ザ!世界仰天ニュース 病原菌SP 2012年10月31日

鳥が落ちる謎のウィルス

恐怖…烏の大量落下死は謎のウィルス
恐怖の脳炎…全米パニック 謎のウィルス
恐怖の脳炎…ウエストナイルウィルス

1999年、アメリカ・ニューヨーク。JFK、ニューアーク、ラガーディア、3つの国際空港に囲まれた空の玄関が集中する街。エンリコ・ガブリエリが病院に運ばれ、続いて2人の患者が搬送されました。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)はセントルイス脳炎だと判断を下しました。1933年、アメリカ・ミズーリ州セントルイス周辺で初めて確認されたウィルス性の脳炎です。

【CDC】はアメリカ国内において“国民の医師”と呼ばれるアメリカ最大の保健機関です。その研究・調査能力は世界的に認められており、CDCから発表されるガイドラインが日本や英国でも採用されています。世界共通ルールとなるほど影響力を持つ組織。CDCの研究員は頭脳明晰なエリート中のエリートであり、他の研究機関とは比べ物にならないスピードで原因を究明することが可能ですが、彼らとて人の子、ミスや誤断はあるのです。

ブロンクス動物園の病理主任を10年以上務める獣医病理学者トレーシー・マクナマラは8月の初め頃より動物園の周辺だけでも40羽以上のカラスの死骸を発見しており、天候の変化に対する順応性に優れたタフなカラスの異変により感染症の正体はセントルイス脳炎だというCDCの発表に疑問を抱いていました。相次いで感染症で絶命したアメリカ大陸固有のチリフラミンゴ、白頭ワシ、南米ヒメ鵜等々の検死解剖を行ったトレーシーは影響を受けていないのは外来種だと気づきます。セントルイス脳炎という発表は誤りであり、新たなウィルスが原因だと思われるので調べて欲しいとCDCに頼みますが、自信と驕ることを取り違えてブロンクス動物園の不手際だと罵って電話を切ってしまいます。

激怒したトレーシーは動物医療では最先端を行く【国立獣医学研究所】にフラミンゴと誤って手に針を刺してしまい発症した同僚の血液サンプルを送り、更には【アメリカ陸軍感染症研究所】に勤務する友人に検査を依頼しました。CDCでもウィルスの検出を試みたのですが、サンプル内のウィルスが少なすぎて検出に失敗、手持ちの試薬による抗体検査だけでセントルイス脳炎だと結論付けてしまったのです。

【国立獣医学研究所】【陸軍感染症研究所】で真の脳炎の元凶であるウィルスを検出し、CDCの関連研究機関に送られ遺伝子配列の解析が行われ、最初の患者エンリコ・ガブリエリが倒れてから5週間後の9月23日、ウエストナイルウィルスであることが判明します。1937年、ウガンダのナイル川西側地方の女性から初めて検出されました。蚊によって感染するウィルスの一種で、セントルイス脳炎ウィルスや日本脳炎ウィルスとも遺伝学的に近いそうです。これまでにイスラエルや南アフリカ、ルーマニアで感染者が出たものの重症になることは少なく、アメリカ大陸で発症したことはありませんでした。

因みに、トレーシーが友人のお蔭で検査を引き受けて貰えた【アメリカ陸軍感染症研究所】とは、通称「USAMRIID(ユーサムリッド)」と呼ばれる機関のことです。
兵士を伝染病等から守る「医学防衛」を任務とするアメリカ陸軍所属の研究機関「アメリカ陸軍感染症医学研究所(正式名称:United States Army Medical Research Institute of Infectious Diseases)」、通称「USAMRIID(ユーサムリッド)」。エボラ熱の数倍の感染力と致死率の恐るべき病原菌モターバ・ウィルスがアメリカを襲う1995年のパニック映画『アウトブレイク』で未曾有の「バイオハザード(微生物災害)」に遭遇し、LEVEL4(最高警戒度)研究チームを率いる主人公サム・ダニエルズ軍医大佐が所属しています。

アウトブレイク[Blu-ray] / ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン

¥2,500
Amazon.co.jp

映画『アウトブレイク』の原案
↓
ホット・ゾーン-恐怖!致死性ウイルスを追え!(小学館文庫) / リチャード プレストン

¥710
Amazon.co.jp