・一つの区切りとして、チューターK君から6年前に受け継いだアナリスト
 としてのノウハウの一部を書き記すこととします。
 
 (すでに6年経過しておりますし、今読み返しても正直言って特段目新しい
ところはありませんので。でも本質は突いていますね。)

・一方、バイサイドアナリストの特権である企業取材時の留意点については、
 「これ」が守られているアナリストが現在どれだけいることやら。

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○小売企業の銘柄選択上、特に気を付けている事

・コンセンサスを疑う。

・「月次既存店売上高偏重主義」に対する懐疑:
 足元の売上の傾向が今後も半永久的に継続すると考える人が多い。
 個人的には逆に、既存店がマイナスでも安定した増益基調維持を可能に
 している企業を評価している。

・「素晴らしい経営者」に対するプレミアムには気を付ける:
  口が上手い経営者が評価され、高いプレミアムが株価に付与されるケースが
  多いが、長期的に高いプレミアムが経営者に対して付いているケースは
  極めて少ない(当時のセブンイレブン)。

・「若いやり手の経営者」には気を付ける:
  若い経営者は苦労されているとは言っても、やはり地獄を見ていないケース
  が多く、迫力・安定感に欠ける。
  個人的には 50歳以上の経営者にのみベットしている。
  過去に一度会社を潰した事があるとなお迫力が増す。

・「若年女性に人気の店は外す」:
  こんなにいい加減で非合理的で気まぐれで飽きっぽい消費者はいない。
   (注:原文のまま記載。お気を悪くされたら申し訳ありません!)
  今まさに若年女性に人気がある店舗を運営している会社は決して
  投資対象として選択しない。

・「単一業態は恐い」:
  単一業態を展開する会社は一時的に高い効率を誇る事があるが、
  その業態が飽きられた時の落ち込みも大きい。
  よって、例えば外食であれば複数の業態を持ち複数の顧客層を持つ会社を
  選択。基本的に専門店よりも総合小売業に対して長期的に強気なのも
  これが根拠。
                                 など


○バイサイドアナリストとしての.経営者への接し方

・相手から重要な情報を引き出す為には、こちらが経営者にとって価値ある情報
 を提供できる状態になっているのが重要であるのではないか。
 ライバル企業の極秘の情報を流すのは信義則に悖るが、
 こちらから価値ある情報・提言を提供できれば、
 相応に評価してくれるというのが実感。

・やはり、取材とは言えギブ&テイクの部分が無ければ長期的な関係は
 築けないのでは無いか。

・但し、アナリストはコンサルタントでは無いし、業界の事に関しては
 先方の方が詳しいのは当然だから余り偉そうな事を言うのはどうかと思う。

「観光客として、そこに住んでいる人が見逃しているかも知れない情報を
 提供する」スタンスが丁度良いと思う。
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(以下は追加雑感)

・ファンド資本主義とやらで、経営に口出しする輩がここ数年増えておりますが、
 本当にその企業、業界に精通しているの?と首を傾げるケースも。
 「観光客スタンス」は今見ても納得です。