広告代理店の社長ロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)は、ジョージ・カプランなる男と間違えられ、2人の男に拉致された。
広大な邸宅に連れ込まれた彼は、タウンゼントと称する男(ジェームズ・メイスン)に、どこまで情報を知っているのか話すように強要される。
訳の分からないロジャーが、人違いだと主張しても信用されず、無理やり酒を飲まされたあげく、車に乗せられて海へ突き落とされそうになった。
危ういところを巡回中のパトカーに見つかって連行されたため命は助かったが、飲酒運転の罰金刑に処せられてしまった。
無実を証明するため例の邸宅に赴くと、タウンゼント夫人は、彼をパーティに招いたと証言した。
次に国連総会に出席しているというタウンゼントに会うために国連本部に向かうと、そこにいたタウンゼントは昨夜の男とは別人だった。
そのうちにタウンゼントは、昨夜の男たちの手によって殺されてしまう。
なんとロジャーは、殺人犯として追われる身になってしまったのだ。
昨夜の男の正体は、敵国のスパイのヴァンダムという男だった。
政府のスパイ機関は、ヴァンダム一味の中に送り込んでいるスパイを守るため、カプランという架空のスパイを仕立てていたのだが、ロジャーをそのままカプランの身代わりとしておくことに決めた。
そうとは知らないロジャーは、カプランを追ってシカゴ行きの寝台列車に乗り込んだ。
車内で出会ったイヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)という美女が、自分が指名手配犯と知りつつかくまってくれた。
ふたりは惹かれあい、一夜を共にする。
ところが彼女はヴァンダムの仲間だったのだ。
イヴの罠によって、郊外の広大な平原におびき出されたロジャーは、そこで軽飛行機に襲われる。
逃げ回るロジャーを追う飛行機は、通りがかったタンクローリーと衝突して炎上。
逃げ延びたロジャーが、カプランが宿泊しているはずのホテルに到着すると、そこにはイヴがいた。
こっそり彼女の後を追った先のオークション会場では、ヴァンダムがある美術品を落札していた。
改めてヴァンダムと対面するロジャーだが、出口を手下たちに阻まれてしまう。
とっさにオークション会場を混乱させ、警官に連れ出されるという手法で脱出したロジャーは、そのまま空港に連れていかれた。
そこにいたのはスパイ機関の「教授」と呼ばれる男だった。
教授はこれまでのいきさつをすべてロジャーに話し、改めて協力を要請した。
実はヴァンダム一味に送り込んでいるスパイは、イヴだったのだ。
ロジャーの出現によって彼女の命が危うくなったために、一芝居打つことになった。
ラシュモア山のふもとの食堂で、ロジャーはイヴに空弾で射殺される芝居を打った。
芝居は成功したが、彼女が使命のために、ヴァンダムと共に国外へ脱出することを知ると、ロジャーは彼女を助けるために、アジトである山荘に忍びこんだ。
そこではヴァンダムの部下が空弾のトリックを見破り、イヴを飛行機から突き落とす計画が話されていた。
さらに彼らが盗み出したマイクロフィルムが、落札した美術品の中にあることを知った。
なんとか彼女に連絡をつけたロジャーだったが、手下に見つかって銃を突きつけられてしまう。
銃声が鳴り響いた隙に、イヴは美術品を奪って逃走、ロジャーと共に巨大モニュメントまで追い詰められる。
危機一髪のところをかけつけた教授たちに助けられた。
そうして2人は想い出の寝台列車でニューヨークへ向かうのだった。
この作品は、文句のつけようがないくらい面白いです。
展開もスピード感があって、今でも十分に楽しめる映画です。
恋とスリルとサスペンスが、うまくミックスされています。
まさに007の原点のような作品です。
冒頭、主人公が何者かに間違われて狙われるところから始まります。
また、平原での飛行機の襲撃シーンでは、C・グラントの表情に注目です。
何しろ全く逃げ場のないところでの空からの襲撃ですから、思わず主人公になったみたいに手に汗握ります。
そしてラストのラシュモア山の岩壁での対決では、サスペンスが最高潮に達します。
ほんとうにラストまで、飽きずに見ることができます。
謎が謎を呼び、それらの謎解きとサスペンスに加えてブロンド美人との恋がヒッチコック映画の一つの方程式かもしれません。
初めてヒッチコックの映画を見る方には、入門編としてうってつけの映画でしょうね。
また、ソウル・バスが手がけたOPクレジット画面も見逃せませんよ。
今日のところは、こんなこったす!