少年は授業や休み時間を友達と楽しく過ごせるようになっていた。
これまでと何が違うのか、少年や友達にも分からない。
しかし何かが変わったのは確かである。
そのわずかな変化によって、少年は大きな成長を遂げようとしている。
そして少年の友達も、大らかな心を手に入れようとしている。
曖昧ではあるが、何かが確実に変化を遂げて、それにより彼らの胸のうちで緩やかに育まれているものがある。
そのような変化を感じながら、少年は今日もミルクとパンをカバンに入れて、猫と鴨が待つ小川のほとりに向かう。
ここで過ごすわずかな時間が、ゆっくりとではあるが確実に少年を大人へ成長させていく。
そこに辿り着こうとする少年の前に、いつもとは少し違う光景が目に映る。
その場所に近づく頃、猫が小川を見つめる姿を目にする。
猫の視線の先には、鴨の親子が泳いでいる。
少年は不吉な思いにかられながら、いつもと変わらずカバンからプレートを出す。
そしてミルクをプレートに入れると、いつものように猫は舌を出して舐め始める。
最近では、ミルクをプレートに入れる少年を眺めながら、猫は催促するように
「ミャー」と鳴く。
まるで少年へ擦り寄るように鳴き声をあげる。
その可愛らしさを目の当たりにして、少年は心が穏やかになるのを感じる。
しかし先ほどの猫の姿を見ると、悪い予感が頭に浮かぶ。
猫は狩猟系の動物である。
鼠を獲物として捕らえることを考えれば、その他の生き物に目を向けてもおかしくはない。
そのような考えが、少年の思考を良からぬ方へ向かわせる。
いつものようにミルクを舐める猫の姿は愛くるしい。
その姿を見ながら少年は愛おしさが込み上げてきた。
それでも一抹の不安を払拭することはできなかった。