世界中でベストセラーになったサピエンス全史は単なるベストセラーでは終わらず将来的に社会科の教科書などに書名が記述されるような歴史的な書物だと思っています。また続編の「ホモデウス」もサピエンス全史シリーズとしてカテゴライズされていくでしょう。本シリーズにはかなりショッキングな内容が記載されていますが決していたずらに不安を煽るような内容ではなく客観的にサピエンスが地球上の覇者になった要因を分析し、そこから得られた知見をもとに現在の人類が直面する問題、今後の人類の未来がどうなるかを考察しています。むしろその考察の客観性の高さから説得力が増しているところがあり、読んでいて生々しい恐ろしさを感じます。

 

本書には特徴的ないくつか単語が記載されているのですが、最初読んだ段階で今一つ意味が分からなかった文言がありました。

「人間をハッキングする」というくだりです。

本書には度々、科学技術の進歩によって人間をハッキングすることが可能となるといったような予言めいた記述がなされているのですが

具体的にどのようなものかはイメージできなくて、アマゾンの購入品や検索予想のように各人の趣味趣向に合わせて行動の選択肢を提示され、知らず知らずのうちにテクノロジーに人間が操られるといったニュアンスだと理解していました。

 

が、間違っていました。

 

どうやら「人間をハッキングする」とは文字通り、人間の脳の動きや、体内の臓器の活動、血液や筋肉の状態などの情報をテクノロジーによって常に監視し、コントロールすることが可能になるという意味のようです。

 

生体センサーというものがあります。生物の生命活動に関する情報を計測するセンサーです。計測方式も計測対象も多岐にわたるのですが、例えば、血圧、脳の微弱な電気信号、バイタル、筋電、体温などなどをリアルタイムでモニタリングすることがすでに可能です。これは生命科学の発達によって可能となりました。

 

更にこういった膨大なデータを処理するコンピュータも昔はなかったのですが、近年の目覚ましいコンピュータの発達によって処理できるようになったのです。

 

近い将来は生体センサーとコンピュータを組み合わせることによって、生物の生命活動(脳の活性状態や脈、筋肉の弛緩など)に関する情報をコンピュータによって握られ、場合によっては操作される可能性があることも示唆されています。操作とはつまり人体を外部のコンピュータのような入力端末によって操ることが可能となるという意味です!自分自身の筋肉や脳が外部のコンピュータによって操られる可能性が大真面目にあり得るということです。そういったことを可能とするデバイス。つまり情報と生命活動(要は人体)をつなぐ、生体センサーの発展形の様な新たなデバイスが登場しうるということです。たとえばそれは小さな筋肉細胞に外部の信号授受システムを内蔵した人工筋肉細胞シートの様なものかもしれません。外部の入力端末の情報を電波で受診し、筋肉細胞シートが収縮することでコンピュータによって筋肉を動かすということが可能となります。

 

現在はこのような少し前まではSFやオカルトめいていた事柄が現実的な技術として確立され、次々に目の前に出現してくるため、人類は団結してこの問題に対応していく必要があると警鐘を鳴らしています。

 

( ^ω^)・・・人類、怖いっすね。