3月10日 施設の玄関にて
(面会禁止96日目)
皮膚科はどこも混んでいる。まず朝一で番号札を取る。
そして11時ころ来ると言って、いったん病院から離れる。
母が上に羽織るベストを施設へ届けた。出発はまだあとだ。
10時半に施設へ母を迎えに行く。スタッフがすぐ連れて来た。
96日ぶりのあっけない再会だ。久しぶりだね、と言ってみた。
無反応だった。
道中、面会できなかった理由、皮膚科へ行く理由など話した。
これも、無反応だった。
辛うじて、車窓に視線を向ける、微かな目の動き。
吐く息が途中で詰まり、咳払いで解消する、の繰り返し。
車椅子から助手席へ、、助手席から車椅子へ、、常に無反応。
待合室でちょっと辛いのか、おもむろに目を閉じる。
足の指が痛いか聞いたが、表情変わらず、無反応。
縮んだ手のひらを揉むと、僅かに視線が動いた印象。
診察後、見事なまでに何も反応しない母を施設へ連れて帰り、
またスタッフが母を受け取る。
96日ぶりの再会はあっさりと終わる。
認知症のせいか母は時間の長さの理解がいまいちだ。
待合室で呼ばれるのが遅い!!という感覚はあるが、
明日とか、一週間後とか、一か月といってもピンとこない。
無反応な母だったが、これは、無反応という反応だ。
母には、無反応を決め込んでいるつもりはおそらく無い。
健常者には無反応に見えるが、それが母のペースなのだ。
母を施設へ戻した時、どう?元気だったでしょ?って、
スタッフが聞いてきたが、そんなことはわからない、、(苦笑)
いいとも悪いとも言えない。
(汚い傷口の写真、失礼します)



