何度も読んだ絵本

 

 

 

 

 

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「安寿と厨子王」



これは

なんど読んだかわからない


いや



「読んだ」



のではなく



「読んでもらった」




小さい頃

母は毎晩

本を読んで聞かせてくれた


そのなかでも

特に印象深いのが


この

「安寿と厨子王」


「あんじゅ 恋しやほぅやれほぉー」

「ずしおう 恋しやほぅはれほぉー」


ここで

必ず



泣く



毎回毎回

必ず


泣く


こどものわたしは



毎回決まって泣く母


よこから

覗き込む


これが

また

こちらの決まりであった


あの

安寿と厨子王が

森鴎外の「山椒大夫」にも

つながると知ったのは


ずいぶんあと



大人になってからである









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