『帰ってきたウルトラマン』の傑作エピソードです。
第13話、第14話の前後編です。



前編にあたる第13話




ストーリー・・・

マグロ漁船海神丸は世界宝石展に出品する宝石の原石を積んで、日本への帰還の洋上にいた。

甲板で帰国の宴を催す船員たち。

船長の高村(小林昭二)は南洋に住むという伝説の怪獣シーモンスの歌を仲間に聞かせていた。 

その歌声をテープに録音する船員。


宴の席から操舵室に戻った船長は操舵士(菊地英一)と交代し、自ら船の舵を取る。

しかし交代して間もなく何かがぶつかるような衝撃が船を襲った。

あっという間に浸水する船。

船長は船の前に巨大な怪獣の姿を目撃し、シーモンスと呟く。

あっという間に転覆する船。


10日後、アローでパトロール中の郷と上野はボートで漂流する高村ら3人を発見する。

救助された高村は船が宝石とともに沈没したことにつき責任を問われる。

娘の陽子は記憶を失った高村が呟き続けるシーモンスという名前について、シーモンスは西イリアンに住む怪獣だと皆に説明する。

しかし船長以外見た者はなく、誰も信じてくれない。

マスコミにシーモンスについて聞かれた郷も「聞いたことがない」とそれを否定する。

病室を出た郷と上野は船員から、船で録音した高村のシーモンスの歌を聞かされる。

本部に持ち帰り言語分析機で歌詞を分析するMAT。

歌詞には「シーモンスは島の守り神。シーモンスが海を渡るときは気をつけろ。恐ろしいことが起こる」と歌われていた。

その夜、シーモンスらしい怪獣が八丈島で目撃される。

高村を連れて現場に来た郷は、高村にシーモンスのことを聞くが正気を失った高村は何も答えない。

すると娘の陽子が自分で確かめに行くといって、しけの八丈島へ向かいボートを走らせた。

陽子を止めようと急いでボートを追う郷。

絶望のあまり「死んでもいい」という陽子を郷は平手打ちする。

父の潔白を証明したいという陽子の協力でシーモンスの歌の続きを分析するMAT。

「シーモンスをいじめると角光る。シーゴラスも怒り、海も天も地も怒る」

その時東京湾近辺に怪獣出現の報が入る。

出動し攻撃するMAT。



しかしシーモンスは東京に上陸する。

角が光ったことから怪獣がシーモンスと確信する郷。

歌のことが気になった郷は攻撃を中止するよう進言する。

MATは様子を見るため地上に待機する。

しかし近くの工場の場長は「工場を操業できず大損害だ。もうMATはあてにしない」と自衛隊に攻撃を依頼する。

MATは反対するが自衛隊はシーモンスを爆薬で爆破する。

炎に包まれるシーモンス。

その泣き叫ぶような咆哮に夫怪獣であるシーゴラスが応えた。

伊豆沖に出現し大津波を起こすシーゴラス。

「シーゴラスを東京湾に入れてはいけない」

攻撃に向かうMAT。

その時陽子が1人で、シーモンスを確かめに近くに行ったという知らせが入る。

陽子を探しに怪獣に近付く郷。

「角が光った。やっぱりシーモンスだわ」と陽子。

しかし陽子の間近には大津波が迫っていた。

助けに向かう郷。

その時、郷の体は光に包まれた。

ウルトラマンに変身する郷。



迫り来る大津波の前に立ちはだかるウルトラマン。

果たしてウルトラマンにどんな作戦があるのだろうか。



そして後編・・・


大津波の前に立ちはだかるウルトラマン。

ウルトラマンは腕をクロスしたかと思うとそのまま高速回転し、エネルギーを蓄え始めた。 

すまた、両方の怪獣が死なないストーリーも見事でした。


そのエネルギーを津波にぶつけるウルトラマン。

勢いを止められた津波は、そのままウルトラマンが両手を上げると空に舞い上がり海の方へ逆流し始める。

ウルトラバーリアにより、静けさを取り戻す海。

しかしエネルギーを消耗したウルトラマンはシーモンスの攻撃にあっさり敗れ、そのまま姿を消してしまう。

津波を恐れ迂闊に手出しできないMAT。

シーモンスの歌を解析し天と地の怒りについて検討する。

「攻撃しなければああやって大人しくしている」と加藤。

その時自衛隊の火器部隊がシーモンスを攻撃するとの連絡が入った。

「シーモンスを攻撃したために東京は津波の危機に瀕したのです」と加藤。

「でもウルトラマンが助けてくれた。いざという時には我々には強い味方がついている」と工場長。

何とか工場長を説得し3日の猶予をもらうMAT。

陽子と高村に会いに行った郷は、陽子から高村が保険金の3分の1を支払わなくてはならなくなったと聞かされる。 

シーモンスが船を襲う理由がないからだとか。

2日後、坂田工場に戻った郷は次郎の飼ってる文鳥を見て、怪獣も産卵に来たのではないかと考える。

宝石を狙ったのもそのための殻を作るためではないかと。

早速本部に帰り報告する郷。

隊長は「船長の潔白が証明された」と陽子に伝えに行くよう命じる。

しかし郷が病院へ行くと、高村は退院するところだった。

船主の話によると、高村は回復の見込みがなくそのため賠償金も免除されたという。

その頃自衛隊がシーモンスを攻撃するとの連絡が入る。 

すぐに現場に駆けつけ、それを止めようとするMAT。

しかし工場長は「海底探索の結果シーゴラスが東京湾にいないことがわかった。もう津波を恐れる心配はない」と取り合わない。

「天と地の怒りがまだあります」と止めようとする郷だったが、自衛隊はシーモンスに火器攻撃を開始した。

途端に土煙が舞い姿を現すシーゴラス。



シーモンスとシーゴラスが互いの角を光らせると空は曇り、大龍巻が発生した。

「津波より恐ろしいことが起こるぞ」

2頭が巻き起こした龍巻は車を舞い上げ、建物を破壊し、付近をあっという間に廃墟に変えた。

「まさに天と地の怒りだ」と加藤。


都民は避難し大都会は死の街に変わる。

夕日をバックにじゃれ合うシーモンス、シーゴラス。

「東京は怪獣園ではないぞ」。

一喝するMATの長官(藤田進)。

加藤は新兵器を開発し怪獣の角を破壊する作戦を説明する。

「都民の間にはMAT不要論さえ囁かれておる」と釘をさす長官。

2日後MATは総力を挙げて完成したレーザーガンSP70を携え、怪獣に立ち向かう。 

アローで空から攻撃する郷。

「許せ、お前たちは力を持ちすぎた」

アローの攻撃に角を光らせるシーモンス、シーゴラス。

すかさずレーザーを放つ加藤だったがレーザーは角を逸れ、再び龍巻が巻き起こった。

退避するMAT。

加藤はアローの郷、上野に避難を命じる。

その頃陽子は高村を連れシーモンス、シーゴラスの近くにいた。

2頭の角の光を浴び、記憶を取り戻す高村。

「あれが天と地の怒りだ」

 記憶を取り戻し喜び合う2人。

しかし龍巻は二人のすぐ側まで迫っていた。

2人を発見し助けようとする郷。

しかし郷のアローは龍巻に巻き込まれてしまう。

回転するアローの中、ウルトラマンに変身する郷。

ウルトラマンは体を回転させ、龍巻を吸収する。

龍巻を抑えたウルトラマンだが2頭に挟撃されピンチに。

2頭の角から出た光波に絡め取られるウルトラマン。

その時MATのレーザーガンがシーゴラスの角を粉砕した。

光波を出せなくなったシーゴラスを投げ飛ばすウルトラマン。

角を破壊され力を出せなくなった2頭は、海の方へ帰っていった。


正気を取り戻した高村は再び船長として海の旅に出る。

嬉しそうに手を振り見送る陽子。

シーモンスの歌を歌うその顔には、幸せそうな笑みが輝いていた。



民話、伝説、特撮を見事に融合させたストーリーです。





今日のところは、こんなこったす!