君の世界を想像してみる
チャプリンの無声映画の感じかな
あんなにどたばたはしてなく 音楽もないのだろうね

コミュニケーションって何なのだろうね
自分の持っている世界を
様々な方法で お互いに 行き来するものなのかもね

きっかけは 2月のある暑い日
ケーキをかついで降りの砂利道
「ちょっと あんた きなさいよ」
高台からフェンス越しに俺を見下している マダム
高飛車な態度に辟易しながらも
お客様は神様
来た道を戻ってゲートをくぐる
あたりを見回す
ステッキ 車いす
ここは体の不自由な人たちのための診療所
待ち構えていた いかついマダムに
ケーキをさし出す
相好を崩す
「ちょっと あんた このケーキのワークショップ開きなさいよ」
なんという 強引さ
残っていたケーキをスタッフにばらまき来診者にも積極的に売りさばいてくれる
こりゃ 断れない
そして施設とスタッフの紹介をうける
体の不自由なスタッフとともに
耳の聞こえない君がいた
ケニア人の言語能力の高さはここでも圧巻
サインランゲージをしゃべれる健聴スタッフの多いこと

マダムの高圧的な態度 いまなら 理解できる
身内の弱い者を守るために自ずと備わった防衛本能
彼女は彼らにとってビッグマザーなんだろな

聞こえない人たちへのワークショップ
やはり俺は裏方で 君がすべきだ
てことで まずは マンツーマンで 技術移管
筆談と会計スタッフ(自分の仕事よりケーキ作りに興味深々)の通訳で 
コミュニケーションが成立

Dancer Abedas in Meru, Kenya  ダンサー あべだす いん めるー けにあ

今回は 君から サインランゲージを教わった 
これはやっぱり ブリティッシュサインランゲージかな
ケーキ
チャイニーズ 
ジャパニーズ (なぜに チャイニーズより目が細いしぐさなんだ?)
おいしい 
ようこそ 
ナイス 
ありがとう 
OK 
料理する 
見る 
見える
チョコレート 

砂糖

君のおかげで 俺は自分の世界が広がったよ
君はどうかな

Dancer Abedas in Meru, Kenya  ダンサー あべだす いん めるー けにあ

自分で作ったケーキを食べて
音楽のような美味しさをあじわえたかな
最初に筆談したように
これからは君が同じ境遇の人に教えてあげられる 
さあ 君の世界が広がる番だよ

Dancer Abedas in Meru, Kenya  ダンサー あべだす いん めるー けにあ