昨年8月、とあるレポートがメガバンク筋で話題になった。

「純粋持株会社体制におけるグループ経営上の落し穴」
純粋持ち株会社体制におけるメリット、デメリットを分析したレポートだが、作成したのが、あのみずほコーポレート銀行の産業調査部なのだ。

みずほグループと言えば、持ち株会社「みずほフィナンシャルグループ」の傘下に「みずほコーポレート銀行」と「みずほ銀行」があり、それぞれ会長(現在は特別顧問)、社長・頭取を置き、旧日本興業銀行、旧富士銀行、旧第一勧業銀行が三つ巴の権力闘争を繰り返し、顰蹙を買っていた。レポートには、みずほグループの病弊を告知するかのごとき指摘がなされているのだ。
(以上、月刊ファクタ 2010年10月号 [ビジネス・インサイド]より)

勇気ある告白というか、自虐的な病状診断書ともいえる当レポートについては、各自時間を見つけて読んで欲しい。



さて、あれからちょうど半年が経過。
新日鉄と住友金属の合併報道を受けて、あのレポートが装いを新たに帰ってきた。


「新日鐵・住金の合併を契機とした産業再編加速への期待」

前半は日本鉄鋼業界についてコンパクトにまとめられており「さすが」の印象。

注目すべきははPDFファイル11枚目以降の「事業持株会社体制を採用した背景」だ。
事業持株会社制と純粋持株会社制の経営管理の問題点を比較しつつ、経営統合後に純粋持株会社体制を廃止した事例などを紹介しながら次のように結んでいる。

純粋持株会社体制を採用する企業グループの中には「グループ経営の効果が発揮しにくい」と悩んでいるケースも散見される(笑) 、(新日鉄は)これまで確立した事業持株会社体制に対する実績もあり、あえて純粋持株会社体制に移行する必要のないとの判断があったものと思われる。
合併による事業持株会社体制の採用は、スピード重視の攻めの姿勢とグローバル戦略を果断に推進する決意が感じられる(以下略)。

(注)・・・・下線部と(笑)は私が挿入した


今回みずほは、事業持株会社制度を高く評価する形で、(自ら採用している)純粋持株会社制度の問題点を明らかにしている印象がする。直接批判とも取れる前回と比べて「大人」になったのかもしれない。


そしてもう一点。PDF p.11ではこんな記述もあった。

P.F.ドラッカーが「マネジメント 基本と原則」で述べているように「組織構造は戦略に従う。組織構造は組織が目的を達成するための手段」であり、各企業が自社の戦略遂行に対し、最適な組織構造の採用を模索する。

と唐突にあのドラッカーの名言を引用しているのだ。

マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]
P・F. ドラッカー,上田 惇生
ダイヤモンド社


これは、みずほ内部で時ならぬ「もしドラ」ブームが起きていることを意味するのであろうか、
それとも、
純粋持株会社制度を採用するに際して、「ドラッカーのいうマネジメントの基本と原則に基づいた判断をちゃんとされたのでしょうね?」という当時の上層部へのあてつけなのだろうか。気になるところではある。


次回はどんな風にして純粋持株会社制度を批判していくであろうか。勇気ある著者たちのその後の消息も含めて、興味は尽きることはない。


なかのひと

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