私は周囲の人材に恵まれたおかげで王たるに相応しい人格を偶然にも拾っただけの主人公アルスラーンが賛美される『アルスラーン戦記』が大嫌いです。アルスラーンの義母タハミーネはバダフシャーン公国の宰相の婚約者だったのをその国の公王カユーマルスが奪って宰相を自殺に追いやって公妃とし、バダフシャーンを滅ぼしたパルス王国の当時は王子だった兄オスロエス5世と弟アンドラゴラス3世がタハミーネを奪い合い、オスロエスの事故死によりアンドラゴラスが王位を継ぎタハミーネを王妃としたのでした。しかし、彼女が産んだ子は王位継承権を有さぬ娘であったがゆえにアルスラーンと取り替えられ奪われた娘を想い心を閉ざしたタハミーネは、己を虜囚としたルシタニア王国の国王イノケンティス7世に懸想されても冷たく微笑むばかりでした…少なくとも表面上は。

男性を弄ぶ悪女と看做されていたけれど実際はタハミーネの美貌に眼が眩んだ男たちが彼女の心を無視して勝手に奪い合っただけで100%被害者です。