こんにちはダンスマイスターです。
おもろうてやがて悲しき何んとやら
若き天才二人の闘いと取り巻く人々、それに死神。
喜劇にも悲劇にもなりうる名作。
が、残念ながら脚本演出に深い感銘を受ける事なく劇場を後にしました。
『デスノートTHE MUSICAL』観て参りました。
デスノートは昔流行った時に単行本を夢中に読みました。
今や結末も覚えておりませんが。。。
長々書いた感想をたった今全部消して書き直し
いかに主要な登場人物に対して観客の感情移入をはかるか、物語前半で人物や関係性を明確にし、エピソード毎に変化成長をミュージカルナンバーでダイナミックに描くか。
上演時間は割と長めのこの作品でしたが、縦軸と横軸の織りも弱くスピード感も乏しく勿体ないなぁと。
死神リュークの芝居の伏線が喜劇としての色彩を強くし、主人公の妹の存在はやがて悲しき人間の宿命をより空虚に見せる事が出来よう作品になし得るだろうに。。
華やかな装置や衣装、賑やかで迫力満点のダンスナンバー、
圧倒的な存在感と歌唱力で有無を言わさず観るものを魅了する。
夢の様なサクセスストーリーやうっとりするラブストーリー。
そうでなければ地味な現代装置で魅せるべき要素は演者の渾身のパフォーマンスと練り上げられ計算され尽くした脚本の面白さしか見当たらない訳で、その意味で、この舞台を観客はどう観るのが正解なのか。勿論どう観ようと観客の勝手ですが、作り手側には明確なラインが無きゃどうしようもないので。
教え子も一人出演しており、遠い席からでも立ち姿ですぐに見つける事が出来ました。やはり舞台では姿と声が大切ですね。
予備知識なく観劇しましたが、女の死神役の方の歌は圧倒的な迫力と表現力。日本人離れした歌に凄いと感心しきりでした。終演後お名前を見ると韓国の方の様でした。
どうやったらあんな声が出せるのか?凄いなぁ。
凄い声と言えば今井清隆さん。
私が四季に入団し『美女と野獣』の大きな稽古を見学させて頂いた時ですが、当時ガストン役をされていた今井さんに演出家から野獣を歌って見るか?との投げかけ。
一番大きなアトリエで大勢が見学する中、主人公のビッグナンバーを歌われました。
艶やかで張りのある良く響く声で最後のロングトーンを歌い上げた時、二階で見ていた私の後ろの大きな窓がガタガタガタッと音を立てて震えました。
ウン十年前の記憶ですが、プロの迫力にビビりまくりでした。
今回も変わらぬ凄く響くお声をされていました。
評論家じゃあるまいし観劇の感想や寸評する必要は無いのですが。
。。。みんな何でも絶賛しすぎ!
本当に作品として絶賛出来るような物に出会えればそれは何よりの宝ですし、スタッフキャストが力の限りを尽くして最高の舞台芸術に仕上げた作品も在ろうと思いますが。
良いものにはしっかりした理由があるし、観客にもしっかりした審美眼が求められ、それが結果良いものを育てる訳で。
真逆の意見もありますが、出演する人間も作る人間も元は何より舞台が大好きなこだわりさんだったはず。
人の作品を批評する必要は無いまでも、良くもない物を絶賛するのを見聞きすると、本当に情けなく悲しくなってきます。
あぁ、前に書いたひな壇芸人と同じ様な構図が、人間関係全般に至っている証左の様に感じます。
中島淳治