が幸せになれる日まで、オレは戦い続ける!」

おつぼね様「悪だ悪だって言ってるけど、百鬼姫も影オロチも別に悪者じゃないでしょ。あんたたち仲良くやってるじゃない」

ヒカリオロチ「ああ……だからオレは百鬼姫と影オロチの心の闇を払ってやりたいんだ。地獄の姫として生まれた百鬼姫……オロチの影として生まれた影オロチ……生まれながらに決められてしまった生き方から、二人を助けなければ」

おつぼね様「うーん、突っ込み所がありすぎてガミガミマウスが出そう」

老いらん「ヒカリオロチ、あんたも助けてもらったほうがいいわね」

ヒカリオロチ「何だと!?」

おつぼね様「あのね、ギャーギャー騒いで突撃していったら戦いが起こるに決まってるでしょ。自分の気持ちを伝えたいときはね、大声で叫んじゃだめ。まずは相手の近くに行くことよ。そうすれば大声でまくしたてる必要ないでしょ」

老いらん「それにね、騒がれたり怒鳴られたりしたら、相手は耳をふさぎたくなるものよ。あんたのそのやり方じゃ、二人に気持ちは届かないってこと」

ヒカリオロチ「……そうか」

おつぼね様「(案外、素直だわ)百鬼姫も影オロチも仲間なんでしょ。幸せになってもらいたいっていうあんたの気持ちはわかるわ」

老いらん「でも椿姫のことほったらかしにしちゃダメよ。椿姫、ここにきてまだ一年も経ってないんだから。まだワガママ言ったりできないでしょうしね。人間と妖怪を幸せにするんなら、まず椿姫からしてあげなさい」

ヒカリオロチ「わかった!ありがとう二人とも!じゃあな!」ダッ

おつぼね様「すごい早さで行ったわね」

老いらん「けっこう素直なのね」

おつぼね様「とりついてるんじゃない?あいつが」




つづく