漱石の小説は固有名詞がない。
「坊ちゃん」もそうだったがこの本「こゝろ」も主人公に名前はない、ないとゆうか描いていないのである、特に「こゝろ」は登場人物の全てに固有名詞がない。
漱石の作品の視点は常に主人公の視点と感情を描いているので平凡ながらも共感とある種の面白さがある。
ストーリーはある学生が夏休みに避暑地でのとある中年男性との出会いから始まる、
田舎から上京して下宿暮らしの学生はその後もこの男性のもとを頻繁に訪れ親密になってゆく。
この男性は世間から隔離した生活をし一種の陰りを持っていた、過去に何があったのか知りたくなり奥さんに尋ねるが詳しくはわからないという、
思い切って本人に尋ねるといずれ時期がきたら話すと言う。
そして時は経ち学生は卒業し田舎に帰る、するとある日突然男性から長文の手紙が届く、それはいずれ話すと言っていた男性の過去が書かれておりその手紙は遺書となっていた。
この小説の約半分はこの男性の手紙(遺書)で綴られている、前半は学生が主人公で後半は中年男性が主人公という構成なのだ。
「坊ちゃん」もそうだったが読んでいてワクワク感やドキドキ感はないのだが読み込むほどに引き込まれ一気に読み終えてしまった。
夏目漱石漱の小説の凄さがちょっとわかってきた気がする。