久々にソフトバンクネタ。といってもクレジット関係ですが。
今回は週刊エコノミスト06.12.12号p.22にあります、
「財務悪化でも格上げの理由/ムーディーズの見方」の要約をご紹介と、
いい加減な補足コメント。ご関心ある方は原文をご参照下さい。

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【要約】


・事実関係:
 ムーディーズはソフトバンクの格付けをそれまでのBa3からBa2へと
 1段階引き上げ。
 買収による財務悪化は格付にとって通常マイナス要因となるが、
 今回は買収がもたらす事業面のメリットをより高く評価した結果、
 格上げとなったとのこと。


・出発点は、買収したボーダフォン日本法人の信用力をどう見るか?

  ①日本の携帯電話市場は市場規模からして3社程度の事業者は十分存続可能。

  ②ここ数年間の競争力低下の理由と見られる、
    ・3G(第三世代)への対応の遅れ、
    ・魅力的な携帯端末やコンテンツ不足、
    ・販売網の弱さ、
   といった課題に対し、
   ソフトバンクはさまざまな戦略を打ち出しており、競争力向上は可能。

  ③買収後のEBITDAは半期で2284億円と、前年同期502臆円から大幅増。
   純有利子負債のEBITDA倍率は半期で8.97倍なので、
   単純に年間換算すると、理論上は負債を4~5年で返済できる
   キャッシュフローを生み出していると。

  ④契約者数は前年同期かた緩やかに増加、解約率(7~9月)も1.27%と
   前年同期から改善している。

 以上から、現在進めている事業戦略を今後も着実に実行すれば、
 同社のキャッシュフロー生成能力は妥当な水準を維持できると。


・一方で、リスク要因も。

 ①少なくとも無効2~3年は主に3Gネットワークのために多額の設備投資が必要、
  顧客基盤拡大のための販売促進のコスト負担増も予想され、
  フリーキャッシュフローが圧迫される。

 ②想定以上に①が長期化すると、
  通信事業全体の戦略にマイナスの影響を及ぼし、同時に、
  借入金返済の確実性にも懸念が出てくると。

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(コメント)

①格上げについては、私も当初は意外感をもって受け止めました。
 しかし、1ノッチ引き上げとはいえ、
 投機的要素のあるBaクラスには変わらないので、
 まぁ、そんなものか、と軽く受け流しております。


②それでも、やっぱり釈然としませんね。

 以前ちょっとご紹介しましたが、11月9日付の日経金融新聞にあった
 「ソフトバンクの携帯事業の企業価値もゼロ円」という記事。
 事業の証券化をしたため、携帯事業から上がるキャッシュフローは
 第一義的に株主が享受することができないため、
 そのような記述となっておりました。

 でもこれは、株主のみならず、ソフトバンクの一般債権者にも当てはまると
 思うんですけどね。
 EBITDAが大幅に増えた・・・・・・と評価することの意味ってどれほど
 あるんでしょうかねぇ?

 まっ、門外漢の戯言ってことでご容赦を。