大学講師も楽じゃない!?

大学の非常勤講師、1コマ90分で7,000円!

これって、家庭教師並みじゃあ!?

日本の大学は非常勤講師を使い捨てる「ブラック大学」
ニューズウィーク日本版 7月31日(水)

 早稲田大学が今春から非常勤講師に適用した就業規則について、早大の非常勤講師15人が6月、早大総長や理事らを労働基準法違反で東京労働局に刑事告訴した。
原告の首都圏大学非常勤講師組合の松村委員長によると、非常勤講師は今年度から契約更新の上限を5年とする、と大学から一方的に通告されたという。

 大学側は労働基準法にもとづいて意見を聞いたとしているが、講師らは正当な手続きを経ていないと主張し、「早大はわれわれを5年で使い捨てるブラック大学だ」と批判している。

大阪大学も今年度から非常勤講師の契約期間の上限を5年とする規定を設け、これに対しても労働組合が告訴する動きがあり、これは一部の大学の問題ではない。

 4月から改正された労働契約法では、非正規労働者が5年を超えて勤めると、本人が希望すれば期間の定めのない「正社員」に転換しなければならないため、多くの企業で契約社員などを5年で雇い止めする動きが広がっている。

大学の場合は今まで事実上無期限に勤務してきた非常勤講師が多く、早大の場合は教員の6割、4000人が非常勤だというから、雇い止めの影響は大きい。

 私もいくつかの大学で非常勤講師をやったが、賃金はだいたい一コマ(90分)で7000円ぐらい。
準備の時間や往復の交通費や試験などの事務にとられる時間を考えると、コンビニのアルバイトと大して変わらない。ところが専任講師や准教授になると実質的に終身雇用になり、教授になれば年収1000万円を超えるので、常勤と非常勤の格差は非常に大きい。

 ある非常勤講師の場合は、1週間に10コマ掛け持ちしても年収は300万円程度で、ボーナスも昇給もないので、50過ぎても生活は苦しい。
カリキュラムは毎年変わるので、いつクビになるかわからないが、大学の教師というのはつぶしがきかないので、本当にコンビニぐらいしか働き口がない。

 こんなひどい差別があるのは、日本の大学だけである。
文部科学省の調べによれば、アメリカの大学教員のうちテニュア(教職員の終身雇用資格)をもつのは62%で、助教授では12%しかいない。
一流大学ほど要件はきびしく、ハーバード大学では2300人の教員のうちテニュアは870人しかいない。
それなのに日本では、准教授になったら1本も論文を書かなくても昇進し、早大の場合は70歳まで雇用が保証される。

 企業のサラリーマンは競争がないようにみえるが、いろいろな部署に配置転換され、仕事のできない社員は左遷されるので、ポスト競争は強いインセンティブになっている。

ところが大学教師は専門が決まっているので、仕事のできない教師を左遷することができない。
授業も学生しか聞いていないので、勤務評定もほとんどない。
だから日本の大学のレベルは、主要国でも最低なのだ。

 文科省は来年度の概算要求で、10校の大学を「スーパーグローバル大学」に指定し、世界の大学ランキングの上位100校以内に入ることを目標にして100億円の予算を要求するという。
しかしこのように研究者に競争がまったくない状態で、いくら補助金を出してもすぐれた研究が出てくるはずがない。

 日本の大学は、最低品質のサービスを最高料金で提供する産業である。
しかも一流大学も定員割れの大学も一律に私学助成が出る。
その総額は約1兆5000億円で、農業補助金に次ぐ。

農業補助金が農家を甘やかして農業をだめにしたように、私学助成が大学を堕落させたのだ。
助成金は大学ではなく成績優秀な学生に奨学金として出し、海外の大学にも行けるようにすればいい。
グローバルに育てるべきなのは大学ではなく、人材である。

 だから日本の大学の競争力を上げるのに、100億円の予算なんか必要ない。
世界の大学がどこもやっているように、教授・准教授を含むすべての教員を任期制にし、テニュア審査に合格できない教員は契約を打ち切ればいいのだ。
これによって非常勤講師も優秀な研究者は教授になれ、論文を書かない教授はクビになる。
それが世界の常識である。
池田信夫(経済学者)


常勤と非常勤の待遇の差はまさに天国と地獄ですね。

さて、常勤になるためテニュアとは?

学術上のテニュア

米国、カナダ等の北米の大学においては、博士号取得後、任期付きの講師(lecturer)、博士研究員(post-doctorate researcher)、そしてテニュアトラックの助教授(tenure-track assistant professor)のいずれかのポジションを取得することで、大学に勤務することとなる。
テニュアは米国大学教員協会(AAUP)によると、基本的には
「審査期間を成功裡に満了後は、教員は正当なる理由又は特別の環境が存在し、かつ教員委員会での聴聞後でないと解雇できないという取決め」
のことである。

本来は優秀な研究者に与えられる終身身分保障制度であり、学問の自由を保障する意味が強調されていたが、昨今は経済的安定の側面も存在する。

テニュア取得までの期間とプロセス

米国の大学においてはAAUPの基準もあり、どの大学でもある程度類似の基準が用いられている。
テニュア審査応募資格としては

・テニュアトラックのポジションに在籍(つまり博士号取得済が前提)

・審査期間(通常はファイル提出時点までの5年間)成功裡に勤務してきた実績

・最低でも助教の肩書き保持

が基本条件であり、6年目の初頭早々に応募者が在籍大学のガイドラインと書式に沿って自分で作成したファイルを提出し、各委員会の審査を通過していくこととなる。
米国大学においては研究活動、教育活動、雑務事務の3本柱を全て過誤なくこなしている上で、かつ研究活動においては査読付き学術論文を複数発表、審査付学会報告複数していないと、いかに他の二分野に優れていても研究者としての終身身分保障であるテニュア取得は困難と信じられている。

また、助教からテニュア審査に挑む際は、准教授(associate professor)への昇進(promotion)も同時に申請することになるため、昇進・テニュア審査申込を同時に行うことになる。

米国の大学においては9月に学術年度開始し、5月までが学術年度であるが、5年目の5月には申請意図を明示し、夏季期間に外部審査員の推薦状取付、9月には完成したファイル(申請書)を申請者が完成させる必要がある。
その後、学科昇進・テニュア委員会投票、学部昇進・テニュア委員会投票、学部長の意見書、次に大学全体の昇進・テニュア委員会投票、副学長意見書を経て、学長の意見書、その後、外部委員からなる理事会の審議投票を得て完了となる(州立大学の場合は、理事会後にもう一つ、州政府教育委員会審査が必要)。
この時点で翌年の5~6月になるのが通常であり、1年がかりのプロセスとなる場合が多い。

テニュア審査後

テニュア審査でテニュアが認められた場合6年目満了前に、通常は学事トップである副学長(Provost)から「次学術年度よりテニュア供与する」旨の書面通知が回付される。
テニュア審査でテニュアが認められなかった場合基本的には7年目は、更新不可能な1年間任期付きの助教授扱いとなるため、この1年間を利用して、別の大学で環境を変えて再びテニュアトラックで研究者として再挑戦する職場探しを行うか、テニュアトラックのプレッシャーを避けて、単年度又は複数年度任期付き教員(非常勤)として教鞭を執っていくかの決断を迫られることとなる。(ウイッキペディア)


テニュア取得には、最低でも同大学での5年間の勤務実績と助教としての資格が必要です。

審査期間を含めると6年がかりの長い行程です。

ただ、池田氏の主張は非常勤講師の雇い止めを是正する提言ではありません。

ある意味、大学をもっと厳しい競争社会にすべき、という主旨です。

テニュア資格をとるために、大学の講師は論文を書き、もっと勉強すべきだと言っています。

とはいえ、テニュアという終身資格を取得した人がその後も積極的に論文を書くかと言えばそんな義務もなく、テニュア取得制度が日本の大学改革の本当の有効策かどうかは疑問です。

准教授になれば、自動的に終身雇用になってしまう早稲田大学などの現状よりまともなのは確かですが、池田氏も指摘している大学内部での競争原理を終始働かせないと、テニュア取得までのみの頑張りに限定されてしまう可能性があります。

このことは、小中高の教員制度の問題にも通じますが、一度取得した教員免許があればどんな手抜き授業も許されてしまっていた弊害を是正するために、2009年から教員免許更新制度が採用されました。(10年間の免許有効期限)

大学の准教授以上にも定期的に(例えば5年に一度)更新審査を行い、不適格者は降格という制度を導入すれば、それこそ実力ややる気のない先生は淘汰され、健全な競争原理が働くと思われます。

もちろん、審査基準は大学関係者の叡智を集めて推敲する必要があり、この基準作りこそが制度の成否を左右するといっても過言ではありません。

政府もいい加減、補助予算さえ付ければ一流大学になるという幻想とバラマキ思想から決別してほしいものです。

お金を使わなくても、競争原理をうまく機能させるだけで優秀な教師陣は育っていき、その教師を求めて優秀な生徒が集まってくるはずです。


では、音楽の時間です。
日本のフォークソングに通じるものがありますね。
Bee Gees - I Started A Joke