「墨東奇譚」という作品をDVDで観た。

言わずと知れた永井荷風の作品を映画化したものである。

監督は今年確か90歳を超えてなお元気で、つい最近も新作を取った新藤兼人。

主演は津川雅彦。

10年以上前の作品のため、登場人物の俳優が皆若いのがなんとなく面白い。

さらに、興味深いのはすでに亡くなった役者さんがまだ元気で出演していることである。

例えば、佐藤慶、戸浦六宏、女優では杉村春子、乙羽信子など、そうそうたる役者さん

が出演していた。

内容そのものもさることながら、彼らを観ているだけでも面白い。

特に、乙羽信子は、ヒロインの若い私娼を管理しかつ面倒をみている、いわゆる「おか

あさん」役で重要な役どころ。

丸い黒眼鏡(この時代ではサングラスとは決して呼ばないだろう)を常にかけていて

重い過去を背負いながらも決して自分の心の内や弱みを見せない、暗く強い女を好演

している。

舞台は、向島の玉の井。

玉の井はいわゆる赤線と呼ばれた私娼街であった。

戦後の売春防止法が施行されるまで続いたそうである。

ヒロインはココで働く若い私娼。

墨田ユキという芸名の女優である。

この役で一躍有名になったようだがその後は鳴かず飛ばず状態で全くその名を聞くこと

が無いが、彼女は一体今はどこで何をしているのだろうか?

明るくのびのびした感じを上手く出していたが、決して演技力があるというふうには思え

なかった。

一時的にも話題になったのは、やはり彼女が大胆なヌードを見せたためなのか?


いずれにしろ、永井荷風という作家がどんな人物だったかが良く分かって興味深い作

品ではあった。