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マーガレット2018年3・4合併号に掲載された『ベルサイユのばら』エピソード9「ロザリー」編の第3話の扉絵は既に処刑されたフランス最後の王妃マリー・アントワネットと生き残ったフェルゼン、この様子から察するにヴァレンヌ逃亡の時の2人です。どうして?そう思いましたが、中身を読んで納得です。

15年後のフェルゼンがどんな姿なのかは描かれていませんが、彼の推薦でフランソワ・シャトレがスウェーデン王立図書館の法律顧問職員として勤務し、先輩でもある同僚ファビアン・ノーベルと親しくなります。接触の仕方がものすっごく怪しげですが、大国の思惑に翻弄される弱小国たる故国スウェーデンを憂える人物です。

グスタフ4世がロシアとの戦争に敗れて精神を病み、フェルゼンや側近たちの諫言も耳に入らぬようになって失政を重ね、ついにクーデターが勃発して退位に追い込まれ、皇太子の王位継承権も否定されてしまいます。王妃や子供たちとも引き裂かれるという政府の冷酷無情な仕打ちに史実のグスタフ4世の末路を知っていても呆れます。そこまでしなくたって!しかし、誰も止めることが可能な人間の中にグスタフ4世に対する処遇を改める者はいませんでした。

グスタフ4世の叔父カール13世がデンマークより迎えたカール・アウグストが突然の事故死、毒殺の噂が流れ、グスタフ4世を追放したクーデターが軍部も参加してのことから、それに始まって新しい皇太子の事故死もフェルゼンが黒幕だというデマが民衆の間に広まります。しかし、それに猛反発するのがロザリー・シャトレです。アントワネットという最愛の女性を民衆に殺され、保守的で貴族寄りの政策しか取らず、民衆を弾圧するだけの冷酷な政治家と悪評が声高に叫ばれるフェルゼンですが、己が権力を掴むために陰謀を企む人物ではないとロザリーは全面的に否定します。

ロザリーの個人的な感情の産物と言われるかもしれませんが、ノーベルの心を打ちます。しかし、運命の歯車はついにカール・アウグスト葬儀の場によるフェルゼン虐殺に向かって廻り始めるのです。アントワネットの許に旅立つ時が迫っていました。